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12. 浮いたり沈んだり 【 旅の記憶 】 6/7-10

6/7
春野を出発し、お勧めされていたビオあつみへ。
スーパーとして、オーガニックな商品や無添加のものをたくさん揃えているお店。
こんなお店をじっくり眺め歩くのは大好きだ。
あれも欲しい、これも欲しい、夢のような空間。
自ずと財布の紐も緩んでしまう。

自分たちが必要だと思うものを必要なタイミングで手に入れるのだから胸を張って買っていいのだけれど、懐が寂しくなってくると不安な気持ちも出てくるもので。
今日の宿を決めないままにとりあえず西へ向かう。
移動中、深く深く気分が沈む。
沈んだ気持ちを十分に味わう。うだうだとしんどい。けど、とりあえず生きる。そんな感じ。

夕方近く、ようやく目指す宿を定め、愛知県安城市へ向かう。

photo by YUTAKA KOBAYASHI

6/8
朝。目が覚めて、なんだかどんより。
疲労が溜まっているのか、気持ちの問題なのか身体が重い。
夫も疲れが溜まっているようで、潔く連泊することに。
こういう時はしっかり休むに限る。

午後になり、少しだけ散策。
スーパーに行ったり、公園に行ったり。
暮らすように旅をするのは肩の力が抜けていて楽だ。
非日常の旅行もたまにはいいけど、私には刺激が強くてなんだか疲れてしまう。思い込みかもしれないけど。

photo by YUTAKA KOBAYASHI


6/9
今朝は出発できるくらいの状態。まだまだゆっくりしていたいけど、次に進もう。
この先のルートは、紀伊半島をぐるりとして大阪入りする予定。そのあとはようやっと広島にたどり着くはず。

気持ちは低空飛行な感じ。
揺れる感情を受け止め、自分の内側との対話を試みる。

(ここからはスピリチュアルなイメージが入ります。苦手な人はスルーしてください)

最初に出てきたのは天真爛漫、無邪気な魂。
なんでもかんでも体験したいんだもん、お金がないのも体験してみなきゃわからないから、体験したいんだ〜!と満面の笑み。

いや、もういいよー。十分すぎるくらい体験してきたと思うよ?まだ足りんの?体験したいっていう気持ち、違うベクトルに向けよう?って言ってはみたものの、うふふと笑ってどこかへ行ってしまった。

次に出てきたのは魂というか、雫。静かに波紋を作りだしていた。
おじいさんなのか、おばあさんなのか、かなりの年月そこにいて、ゆらぎのような美しい波紋を淡々と作っていた。
あまり多くは語らず、ただそこに在る、ということを教えてくれたような気がする。

しばらくして内側の対話から戻ってきた。
不安なような、少し大丈夫、と思えたような、不思議な感覚。

こんな面倒くさい私を見守ってくれる夫はなかなか貴重な存在だろうな。よく叱られるけど(私が問題ありあり)有り難い存在。

photo by YUTAKA KOBAYASHI


東北の人間からすると、なかなか通ることのない紀伊半島。
道路に沿うように続く小高い山と海に挟まれて車は進む。
なんだか雰囲気が違う感じ。なんて言えばいいんだろう。景色が淡い。
語彙が乏しいな、もどかしい。

途中川のような不思議な形状の海でちゃぽちゃぽと足をつける。
すっかり海が好きになった様子の息子。

夫が愛媛で出逢った方がやっているという徐福茶屋にたどり着く。みかん農家さんだったり、ゲストハウスを経営したり、なんだかいろいろやってるらしい。
こじんまりとした店内で珈琲片手にご近所さんたち?が集まって井戸端会議しててなんだかいい感じ。
店主さんにお勧めされて、すぐ近くの熊野古道を歩く。
鎌倉時代の石畳で伊勢路の石畳では最も古いそうで。なんだかもののけ姫の世界に少しだけ足を踏み入れた気分。
虫は得意じゃないけど、こんな木々の中で風の音、自然の呼吸に身を委ねていたい。

徐福茶屋を出発するが今日もなかなか宿が決まらない。ピンとくる宿がないのだ。
どこまで走る?でも長時間すぎる移動はしんどい。
ああ、また気分が沈んでくる。物事の巡りが滞ってくる感じがすると途端に気持ちがざわざわし始める。
段々と太陽が傾き始めた景色を眺めながら、ずいぶん遠くまで来てしまった、と急に心細くなった。太陽とともに沈もうと思えばどこまででも沈んでいけそうな気分。
だけど、ぐらぐらな気持ちをぐっと立て直し、えいっと宿も決め、本日の宿へ。

夜、私たちの今と未来をつなぐヒントとなるオラクルカードを引く。
オラクルカードからメッセージを受け取り、次の行き先は奈良に決定。
明日は鹿に逢いに行くことにしよう。

photo by YUTAKA KOBAYASHI


6/10
朝、瞑想をしながら涙が溢れた。理由は忘れたけど、内側からたくさんのメッセージを受け取った気がする。エネルギーが息を吹き返してきたかも。

夕方奈良に着く。
奈良公園周辺の道路を自由に横断する鹿たち。
そのペースに車も合わせることになるから、なんだかゆったりとしていて良い感じ。奈良のことは全然知らないけど、住む場所としてありかもしれないと直感的に思う。

さて、明日は大阪入りだ。
すごく心が右往左往、浮いたり沈んだりなここ数日。
半年以上経った今でも思い出せるくらい印象的な心模様であったことは確か。

今回はこれくらいにして、それではまた。

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