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岩波書店『定本漱石全集』注解を校正する94 夏目漱石『行人』をどう読むか⑥

 私は『行人』という小説の面白さを伝えたい。これまで誰かが適当に読み流し、適当なことを書いていたことを責めるのが私の目的ではない。違うものは違うと言わねばならないが、できれば良いものの良さを伝えたい。ここが面白いよと伝えたい。

 しかしいかにも距離があり過ぎる。これまでの近代文学1.0の読みは余りにも杜撰過ぎて、そこから修正していくのでは時間がかかりすぎる。だからこれまでの読みとは随分違う読みをすることになる。しかしこじつけはしていない。そのことはこれまで二千回ほど証明してきたはずだ。

 昨日も。

 そして今日、こんな事を書いてみようか。

 一郎は何故直を疑うのかと。

兄さんにはないしょだよ

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