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シン・長田を彩るプレイヤー ~空に焦がれる経営者~(後編)



今回は、株式会社テクノフローワンの代表取締役である伊藤世一さんを取材しました。

前編ではテクノフローワンのことやテクノバードを始めた経緯などを伺いました。

後編では伊藤さんから見た長田や今後の展望を教えていただきます!


変わりゆく長田

-記者-
一度は海外にも出られましたが、長田で生まれ育ってずっと住んでおられる中で、一区民として長田の変化は感じられますか?


-伊藤さん-
長田の地場産業が無くなってきてちょっと上品になったね。
これをどう捉えるかやけど。
長田らしく発展していくのが一番いいとは思うんですよ。
例えば、長田が芦屋になる必要はないし。
神戸らしさがあって、その中に長田らしさがあって、地場産業がどんどんなくなっていっているからこそ、チャンスなわけじゃないですか。
神戸市の中で長田のポジションを見直すチャンス。
長田区だけじゃなく、各区の色って改めてもっと考えてもいんじゃないかなと思いますね。
長田って、よく粉もんとか靴のまちとか言いますけど、そういうのはそういうので全然いいと思うんです。
でも新しい何かを考えていく機会な気がしますね。




-記者-
区としての個性を見つめ直し、発信していくべきだということですね。


―伊藤さん―
そうですね。
長田は町工場だったとこがどんどんなくなって住宅街になって、工場とかも作りにくくなっている。


―記者―
匂いや音が生活に馴染まないことが多いですよね。


―伊藤さん―
せやから、音も匂いもしないモノづくりを何か探してくるか、商業の街にならざるを得ない。
商業の中に、インバウンドや観光があったりですね。
後はもっと凝り性な人間を集めたらいいんですよ。
それこそ情熱大陸に出てきそうな革職人を連れてくるとか。
あの人の鞄って長田で作ってるの、みたいな。
そういったとこでメイドイン長田のいろんなものができると嬉しい。


―記者―
長田ブランドを増やしていくイメージですね。


―伊藤さん―
ニューヨークでもソーホーって都市が今すごい人気で、まちそのものがブランドなんですよ。
あそこは元々倉庫街やったんですけど、倉庫街で安いから若手の芸術家とかアーティストが集まっていって、いろんなことをやり始めたら、それに並んでおしゃれなカフェも出来てきて。
そしたらその流れでデザイナー系のブランドショップができたりして。
そうこうしてるうちにソーホーそのものに店を構えてること自体がおしゃれになっていったんです。
逆張りとかもいいと思うんですよね。




―記者―
長田は下町とか既存のイメージがしっかりあるからこそ逆張りがしやすいかもしれませんね。


―伊藤さん―
こんな変わり方するんやっていう(笑)


―記者―
イメージに沿って発展しなくてもいいかもしれないですね。


―伊藤さん―
そうそう。ステレオタイプの「関西人=おもしろないとあかん」とか、「長田=粉もんでないとあかん」とか。
いや、粉もんは粉もんでいいんですよ。
いいんやけれどもその中に、また全然違うものもあっていいんじゃないかと思います


 

そして、ここから

―記者―
今後の目標などはありますか?


―伊藤さん―
テクノフローワンとしては、「どうしてもテクノフローワンと取引したい」と思ってもらえるような会社にしていきたい。
そのためには社員一人一人が生き生きしてないとだめだな、と。
嫌々作ってるもので人は感動させられないと思ってるので。
そこをいかに高めていけるかに注力しています。


テクノバードとしては「善良なサードパーティー」を掲げていて、良いコミュニティを作っていきたい。
例えばうちのスタッフはライセンスを持っていて、今パイロットとしての就活をしている人たちなんですけど、彼らの手助けになれればと思っています。


―記者―
それはどういうことでしょうか?


―伊藤さん―
日本でパイロットになるにはいくつかルートがありまして。うちのスタッフは私大出たり自費でライセンスをとって就活してる子が多いんですけど、めちゃくちゃお金がかかるんです。
だからみんな借金してね。
そうすると、全然関係ない業界でバイトしたりしないといけないけど、うち来たら飛行機に関われるでしょ?

あとは情報共有できる仲間が出来るので、就活するのにもいいと思ってます。


コックピットに装備されているスラストレバー(パワーレバー)


―記者―
確かにバイトでも飛行機に携われたらモチベーションは上がりそうですね!


―伊藤さん―
今のパイロットに求められる態度や資質って変わってきてるんですよ。
昭和・平成の頃ってパイロットとしてのスキルが長けてる人が採用されてたんだけど、今は飛ばす能力そのものよりもマネジメント能力が求められてきている。
実際にエアラインの採用担当に直接「いい社会人が欲しい」と言われたこともある。
うちを巣立った後、実際パイロットになって機長になっちゃうと人に頭下げることって少なくなってしまうんですよ。


―記者―
それは狭いコミュニティで働くからでしょうか。


―伊藤さん―
そうそう。
昔だったら客席に出て行ったりすることもあったけど、今はダメでしょ?
人に頭を下げることが少なくなるわけですよ。
ここはサービス業ですから、お客様の飛行機の知識度合いに応じたアテンドをしないと楽しんでいただけない
だからうちにいる間に出来るだけ社会人として気になったところはむしろ注意してあげて、将来、狭くて閉鎖的な航空業界の場でもやっていけるように教育してるつもりです。
だから、テクノバードで働いてましたって言うと「あ!あそこでバイトしてたんやったらしっかりしてる子やな」って思ってもらえるようにしていきたい。


―記者―
技術面以外も学べる場にされてるということですね。



―伊藤さん―
そうですね。
実際この数年間でバイトで働いてくれてた子達はANA、ピーチ、ジェットスター、あと海上保安庁とか色んなとこに就職してる。

 

―記者―
航空業界への就職の助けになっているんですね。


―伊藤さん―
若い子が夢を叶えていくのをそばで見せてもらうのは楽しいよね。
今はうちを巣立っていった子のファーストフライトに乗せてもらうのが楽しみ。


―記者―
良いですね!
本当に親のような目線で見守っているんですね。


―伊藤さん―
世代的にもそんな感じだしね(笑)
やっぱりね、ええ人生を歩んでもらいたい。
僕個人の目標としては飛行機のもう一つ上のライセンスを取りたいですね。
プロと同じような飛び方ができるようになるんです。


―記者―
プロと同じ飛び方って魅力的ですね!
最後に、伊藤さんにとってテクノバードとは?



―伊藤さん―
自分自身の夢へ繋がっていくものであり、人の夢を応援する場所。
それでいて今一番楽しい場所かな。
自分の世界を広げてくれる所ですね。
それはテクノフローワンにも言えることやけど、冒頭に話したように「航空業界に関わる」という夢を叶えてくれたし、今後もっと広げていきたいと思ってます。
ちょっとカッコつけた言い方をすると自己実現の場ですかね。


―記者―
今後の躍進も楽しみにしております。
本日はありがとうございました!





 


取材後、取材者一行でテクノバードさんの操縦体験をさせていただきました!

現在体験できるのはB737-800、G58バロン、セスナ172の3種類。
特にB737はコックピットだけでも大迫力!
憧れの大きな飛行機を操縦できて興奮が止まりませんでした。


操縦桿やペダルを少し動かすだけで機体が大きく動くので、想像以上に繊細なタッチが必要。
さらに機体の水平を保って、速度にも気を配って・・・なんというマルチタスク!
教えてくださったスタッフの方も来月からパイロットとして働くらしく、伊藤さん以外にも多くの人の夢を叶えている会社だと感じました。

興味のある方は是非足を運んでみてください!



(編集:キタムラ・コゲちゃん)