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〜ネガティブ・ケイパビリティのススメ〜

 つい先日、ある勉強会で「ネガティブ・ケイパビリティ」なる言葉を初めて聞いた。私は、英語は嫌いでは無いが、何でもかんでもカタカナで表現して誤魔化そうとする会議や勉強会等が好きでは無い。皆知っていて当たり前、それって何ですか?って質問し辛い雰囲気にして、面倒くさい質問をかわして、とにかく早く終わらせようとする意図を感じてしまう。そういう時は、「それって日本語で言うとどういう意味ですか?」と聞く様にしている。
 
 その勉強会では進行の妨げになるのを避ける為、そう言う意地悪な質問はやめておいたが、後から思い出して凄く気になり、関係ありそうな本を見つけて読んでみた。「答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ」(枝廣淳子著 イースト・プレス)である。

 読んでみると「ネガティブ・ケイパビリティ」に相当する日本語は存在せず、強いて日本語で言うなら、何かを「しないでおく能力」と言うことになるということがわかった。
 「ネガティブ・ケイパビリティ、しないでおく能力」。私自身は経験上、そういう様な能力の重要性は非常に理解できるが、その言葉の存在自体を知らなかった。仕事では、何かの事象に対して迅速、かつ、効果的・効率的な対応が求められる。数値化、見える化、分析により、原因を特定し、的確に対応する能力は非常に重要であるが、これを「ポジティブ・ケイパビリティ」と呼ぶなら、陰陽で世の中が成り立っている以上、その逆の「ネガティブ」な能力もバランスよく備えていかなければ見せかけだけ、やってる感だけの人、組織になってしまうだろう。例えば、社会的、対外的に非常に影響がある問題が職場で発生したとする。勿論、安全や人命に関することで有れば原因が不明であっても、早急にあらゆる手を打つことが必要だろう。結果的にそれが無駄な対策であったとしても。しかし、原因がよくわからないが、何かをしなければいけない、何もしていないと思われることに耐えられない等、「しないでおく能力」が無いが故に、全く本質から外れて、やってる感だけで、無用な制約や手間を増やしたり等で、かえって問題の要因を複雑にしてしまってると思える施策が私の職場では散見される。もちろん「しないでおく能力」は、リーダーがぼーとして本当に全く何もしないのとは全然違う。正解を出すことが目的では無い自由で本音の話し合い。緊張感を持って、何もしないで見守る。方向性の無い集中力を持った傾聴等が大切だと著者は述べる。
 安易に答えを出してしまわない能力。その為には、東洋的な精神の鍛錬も必要になってくると思ふ。

 今回は、気になったカタカナ語から、思いがけず非常に良い本に出会えた。このnoteを読む皆様には、肝心な本の内容についての紹介、要約が不十分だ!と感じられた方も多いと思うが、そこは「ネガティブ・ケイパビリティ」を発揮してご容赦くださいませ^_^

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