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おたかさんと私

おたかさんとは2年前に知り合った。そしてその翌年、一緒に仕事をすることになり、おたかさんがいわゆる上司、私が部下となった。
おたかさんと一緒に仕事をしてみて驚いたことがいくつもある。
まず、おたかさんはいつも笑っている。忙しく大変な時もいつも笑顔である。上司なのに偉ぶっていない。遠く離れた場所から大きく手を振って挨拶をしてくれる気さくさの持ち主だ。
そして、人に何かを頼む時、必ず敬語である。「上から目線」という言葉はおたかさんの辞書にはきっとない。丁寧に頼んで、それに対する私の仕事に、必ず丁寧にお礼を言ってくれる。
さらに、おたかさんは、人を褒めることはあっても人を悪く言うことはない。だから私は、一緒に仕事をしていて嫌な気持ちになったことがない。
そんなおたかさんが、仕事上で一度だけ少しへこんでいる時があった。メールで私にだけへこんだ理由を教えてくれたのだが、それは、その出来事の相手方の理不尽な物言いによるもので、おたかさんは完全に被害者だった。でも、おたかさんはその相手の悪口は決して言わなかったし、翌日私が会った時はもう笑顔で、大きく手を振って近づいてきてくれた。凛とした強さを持つ人なんだなと改めて感じた。
そして、今日、私達の仕事が終わった。おたかさんは舞台上で最後の挨拶をし、私のような部下やおたかさんに関わる人たちがその言葉に涙した。
おたかさんと出会えて、一緒に仕事ができて本当に良かった。
ただただ、邂逅に感謝である。

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