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ニキビに最適なスキンケアとは?

私は普段、一般皮膚科も美容皮膚科も診察しているのですが、ニキビで悩んでいる人は非常に多く、おそらく一般皮膚科と美容皮膚科を合わせると外来で最も多く見る肌トラブルだと思います。

ニキビは皮膚疾患です。しかし私たち皮膚科医と一般の人ではよくこの認識がずれていることが多く、ニキビにおいては保険の薬が圧倒的に有効なのにも関わらず、スキンケアだけで直そうとする方が非常に多いのが現状です。ニキビができた時は皮膚科を受診するのが間違いなく近道です。

一方で、ニキビにおけるスキンケアもとても大切で、決しておろそかにしていいものではありません。私は初診のニキビの患者さんには、まずどういったスキンケアを行なっているか聞くのですが、スキンケアによってニキビを悪化させてしまっているな、という方は意外と多いですし、実際患者さんからもニキビにどんなスキンケア商品を使っていいかわからない、といった質問をいただきます。

ニキビのスキンケアについては、以前動画でも簡単にご紹介しています。


詳細はこちらをご覧になっていただきたいのですが簡単に言うと

・1日2回の洗顔(洗顔料は優しい泡を使って)
・保湿は最低限で。ノンコメドジェニックがベター。
・UVケアは必須

といったことがポイントになってきます。今回、もう少し掘り下げたいのは実際洗顔してから薬を塗る前に何を塗ればいいのか?という内容です。

よく「ニキビにはノンコメドジェニック」と言われることが多いかと思います。実際私も動画でそのように説明していますし、「ノンコメドジェニック」とは「ニキビになりにくい」という意味なのでそれで多くの人は納得されます。ただ、「ニキビに最適なスキンケア=ノンコメドジェニックか?」と言うと、この方程式は厳密には異なります。

「ニキビに最適なスキンケア」は「ノンコメドジェニックであること」の十分条件にはなりますが必要条件ではありません。つまり、ノンコメドジェニックだからと言って必ずしもニキビに最適なスキンケアアイテムとは限らない、と言うことです。

なんだか書きながら私も訳が分からなくなってきましたが笑、要はノンコメドだったらなんでもオッケーというわけではないということを今から少し解説したいと思います。

では、どんなスキンケアがニキビにはいいのかと言うと、ニキビの病態には

・毛穴の詰まり

・皮脂の過剰分泌

・アクネ菌の増殖

があります。

ここで着目していただきたいのが「皮脂の過剰分泌」です。皮脂の分泌量はご存知の通り個人差が大きく、特に思春期にはその分泌量がピークになります。

これまでの報告では、思春期の皮脂の増加に比例してニキビの発生率も高くなるのは明らかなのですが、ニキビによってアクネ菌だけでなく肌全体の常在菌のバランスも変化してしまい、その多様性が低くなってしまうこともわかっています。反対に20代以降、皮脂の分泌量が減ってくると皮膚常在菌の多様性が増し、ニキビの有病率は減ります。

それとは別の報告でニキビがある人は、ニキビがない人よりもセラミドの量が低下しており、水分蒸散量が高くバリア機能が低下している、ということもわかっています。


つまり、肌のバリア機能と皮膚常在菌は密接に関係していて、

ニキビではセラミドが低下している、皮脂の分泌が多い

→バリア機能が低下する

→皮膚のマイクロバイオームの多様性が低下する

→ニキビができやすくなる


といった感じにニキビの悪循環を生み出してしまっています。さらに、ニキビ治療で処方されるアダパレンや過酸化ベンゾイル、抗生剤はニキビそのものには効果はあるのですが、副作用としてバリア機能を低下させてしまう原因となります。


そのためスキンケアでは、バリア機能を改善することに加えて「マイクロバイオーム(皮膚細菌叢)をサポートする」ことがポイントになります。ちなみにマイクロバイオームは、ニキビに限らず近年美容業界ではトピックの一つになっています。

話は変わりますが、この度化粧品ブランドの監修をさせていただきました。
「HAL SKIN」と言うブランドです。皮膚科医の立場から、肌悩みがあってスキンケアアイテムを自由に選べない、とう悩みを持つ人にも自分史上最高の肌を目指してほしい、という思いで化粧品を一から作りました。

それにあたり、かなりの論文を読みました。冒頭でもお話ししたように、ニキビにはまずは皮膚科の薬。その上でニキビをサポートしてくれるような、要はニキビの人にもおすすめできるようなスキンケアアイテムを作りたい、と思いました。

HAL SKINでは、現在スキンウォッシュ(洗顔料)とスキンローション(化粧水)が販売されていますが、いずれの製品もコンセプト成分として「セラミド」「ナイアシンアミド」そしてマイクロバイオームをサポートする「プレバイオティクス」を配合しています。この3つは単独ではなく合わせて取り入れる方が間違いなく有効です。

現在販売中のスキンローション(化粧水)とスキンウォッシュ(洗顔料)


セラミドとナイアシンアミドはいずれもバリア機能を改善する効果が期待できますが、さらにナイアシンアミドには皮脂の分泌を抑える効果もあります(ベースとなるスキンローションにはしっかり有効な濃度を配合しています)。この二つの成分は、ニキビにはもちろんですが敏感肌や乾燥肌の方にも使いやすく、万人におすすめできる成分です。

それに加え、バリア機能やマイクロバイオームをサポートするためにはpHも重要です。つまり、生理的なpHである弱酸性であることも重要な要素となります。

スキンウォッシュ(洗顔料)もスキンローション(化粧水)も、弱酸性。そしてスキンローションはノンコメドジェニック試験もクリアしています。試験はまぁ念の為行った感じで、冒頭でお話ししたように結局「ノンコメド」だけでは物足りないかなと個人的には思っています。

現在は(2022年秋)、ニキビの方向けの保湿剤(乳液に近いテクスチャーを想定)を色々試行錯誤していますが、こちらもコンセプト成分は変わらず、さらにニキビに有効だと報告されているような成分を盛り込みつつ、もちろんこちらもノンコメドで着地する予定です。


そう、ノンコメドだから何でもいいというわけでは実はないのです。もちろん、ノンコメドであることはニキビの方の場合、最低限押さえておきたい要素にはなりますが、できるだけより自分の肌に良いものを、と考えたら+αの要素も考慮していただくことをおすすめします。

ちなみにHAL SKINの商品はこちらより購入いただけます。




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