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芥川龍之介の『虱』をどう読むか② 何故金毘羅船なのか?


かう云ふ具合に、船中の侍たちが、虱の為に刃傷沙汰を引起してゐる間でも、五百石積の金毘羅船だけは、まるでそんな事には頓着しないやうに、紅白の幟を寒風にひるがへしながら、遙々として長州征伐の途に上るべく、雪もよひの空の下を、西へ西へと走つて行つた。

(芥川龍之介『虱』)

 何故この船が金毘羅船なのか、この問題も百年放置されてきた。今その答えを書いてしまおう。

 それは『虱』が帆船(反戦)小説だからだ。





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