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映画『PERFECT DAYS』

映画館で一度観た『PERFECT DAYS』をWOWOWで観なおした。 日々公衆トイレの清掃の仕事にいそしむ゙、古いアパートで一人暮らしをする初老の男、平山。 毎日、昼食を摂る神社のベンチで境内の木々の木漏れ日をフィルムカメラで撮る、木々の種から芽吹いた苗木を持ち帰り部屋で育てる、寝る前に古本屋で買った文庫本を読む、そんなことをささやかな楽しみに、日々穏やかに暮らしている。 そんな日常に起きる出来事を通して、人生の幸せとは何かを問う作品。 平山を演じる役所広司さんの感情表現が

    • 映画『ハピネス』

       余命いくばくもない恋人、家族との別れを描いた映画は数知れずあります。私は、実際に大切な人との死別を体験してからは、いろんな理由から、その手の映画は劇場で観なくなりました。  今日、久しぶりに余命少ない恋人との日々を描いた作品『ハピネス』を出町座さんで観ました。  というのも、上映後に原作者である嶽本野ばら先生のトークイベントがあり、嶽本先生のお話を是非とも一度聴いてみたかったからです。  とは言え、私は、嶽本野ばら先生原作の映画『下妻物語』が面白かったというだけで、先生の小

      • 映画『一月の声に歓びを刻め』

         北海道洞爺湖の中島、八丈島、大阪の堂島、この三つの島を舞台に、心の傷と罪の意識を負った者が自分と向き合い再生しようとする物語。  昨日に続き2回目の鑑賞。  昨日に比べ、登場人物たちの心の内がより鮮明に想像できた。あくまでも自分の勝手な想像の域を出ないので、自分の心の働きが共感と呼べるか疑問であるが、新しい感情を知ることはできた。  普通の生活を送っているように見える私でも共感できる部分があるということは、自分の内にも傷や罪の意識が少なからず存在するということを自覚させら

        • 映画『ミツバチのささやき』『エル・スール』

          映画『ミツバチのささやき』『エル・スール』 39年前、私の映画人生に大きな転機を与えたビクトル・エリセ監督。 静かに、しかも力強く心に訴えかけてくるこの映像詩は、20代初めの若造の私には、かなりの衝撃だった。 世界には私の知らない名作があることを知り、新旧、洋邦問わずミニシアター、名画座に通いまくるきっかけとなった。 今日、改めて観ても感銘を受ける秀作。

        映画『PERFECT DAYS』