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髙島屋クリスマスケーキ崩れ事件に見る、小売店のネットショップと梱包の在り方について

髙島屋さんのクリスマスケーキが崩れていたことが話題になっている

今年は京都トヨタ御池店様でラッピングサービスをしている、クリエイティブコバコ(京のつつみ屋小箱)です。
さて、一年間で一番忙しい12月23日の昨日。激混みから一点、比較的静かな、京都トヨタ御池店様での持ち込みラッピングサービス中にnoteを書いている小林ですが・・・気になる話題を見つけました。

SNSでのまとめ


時間があったので、ラッピングサービスをSNSで宣伝でもしようか、と思ったら、悲惨なケーキたちの画像が飛び込んで来ました。
詳しくはこちら↓

普段、ラッピングとディスプレイの仕事をしているので、話題的にみのがせないなあと思って、久々にnoteを開きました(通信大学のほうは、順調に卒業に向けて勉強してます)。

誰に責任があるのか?という話


これは最終的には髙島屋さんの監督不行届で、髙島屋さんから返金なり賠償がされるのではないかと思います。
私は洋菓子屋さんではないのですが、取引先さんから聞いた話、百貨店のカタログに載せてもらって、注文を取ってもらえるということはすごいこと。(それは素人の私でもわかる)
百貨店側からのお声がけ&コンペとかでどのケーキが採用されるのかが決まっていくそうなんですね。ですから最終的にはこのケーキを採用してオッケーした髙島屋さんに責任がある、とは思います・・・
ある一定のデザインだけ崩れていることから、配送業者さんの非は、一番下かなと。ただ、この商品が積まれていたラックが保管庫で倒れたのではないかという説をおっしゃていた記事もあるのですが、今のところ真偽はわかりません。

ただ一番の原因は製造側だと思う

責任の所在と、原因がなんだったのか、は、また違う話ですよね。
あくまで私の個人的な考えですが、作ってるのは髙島屋さんじゃないので、作ってるお店に原因があると感じます。
SNS界隈でも「うちのケーキは大丈夫だった」という方の写真は、しっかりとした台座の付いたトレイと、ドーム型のカバーがしてあって、配送に耐えうる梱包までされています。
一方で、件のケーキは、デザイン的にどうしようも出来なかったのだろうと推測されますが・・・ふつうお持ち帰り用の箱にみえる箱にに直入れされてますよね。
うーん、最近だと、ここまでガードがゆるいデコレーションケーキ、店頭からのお持ち帰りでもなかなか見ない。
いろんな資材メーカーさんが、一段窪みになったトレーとか、カバー付きのものを販売してるので、ちょっとノーガードすぎるのでは、という印象です。
これが、徒歩10分程度の、田舎の小さいケーキ屋さんならあるかもしれませんが、普段、包装に関わる者から見ると、普段は持ち帰りしかやってなかったお店が、そのままの梱包で送ってしまったように見えるんですよね。
まず、物流がしぬほど忙しいこの時期に、なぜこのデザインを、この梱包で送ろうと思ったのでしょうか?
そしてなぜそれを、採用してもらおうと出した?と思ってしまうのです。

普段のテイクアウトでも詰め方で問題回避できることが多い

私自身、特に商工会関連で、地方のこの街、この村で1軒しかないケーキ屋さん、和菓子屋さんも多く、なんとかディスプレイやラッピングでお店をもり立てられないか。
そういうご相談が多く、出張指導させてもらうことがあります。
しかし、ラッピング(装飾的な)以前に、正直8-9割のお店が正しく梱包できてない(ラッピングとは別。持ち運ぶため)。特に生菓子より、焼き菓子など、日持ちがする商品で在庫しているのもの。
そして、それらをよく帰り際に手土産いただくので、開けてみると、がっかりというかびっくり、ということも多々。
箱に詰めてくれたのものは仕切りがないことも多く、開けたら全部片側に寄っている。
詰め物や仕切りがなく、ただ平たい箱に詰めているから、蓋をしたときはきれいでも、手提げ袋に入れたときに全部下に偏る。それをまた手提げ袋から出して、開けたら。。。貰い手の感動は皆無です。

詰め物がちゃんとされていたら。
スリーブと呼ばれる仕切りをつけていたら。
マチがある袋に平置きにしていたら。

もちろん、コストがかかることもわかります。ただそのコストは信用にもつながるので、安易に削るべきではないもの、必要な経費なんです。
利益が薄いから、といって、数十円(ときに100円くらい)をケチって、そのお客様が離れていったとしたら・・・損害は甚大なんですよね。

そのあたりがわからないので、「スリーブ、つけたら●円か。どうせごみになるからいらないっしょ」「●円のケーキを箱に入れたら、全然利益内から、紙袋にしちゃえ」とかしているので、お客様離れが起きるのです。

個別包装の中身も要注意

失礼ながら、回転率あまりよくなさそうな個人店だと、まず毎日同じものを焼いたりしないようです。(クライアント談)
ちょっと多めに予約が入ったときに、店頭出しの分も焼く。
そして、売れるまで、賞味期限ギリギリまで、店頭においておく。
私が実際に頂いた例でびっくりしたのが、和菓子屋さんからのバームクーヘンと、どらやき。どちらも和風の不透明な袋詰めされたていたんですが、粉々になってました。
バームクーヘンは、欠けた、とか2つに割れてるレベルではなく、本当に粉で、袋を開けて、粉薬のように口に入れたほど。
「え?持ったときにわからんかった?」
というレベルで崩壊。もとの形は三分の一くらい残ってたかな・・・。どらやきに至っては、袋に天面が擦れて、皮の部分が袋にべったり、あんこが見えてる・・・
誰かが持って、やっぱりやめよう、とか、後ろの商品からとろう、と思ったのか、ずっと売れなかったのか、袋が小さいのか?私は製造側ではないのでわからないのですが・・・、回転率が悪そうだなと思うお店はこういうことがあります。
じゃあ、小さいお店だけがこうか?というと、この夏に行った石川県の大手の和菓子店さん。手土産もらいすぎで、悪いので店頭のお菓子もいくつか買わせてもらい…帰ってあけたら求肥にカビがびっしり生えてました。
常温保存OKと書いてあって・・・・店頭で常温保存でレジ横にあったお菓子で、賞味期限までもまだすこしあり・・・
お店として大丈夫?と思いました。

お店に悪気はなんだろうけど、廃れる理由はここなのかも

正直、…賞味期限がその日までというものはもちろん、切れてるものをもらうこともありました。
最初は間違ってるのかな?嫌がらせ?と思ってたけど、ちょいちょいあるんですよ。
店頭にあるものをがさっとつかんで、「これもってってー、先生」
みたいな。
恐らくお店側に悪意は全くないんですよね。むしろめちゃくちゃ好意。

「先生、こんな田舎までよう来てくれたねー。もう、こんなんでよかったらもっていって〜」
って、田舎のおばあちゃんが、久しぶりの孫娘に会った、という感じで持たせてくださるのはわかるんですよ。
でも、もしかすると普段から、こういうことがあったのかもしれません。
特に田舎だったら、皆身内みたいなもんだから、賞味期限とか形状のこととか、指摘できないのかもしれません。
ただ、そういうことで少しずつお客様は離れていく。
だってそれこそ村に1軒しかケーキ屋さんがなくても、ネットで注文すれば、都会のキレイなケーキが届く時代だから。
正直、私もたった1回、指導に呼ばれただけで、「手土産」という位置でいただいたら、「バームクーヘン粉々になってましたよ!」とは指摘できません。
年間を通じてご契約いただいていたら、それとなく
「じゃあまず時間がたった商品がどうなっているか、梱包の良し悪しも含めて確認しましょうか~」
って言うと思いますが、他府県の商工会経由のお仕事は大体単発で、その後のご依頼がないからです(近畿圏では結構リピートしていただいたり、その後個別契約になったりしますが・・・)
※石川のお店の求肥のカビは、お金を出して買ったにもかかわらず、単発のお仕事だったので、やはり指摘できませんでした(小心者)

お店はどう対策したらいいのか?まとめ

商品を開発したとき、そして今日作ったものを念のため、味見した時。
作りたては美味しいし、キレイな見た目なのでしょう。
でも、時間が経ったらどうなのか。
生菓子なら、一日ショーケースに入れられた生菓子が、どんな味なのか。
生菓子は時間がたって、ある程度食感が変わってしまうのは仕方ないと思う
のですが、どこまで許容できる範囲なのか。
「しっとりします」とポジティブな言い方に変えても、お客様は「水分を含みすぎてベタベタしてる」と思うレベルではないのか?
もちろん造り手がそこまで計算して作っているのだったら、私から何も言うことはありませんが、浅い検証しかしていないのだとしたら、もっといろいろ確かめたほうがいいです。
梱包に関して言えば、

・時間が経った時、賞味期限前であっても、不透明な包装の中のお菓子はどうなってるのか、時々確認する。
・持ち運びの手提げ袋。コスト削減でマチの狭いものを採用しているが、手詰め合わせの箱を90度倒して入れた時、その中身はどうなっているのか。
・ネットショップで配送したときに、本当に安全なのか?配送業者にある程度乱暴な持ち方をされても、動かないようにしているか?

もちろん、誰しも自分の店のものは丁寧に扱ってもらえると思っていると思いますが、配送業者さんはもちろん、店頭で持ち帰りのお客様も、どういう持ち方で帰って行かれるかはわかりません。
生ケーキを振り回して帰るお客様は論外ですが、コスト重視で4-5個入の箱しか用意していない、けど、お客様は2つしか買わなかった。
周りに詰め物もせずスッカスカのまま持ち帰らせた、その後倒れていたというクレームがあった・・・
としたら、やっぱりお店側の配慮不足かな、と思うのです。
それならきちんと詰め物をするか、少数用の箱を用意するか、予めケーキの持ち帰りは4個以上5個までとするか、ですね。

入れ方、詰め方、どうせゴミになるし、もったいないからと詰物をケチったらどうなるのか。環境に配慮する時代とは言え、持ち帰りや発送をOKにしている以上、お店側が考えなければいけないことはたくさんあると思います。

ですから、私に小手先の装飾的なラッピングを施す方法を習って売上をあげようと考えるより、きちんとした梱包をして、お客様に商品を提供できているか、を確認してもらいたいなと思います。

配送にしても常温?冷蔵?冷凍? お店側が確認して、継続的にチェックしないといけないことはたくさんあります。
今は、ネットショップという便利なものの背景で、物流も疲弊してます。
このクソ忙しい時期に、髙島屋さんもケーキ屋さんも宅配屋さんも大量のクレーム処理。昔おせちでもありましたが、特別な日にこんなことになっては、受け取る人も全然ハッピーじゃないですよね。
今回の事例はコンペに通る、デザイン重視なケーキではなく、デザインと梱包も含めて事前にお店側が対策しておかないといけなかったのでは、と感じました。

あなたのお店でもそんなことになっていませんか?
ぜひ一度確認してみてくださいね。

ディスプレイやブランディング、包装に興味があるかたはぜひ、ごらんになってください↓





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