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『超分かりやすい超水質の極意』~硬度について~

リバースシリーズで有名なウォーターエンジニアリングの社長で水質のプロフェッショナルの三井さんとYouTubeでも人気のアクアリウムトールマンの店長の山田さんとの対談YouTubeLIVEを文章化しました。
まだLIVEをご覧になっていない方は是非!


(三井社長)
軟水とか硬水についてちょっとお話します。これがややこしい。じゃあ山本さん。魚を飼うのに軟水が良いってのは聞くんですけど、じゃあ軟水って何ですか?

(山本さん)
飲んだ時に柔らかい。僕ん家、結構水にうるさい家で細かいんですよ、お母さんが。昔は硬水を買って飲んでたんです。で軟水を飲んだ時に柔らかい!感覚的に喉に突っかからないんですよ。

(三井社長)
なんかボケたつもりだけど意外といいこと言ってる(笑)
実は簡単に答えを言っちゃうと、軟水とか硬水の定義はカルシウムとマグネシウムが多いか少ないかだけなんです。それ以外にいろんなこと言う人がいますけど関係ないです。カルシウムとマグネシウムが多いか少ないか。多いと硬水。少ないと軟水。

(山田店長)
その2個だけなんですね。

(三井社長)
それだけです。それでミネラルがどうだとか、ミネラルってじゃあなんだって話になるんですけど。ミネラルのほとんどはカルシウムとマグネシウムが占めます。だから、『ミネラルたっぷりの軟水』という言葉はないです。
「これでミネラルたっぷりの軟水になりました」とか言ってたら、ミネラルたっぷりは硬水だろ!って突っ込まなきゃいけない(笑)
さっき山本さんが言ったように、カルシウムやマグネシウムがあると飲みにくいです。引っかかるような感じで、マグネシウムの苦味もあるし。軟水はそれがなくなるのですっと飲めて甘く感じるような感じに。
だから、カルシウムとマグネシウム。これが軟水、硬水のもとですね。
これが多いか少ないかが軟水か硬水かで、pHとはいくらかは関係しますけど、それは関係ないんです。でも関係してるように感じてる人が多くて、勘違いしていきます。カルシウムとマグネシウムはアルカリのほとんどを占めます。軟水か硬水かの定義。

(山田店長)
なんか中硬水とか。

(三井社長)
飲み水の世界で言う事と、アクアリウムの世界で言う事は全然違うと思います。ここから軟水ですっていう定義もちゃんとないので、例えば飲み水とかのレベルで言うと、世界規模で見れば日本は軟水ってことになっちゃうんです。だから日本は全部軟水だからOKですよって言っちゃってる人もいたりします。でもそういう人たちは大体、軟水の地域に住んでる人達です。千葉県の人とかの大変さが分からないんです。
シーソーでお話ししても、カルシウムとマグネシウムが0個~3個までを軟水ってここで決めます。4個以上になったら硬水ってことにします。
3つだったら軟水ですけど、このお水に酸性分を入れていきます。酸性分を4つ入れました。

硬度①

そうすると、軟水か硬水かで言うとどうだと思いますか?

(山田店長)
軟水です。

(三井社長)
そうですね。これは山本さんとかに聞けば本当は模範的な回答で、酸性分が増えたから硬水って言う人もいますね。pHはどうなってますか?

(山田店長)
pHは下がってますね。

(三井社長)
酸性ですね。そうなんです。じゃあここがこうなった場合はどうでしょう。

硬度②

軟水か硬水かで言うとどうですか?

(山田店長)
硬水です。

(三井社長)
硬水ですね。pHはどうですか?アルカリ性ですか酸性ですか?

(山田店長)
アルカリです。

(三井社長)
アルカリですね。だからアルカリで硬水っていうので合ってます。この感覚から、硬水はpHが高くて酸性は軟水って思ってます。酸性さえなれば、軟水になってると思ってるんで「それどうですか?硬水ですか?軟水ですか?」って言ったら、「pH下がったんで軟水になりました」とか。商品にもそうやった間違った表記をしているものもあります。pHを下げたから軟水っていう書き方をしているものもあるんです。
ここまでは良いんです。もしこれがこうだったらどうでしょう。

硬度③

軟水ですか?硬水ですか?

(山田店長)
軟水です。

(三井社長)
pHはどうですか?

(山田店長)
アルカリです。

(三井社長)
軟水だけど、アルカリになるんです。その逆に、水槽の場合特に起こりますけど、餌をやっていくと酸性が溜まっていくってお話ししましたね。こうなった場合。

硬度④

硬水ですか?軟水ですか?

(山田店長)
硬水です。

(三井社長)
pHは?

(山田店長)
めっちゃ酸性です。

(三井社長)
そうなんです。硬水だけど、めっちゃ酸性が出てくるんです。っていうのをわかってないといけないんです。だから意外と多いんです。
例えば、ソイルにしても硬水になるソイルもあったりします。pHが低いんだけど硬水になっていくとか。ソイル使ってるから大丈夫って思ってると危険なんです。

(山田店長)
もうなんか勝手に軟水の酸性になっていく...…

(三井社長)
そう。ソイル使ってると軟水になっていく。
昔、トラブルがあったのが、アピストが好きでアピストのお店を立ち上げた方がいて、水槽を200本くらい並べてやられてて、どうもアピストの調子が悪いというので呼ばれて。行ってみて「硬度測ってますか?」って言ったら「いや軟水だから」って言うので。軟水が良いってことは分かられてるんだけど。「そうじゃないはずです」「調子の悪い水槽を言ってください」って言って。言ってもらった水槽を調べてもらうと実はgHが10を超えてたんです。これは何が起こってるかというと、例えば、ソイルでADAさんが出してたpHが4になる低くなるソイル。今はどうか僕分かんなんですけど。

(山田店長)
そこまでは下がらないと思います今は。

(三井社長)
低くなっている時期もあって、そしたらいろんなメーカーさんが「うちのソイルはpH下がりませんよ」っていうのを出してきました。

(山田店長)
なるほど。もうあくまでもpHに対しての角度でしかないわけですね。

(三井社長)
そうです。「4は大変でしょ?」「うちのは6切らないです」とか。もしくはグッピーを飼えるように「7を超えたソイルです」とか。
どんな仕組みかって言うと、凄い化学が入っているわけではないんです。
そんな中に、牡蠣殻とかが混じってるんです。例えば、ソイルに牡蠣殻を混ぜるじゃないですか。酸性分が溜まろうとすると、牡蠣殻とかが溶けだしてきてアルカリになっていくんです。pHは中性ぐらいで「留まってるじゃん」ってなる。
さっきのアピストのお店さんで、調子の悪い水槽見せてくださいって言ったら大体良い魚が入っているところが調子を崩してるんです。
良いところには餌をしっかりあげてるからです。餌をしっかりあげるということは酸性分が増えますよね。そうすると、ソイルの中に入った牡蠣殻が溶けます。硬度がより高くなりますね。

(山田店長)
僕の中で点と点が線でつながったような感じが勝手にしてたんですけど。僕アピスト水槽ってめちゃくちゃ黒髭ゴケ出るんですよ。でもめっちゃ酸性なんですよ。

(三井社長)
そういうことがあったりするんですよ(笑)

(山田店長)
これまさにやと思います。アピスト水槽は水換えないんですけど餌めっちゃあげるんです。ていうことは酸が増えてくるから酸性になってくる。勝手に軟水の酸性っていう感覚になっていた……

(三井社長)
そうですね。ある程度、軟水なことはもちろんあり得るし、でもそうじゃないことがあるという。知っとかないとあれ?ってなることがあるのでこういう仕組みになってるってことは是非覚えといてほしいです。
あともう一つ。カルシウム、マグネシウムがあったらなんでダメなんだよっていうこともあるんですけど、カルシウム、マグネシウムがあって水草をやられるとき。水草の三大栄養素は当然知ってると思うので、山本さんに振っても大丈夫ですね。

(山田店長)
そうですね。いけるでしょう。

(山本さん)
リン、窒素、カリウムです!

(三井社長)
リン、窒素、カリウムが三大栄養素とか言われてるんです。カルシウム、マグネシウムが多いと、リン、窒素、カリウムの吸収を阻害します。また、カルシウム、マグネシウムがあるとこれをもとにしたコケが出ててくるってことです。カルシウムってどんなイメージですか?

(山田店長)
白くて硬い感じです。

(三井社長)
マグネシウムってどんな色のイメージですか?

(山田店長)
なんとなく黒っぽいイメージです。

(三井社長)
これをもとにしたコケが出るので、硬くて黒いコケが出てきます。だから、軟水の地域の人たちってこれがあんまり出てこないです。千葉県の方は絶対大変だと思います。すぐに最初から出てくるとかですね。
だから蒸発をしたとき、水槽に白い線が付きますよね。あれはカルシウム系とか珪酸だとかあるんですけど。それが成分です。

(山田店長)
そういうのが出てはる地域の方は特にご自身の水道水の状態を把握していないといけないんですね。

(三井店長)
そうですね。言い方をよくするとミネラルたっぷりってことです。アマゾンとかはgHはほぼ0に近いし、導電率も0に近かったりするんです。それはなんでかというと、雨って実は超軟水なんです。雨って蒸留水なので。降ってくるときにあまりにも純水なので、大気のNOx(窒素酸化物)とか排気ガスを逆に吸収するので酸性雨ってことになるんです。だからしばらく降った後の水は軟水です。
新潟とか軟水地域の大変なことは、アルカリが少量しかないんです。
例えば千葉県がこれぐらいアルカリがあるとすると、酸を少量足しても大して影響がないです。これが新潟とかの軟水地域になると、アルカリが少ないので酸を少し足しただけでpHがすぐに下がり始めるっていう大変さはあります。

(山田店長)
魚の魚種だったり水草の種類によっては逆に大変になりますね。水を換えることによってそれこそ天野さんが言ったような「水換えをしてないからだよ」みたいな話が出てくるんですね。

(篠藤さん)
調整はしやすい水ってことですね。

(三井社長)
話がいつも飛んじゃうんですけど、さっきのアマゾンの話ですけど。アマゾンって雨が蒸留水で川を流れていって、淀んだところにお水が入っていくと木がいっぱいあって腐植した葉っぱがいっぱいあります。あれって腐植酸なので、ちょっとの酸でそこはpH4だったりするんです。

アマゾン

ディスカス飼ってる時もpH4が良いとか。僕の時も何でだろうなと思ってたんですけど、僕の所はアルカリがこんだけあってpH4にしようとすると酸性分を3倍いれてやっと4になってたんです。

硬度⑤

アマゾンのpH4ってどういう4かというと、アルカリがちょっとあって酸性分がこの3倍あるんです。

硬度⑥

だから4です(笑)この感じなんです。だから導電率も少ないし、軟水だし。

(山田店長)
同じ4でも、当時作ってた4とは全く違うと言う事ですね。
だから、本来の発色ももちろんやし、繁殖とかを目指していくってなっても難しくなってくるんですね。



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