放し飼い

猫の室内飼いを強制される時代?

はじめに

 まずは、こちらのCMをご覧下さいまし。おそらく、知っている方も多いのではないでしょうか。

猫の飼い方はこうだ!というのを、さだまさし氏の「関白宣言」という曲の替え歌に乗せて歌っているACのCMです。わりと猫好きな方からの評判も良いCMみたいですが・・・。

 私はこのCMがTVで流され始めてから、とても疑問に思っていることが1つあります。それは、猫を飼っている条件を問わず、室内飼いを強制されなければいけないのか? ということです。

 猫を飼う上での様々なリスクを減らすためにも、室内飼いを推奨する・・・その姿勢は分かります。しかし、どうも最近の世の中の風潮は、このCMに代表されるように、最初から室内飼いありきで話を進めようとしているのが目について仕方がありません。

 猫が好きなら当たり前じゃないか、と言う人も大勢居るとは思いますが、今回私は、そこに疑問をぶつけてみたいと思います。

我が家の猫たち

 まず、我が家の話からしたいと思います。うちは代々、ずーっと猫を飼っています。1年や2年そこらではなく、それこそもう何十年と飼い続けています。犬よりも猫、という人間が多い血筋なのでしょうね(笑)。そんな猫たちの中でも、長寿だった先々代と先代の猫を紹介したいと思います。

 まず、先々代の猫・ミーについて。この猫は、元々捨て猫でした(雰囲気的に、かつては別の人間に飼われていた可能性もあったと祖母は言っていましたが)。たまたま祖母が外出した先で見付け、声を掛けると寄ってきたそうです。で、祖母が抱かえて家まで連れてきたものの、「やっぱりこの猫はアカンな」という全く意味不明な理由で、元いた場所に戻しました。するとその後、祖母が家に帰るよりも早く、我が家に戻ってきていたそうです(笑)。こういった経緯もあり、うちで飼われることになったミーは、18年近くを過ごした後に逝きました。良い毛並みの、メスの三毛猫でした(中々良い写真が無かったのでこの記事ではその姿をお見せできないのが残念ですが)。

 次に、先代の猫・スズについて。私自身がハッキリ記憶にあるのは、この猫からになります。

先代

スズも元々捨て猫でした。私が小学生の頃、家族で九州旅行へ行きました。その際、宮崎県のとあるキャンプ場に、複数匹の猫が捨てられているのを発見しました(しかも、段ボールに入れてあるというテンプレートなパターン)。スズは、その何匹が居た内の一匹でした。従兄弟や他の発見者の方とそれぞれ猫を1匹ずつ引き受け、スズを選んだ我が家族は、九州からはるばる三重県まで連れて帰りました。その後スズは、ミーを抜いて20年近く我が家で過ごしました。晩年は視力も無くなり、認知症の症状も出てきたりしましたが、最期は老衰で静かに逝きました。

 そして現在、また猫を飼っています。この猫も再び名前はスズです(笑)。我が家にとっては久々のオスです。またしても、捨て猫を引き取ってきました。非常に愛想が良くて温厚な性格をしており、この調子でいけばまた長生きしてくれそうな気がしますね。

画像2

我が家は放し飼い

 さて、ここでいよいよ例の話題について触れようと思います。我が家は基本的に、猫は放し飼いでずーっと飼ってきています。かつても現在も、室内飼いは実施したこともなければ、しようと考えたこともありません。出ていきたい時に外へ行かせ、戻ってきたら迎え入れる・・・。昨今の流れとは真逆の飼い方をし続けています。おそらく今後も、よほどのことがない限りは放し飼いのままでしょう。

 単純に、寿命の話で見てみましょう。放し飼いの状態でしたが、ミーも18年、スズも20年と長命でした。ミーは獣医さんから「大往生です」、スズは獣医さんから「放し飼いで、ここまで身体のキレイな状態の猫ちゃんはあまり見たことがないです。よっぽど大事に飼われていたんですね」とのお言葉を頂いております(なお、この獣医さん2名はぞれぞれ違う先生です)。長寿のギネスを狙いにいっているわけでもなく、寿命のことだけ考えて猫を飼っているわけではありませんので、通常の飼い猫の寿命から考えれば、充分に生き尽くしたと言えるのではないでしょうか。

 他の条件も見てみます。我が家は一戸建てで、庭も畑もある環境です。交通量の多い道路からは離れていますし、猫自身もそういう場所には近寄りません。近隣に住まう方々も猫に理解のある方が多く、「お宅の猫がいつだったか不意に家の中に入ってきて驚いちゃったよ笑」という報告を頂いたこともあります。ちなみに、我が家の敷地にもよく他の家の飼い猫がやって来ています。大都会で暮らしている猫に比べれば、とてつもなく良い周辺環境が整っていることになりますね。

 つまり、何が言いたいのかといえば、放し飼いでも環境が良ければ、猫はストレスもなく安全に長生き出来るということなのです。

状況によりけり、という事実も伝えるべき

 私は別に、猫の室内飼いを否定するつもりはありません。そうせざるを得ない飼育環境の方も多いですし、そもそも猫を外へ出したくないんだと強く望んでいる飼い主さんも多いことでしょう。それはそれでいいんです。

 繰り返しになりますが、最近は新規に猫を飼う人に向けてのメッセージがほぼ全て、猫は室内飼いにしなければならないと強要しているようにしか見えないのが、個人的に気に入らないのです。それが猫の飼い方の全てだろうと言われれば、私はそれは違うと思います。

 「そもそも、猫を室内だけで飼うっていうのがね。猫は自由なもんでしょ」と職場の後輩が言っていました。私もここまでのことを言うつもりはありませんが、この気持は分かります。

 昨今の事情を踏まえると、猫は室内飼いにする方が無難ですよ。放し飼いに出来る充分な環境が整っていれば、それはご自由にどうぞ・・・と、このように言うべきではないのかと私は考えています。

まとめ

 日本の飼い猫の現状がどうなっているのかは私は知りません。ただ、おそらく我が家以外にも、飼い猫を放し飼いにしている家は無数に存在していると思います。放し飼い勢が一律に批判されたりするのはおかしいと思いますし、そういうことはあってはならないと強く思うのです。

 確かに、室内飼いをとかく推奨するに至った経緯が様々存在しているのは事実でしょう。そういうリスクを取るならば・・・という考えは理解できます。しかし、そうかと言って、最初から放し飼いをしてはいけないといわんばかりの話を全面に押し出すのは、やはりおかしいのではないでしょうか。なんと言いますか、猫の生き方は昔から自由ですが、猫を飼う人間の自由さは奪われつつあるな・・・とさえ感じてしまいます。

 とにもかくにも私が言いたいのは、放し飼いが全面的にいけないと言わんばかりの昨今の世の中の風潮は嫌いだということです。ちなみに、こういう話をTwitterで見かけた時に、「我が家の猫は放し飼いで20年近く生きましたが」とリプを送ったことが何回かありますが、大体スルーされていますね(笑)。

和解


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