鬼ごっこ
これだけの話なのでどう読むかもないものだ。これはそのまま、
①昔は楽々と逃げられたのに、今度は捕まった。(結婚した。)
②刑務所から出て三日目でもう捕まった。
……という芥川龍之介独特の皮肉と、
③彼が死ねばまた彼女は妙に真剣な顔で新たな夫を求めるだろう。
④ここでも「夫の死」というものがこっそりはめ込まれている。
⑤つまり『死後』ほど深刻ではないにしろ、『死後』的なモチーフが仕込まれている。
……という執筆時期とテーマとの関連性を見ておけばよかろう。
あとは、
⑥「彼」が「妙に真剣な顔をしてゐるな」という妙に冷めた目で彼女を見ていること、その「ふわふわ感」を押さえておけば十分だ。
何に十分?