マガジンのカバー画像

らくごはん

10
落語に出てくる食べ物いろいろ。その雑感。
運営しているクリエイター

2015年2月の記事一覧

らくごはん(10)

「茶の湯」 利休まんじゅうという名のご隠居創作菓子

「ちりとてちん」と同じく、「知らない」と言えないひとの噺。
落語には、知ったかぶりのひとが出てくる噺は多く、
「転失気」や「やかん」「千早ふる」なども
「知らない」が言えないことで、出任せを重ねていく問答や
とんちんかんな騒動を描いている。

さて、この「茶の湯」はというと…。
ある大家の旦那が隠居して、根岸に引っ越してきたが、
毎日する

もっとみる

らくごはん(9)

「黄金餅」 あんころ餅

食べ物の噺ではあるけれど、あまり気持ちのいい噺ではない。
落語だから笑える部分もあるが、
全体には暗く重い空気がまとわりつく。
「落語は人間の業の肯定」と言ったのは立川談志師匠で、
その談志師匠が得意としていた噺でもある。

人間の業とはなんだろうか?
喜び、楽しみ、愛おしむ。
嘆き、悲しみ、哀れむ。
怒り、憎しみ、妬む。
どんな人間でも複雑な感情を抱え込んでいる。

もっとみる