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マイナンバー制度のデメリットについて

 まず年金口座を公的給付金口座に紐づけることに関しては利用者側のデメリットというものはないでしょう。年金情報は日本年金機構が管理しており、そのデータベースには住民票コードが紐づいているので、余程下手なことをしない限り、紐づけエラーは起きない筈です。

 しかし今回の紐づけエラーはそれ以外のマイナポイント獲得目当ての公的給付金口座登録でしょう。これは確定申告時にも登録できて、税の還付金口座などが登録できます。問題はそういう実績がない口座登録です。ここにはマイナポイント以外のメリットはありません。

 逆にデメリットは、いざ公的な給付金を新たに受けようとした時、その口座が連携されていないという点です。例えば電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を新規で申請した人は、仮に公的給付金口座を登録していたとしてもまたなんやかんやと書類を書くことになり、例によって「口座番号が確認できる書類のコピー添付」が必要になります。

 これは確かにマイナンバー制度、マイナンバーカード自体のデメリットではありませんが、いっん公的給付金口座を登録したのにそれが公的給付金口座として機能していないということで、利用者側からは「つかえないなあ」とデメリットに感じられてしまいます。

 この不便さはどこから来るかと言えば、マイナンバー制度がマイナンバー、及びマイナンバーカードの利用目的を予め明確にして運用する必要があることから、臨時的、緊急的な業務に応用できないというところから生じています。電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を公的給付金口座に受け取る段取りをつけるのには時間がかかり過ぎたわけです。

 マイナンバーカードと紐づけたからと言ってその公的給付金口座が全ての公的給付金に利用できるわけがないというのは、どちらの問題という話ではなく、やはり不便なわけです。

 ところで紐づけエラーの問題ですが、セブン銀行のATMのUIは比較的よくできていたのではないかと思います。ぐるぐる回されることもなく、直感的に操作できて、なかなかエラーは起きないのかと思ました。

 問題は市区町村の登録端末ですが、「前の人がログアウトしないまま」「前の情報が上書きされてしまって」というツイートを見かけます。こちらの端末操作は未確認ですが、基本的にマイナンバーカードを読み込ませ、四桁の暗証番号を入力する、というログイン方法であれば紐づけミスは起きなかった筈です。もしそうでないログイン方式を利用していたのであれば、大いに問題があります。

 法律でログイン方式迄定義する必要があるのかもしれません。

 またエラー件数の割りにエラーを起こした自治体数が多いところには、単に「人為的ミス」と片付けられないものがあるように思います。しかし報道では誰がいつどんなことをしてエラーが起きたのかが不明です。それこそコピペで貼り付けて一行ずれた、みたいなことではないとは思いますが、恐らく仕組みが複雑すぎて上手く報道できないのでしょう。

 議論が嚙み合わないのは情報不足だからです。あるいは仕組みが複雑すぎて理解できないことこそがマイナンバー制度の根本的なデメリットなのかもしれません。

※質問者も「メリット・デメリット」という表現に囚われていますが、「リスクとベネフィット」が正しいような……。

 

 

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