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season1-1 アメリカ人に憧れて

初めまして。ドンデコルテの小橋といいます。普段は漫才師として活動していますが、コロナのせいでマジで暇なのでnoteを始めてみたいと思います。僕は何事も浅く広くやるタイプどころか浅く狭くやってしまうタイプなのですぐ辞めてしまうかもしれませんが、辞めるまで頑張って書いてみます。

とは言ったものの、文章なんてあまり書いたことがない。ケータイよしもとの毎日コラムに二回だけ投稿させてもらったことはある。今年で芸歴七年目だから七年で二回だけ。その時も何を書けばいいのかわからずにエピソードなのか世の中に対する不満なのかよくわからない文章を書いた記憶がある。

noteではこれから僕の沖縄にいた頃の話を書いていきたいと思います。実は僕、沖縄にいた頃は今の僕からはあまり想像できないようなバイトをやっていたり、よくわからない大学を中退していたりするんです。文章もへたくそかもしれませんし、結構キツメの下ネタ話も出てくると思います。最悪、面白くもないエロイ話を書くだけになってしまうかもしれません。それでも良いという方だけお付き合いいただければ幸いです。

かなりわかりやすくハードルを下げれたと思うので、ここから本題に入ろうと思います。

10年前、20歳の専門学生だった僕が住んでいた街は沖縄県宜野湾市。有名な普天間基地のある街だ。家から徒歩5分の所に米軍基地のゲートがあり、家の周りには米兵もたくさん住んでいる。ていうか、実家の両隣は米兵専用のマンションが建っていた。朝は米軍基地のラッパの音で起きるし、テレビがまだアナログ放送だった時なんて、米軍基地が近すぎてアメリカのテレビが受信出来た。

沖縄以外の人からしたら、沖縄県民は米軍基地をただただ邪魔な存在だと思っていると思うだろう。僕は真逆だった。完全にアメリカ人に憧れていた。

なんかアメリカ人っていつもいい匂いするし、すれ違ったら笑顔で挨拶してくれるし、みんなかっこいいし。両隣にアメリカ人達が住んでるんだからオセロみたいに俺もアメリカ人にならねぇかな、とか意味わかんない事ばっかり考えていた気がする。そうなったとしても国籍が変わるだけで英語もろくに喋れない日本人みたいな顔したアメリカ人になるだけなのに。

サムネの絵の感じのアメリカ人になりたかった。今考えると無理がありすぎる。僕とかけ離れている。

そんな僕は当時アメリカ人にちょっとでも近づこうと必死だった。勉強は苦手な癖に英語だけかなり真面目に勉強していて、高3の時に英検2級も取った。専門学校も英語観光系の専門学校に行った。だけど、勉強をしていてもちっとも英語なんて喋れない。本物に触れる機会が必要だった。

どうすれば本物のアメリカ人と触れ合えるのかコンビニのバイトをしながら考えていた時、ふと求人雑誌の1ページが目に飛び込んできた。

「スポーツバーのキッチン募集」

住所を見ると家から徒歩五分、米軍基地のゲートの目の前だ。見覚えがある。ガラス張りのお店で、店内はいつもビール片手にビリヤードやダーツを楽しんでいるアメリカ人達でいっぱいの店だ。

キッチン担当といえど、これはアメリカ人に直接触れ合える絶好の機会だ。僕はコンビニのバイト中にすぐに電話をかけ、次の日に面接を申し込んだ。次の日、日本人の店長が面接をしてくれてすぐに採用になった。コンビニは飛んだ。

今思うとコンビニにはマジで申し訳ない。いろんなタイプの人がいるが、当時の僕はアメリカ人が絡んでくると周りが見えなくなるタイプだった。

面接の時店長が言っていた僕の仕事は料理長のサポートだ。アメリカ人ばっかりが来るお店だ、料理長はどんなアメリカ人なんだろうとわくわくしていた。そしてバイトの初日。そこにいた料理長はシーサーのモデルかってぐらいシーサー顔の沖縄人のおじさんだった。

そりゃそうだ。ここは沖縄だ。アメリカ人相手のお店だからってアメリカ人が料理をしていると何故思った。よく見たらバーテンも日本人だ。ウェイトレスに至ってはフィリピン人。アメリカの要素は今のところ一つもない。

しかし開店するとお客さんはやはりアメリカ人。少しテンションが上がったが、僕はキッチンだからお客さんと絡む機会もなくひたすらナチョスを盛り付けていた記憶がある。バーテンのお兄さんを見るとお客さんと英語で笑いながらしゃべっている。俺はああなりたいんだ!とシーサーおじさんに八つ当たりしそうになった。

「なんだ、結局バイトを変えてもアメリカ人には近づけそうにないな」

そう思いながらふてくされてナチョスを盛り付けていた。お店が閉まるころ、店長がやってきた。そういえばこの人今までいなかったな、そう思っていると

「ごめんごめん、小橋君今日初日だったな。忘れてたわ。上の店に紹介するから着いてきてよ。」

上の店??もう一つ系列店があったのか。なるほど、そこにいたんだ。ふーん、上の店ってなんだろう。そう思いながら店長に着いて3階まであがった。階段で楽しそうなアメリカ人たちとすれ違った。

店のドアの前に着く。異様な雰囲気を感じた。重そうな扉、ズンズンと響くクラブミュージック、葉巻の匂い、男たちの叫び声。

クラブなのか??いや、クラブとは何かが違う。クラブミュージックに紛れてうっすら聞こえるのはMCのような声と男たちの歓喜の声だ。やばいところに連れてこられたのではないか。アメリカ人に憧れた男の末路はここなんじゃないか。もう不安しかない。

店長がドアを開け、中に入れられた。そこにあったのは、成人したばかりの男には目を疑う光景だった。

「Next entertainer is Yuna! Yuna to the stage!」

「Woooooooooo!!!!!!」

僕の目に飛び込んできたのは、ステージで踊る裸の女性と、それにドル札を投げ込んでいる大量のアメリカ人男性達だった。そこはストリップクラブだったのだ。

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イメージではこんな感じの場所。暇すぎて絵まで描いちゃった。

曲に合わせてポールダンスをする金髪の外国人女性。飛び交うドル札。映画の世界そのものだ。マジか、と思わず笑ってしまう。人間は急に異世界に放り込まれると笑ってしまうのかもしれない。

刺激が強すぎた。映像でしか見たことない綺麗な外国人女性の裸が目の前にある。店長が何か言っていたような気がするけど、ガン無視してステージを見ていた。美しい。エロイとかじゃない。ポールダンスって美しい。これは一つの芸術だ。そんなことを考えていたらダンサーがステージをおりて店長に近づいてきた。

店長「Hey,Yuna.This is new kitchin guy.」

ユナさん「Hi,Nice to meet you.」

僕「ナナナ、ナイストゥミートユー・・・」

目の前には僕より身長が大きい綺麗な外国人女性。さっきまで素晴らしい芸術を見せてくれた人だ。緊張と尊敬が入り混じっていた。するとユナさんは目線を下にやりいきなり僕の股間を掴んで、笑ってこう言った。

「Oh,Boy.」

芸術作品を見ていたはずの僕の股間は、なぜか反応していた。

僕は、大人の階段とアメリカ人への階段を100段ぐらいすっ飛ばして上った気がする。僕のアメリカ人への道は始まった。





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