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マイナ保険証のエラー事象について③

 こういう方の発言を見聞きするためにいつも思うことなんですが、どこまで自分で調べて、誰からどんなヒアリングを受けて、どこからが自分の推測なのかということが曖昧だなということです。そして何が問題なのかという点に関して、正確に掴んでいるかという辺りもかなり曖昧です。

 残念ながらこの発言内容では、

・肝腎の健康保険組合の統合専用端末のオペレータにヒアリングした気配がない
・厚生労働省の担当者にヒアリングした気配がない

 と思われます。つまりこの批判そのものが「あてずっぽう」なのです。

 恐らくこの人は、氏名とはどんなもので住所とはどんなものなのかご存じないでしょう。自治体が住所データを購入していて、住民票の住所は「届け出住所」だということも。

 例えば同じマンションの住民が、

・千代田区1-1-1千代田マンション101
・千代田区一丁目一番地一号102千代田マンション

 と、届け出ても通ります。これが現実なのです。住所は検索キーとしては使いづらいものだということが解っていないと、そもそも現時点でこの問題を批判する資格はありません。現に「1-1-1-101千代田マンション」形式の住民票を私は知っています。

 しかし住所って今急にできたものではありませんよね。何故これまで百五十年くらい問題にならなかったかというと、要するに調べて問題にする努力を政治家が百五十年怠ってきて、現にその状態が続いているということですよね。

 そしてマイナンバー制度全体がそうです。法律は全て国会で審議されて改正されてきましたが、国会議員の人たちは一体何をしていたんでしょうか。その都度都度で、法改正の趣旨、変更点、問題点を見過ごしてきた責任は国会議員にあります。

 健康保険法改正の際に「どうやって保険証情報を電子的に確認するのか」という踏み込んだ理解をした人は皆無なわけです。それで今更杜撰と云っても遅いのではないでしょうか。

 なんなら「顏認証」という問題が何の議論もなく実装されたことに気が付いていない議員も多いのではないでしょう。

 現時点でやはりほとんどの人が仕組みを理解しないで文句を言っていることに変わりはありません。

 例えば専門家を自認する人が頓珍漢なことを言っています。マイナンバーカードそのものは全日本国住民が行政サービスだけではなく広く民間サービス(コンサートチケット)などに利用する前提で計画されていたものです。

 今回の紐づけ問題の根本は利用者の多さなどではありません。

 これもやってみてわかったことですが、「そもそも届け出制では無理」だったのです。これは健康保険に関わらずという話です。

 おそらく厚生労働省内では、「あってはならないデータ」の存在がいくつも確認されたはずです。そう言うことがこれまで一度も行われてこなかったこと、その制度のいい加減さが今ようやく明らかになったわけです。

 あまり具体的には書けませんが、例えばミイラになった母の年金を貰い続けてきた、死亡届を出さずに「現況届」を遺族が出し続けてきて年金を不正受給し続けてきた、みたいな意図的なものではないにせよ、一般的に届け出は怠るものだということです。

 実はデータが連携されていくと、さまざまな重複、未届、未処理、不明事項というものが見つかっていきます。例えばみなさん生活保護や出産手当金の二重請求みたいな記事を読んだことはありませんか? なんで別の都道府県で生活保護が需給できんねん、と思いますが、そのくらい「届け出制」という手法は緩いのです。

 あるいは年金の未加入者、国籍不明者というのもありますよね。住所不定なんて珍しくありません。

 勿論行政側の無知・無能という事例もあります。エンジニアでも長音をマイナスで打つ人がいます。「ロ」と「口」、「ニ」と「ニ」みたいな間違いは今回の情報連携で次第にあぶり出されてきました。

 それにしても「葛飾区」の「葛」、「八王子市」の「八」がJIS第二水準ではない異体字なのですから困ったものです。

 繰り返しですがまず仕組みをよく調べましょう。

 誰かを批判する前になぜそうなっているのかを調べましょう。あてずっぽうはいけません。

あ、買い物行くの忘れた。


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