彼柳被って浮きし峰もあり 夏目漱石の俳句をどう読むか76
枯柳緑なる頃妹逝けり
え? 三島由紀夫と思ってしまうような句である。この「妹」というのが誰の妹なのか解説には何も書いていない。解説には「季=枯柳(冬)」とある。まあ「この枯柳がまだ緑だった晩春の頃、誰それの妹が亡くなってしまったのだなあ」という意味の句であろうか。
季節が変わってから思い出すほどの因縁のある女性がいたということか。
勿論子規の妹ではない。まさかもう嫂を偲んだ句でもなかろう。
それこそこれは言葉に遊びもなく、私小説的な句としか思えないが、それは見せかけで案外中味はないのかもしれない。
枯蓮を被むつて浮きし小鴨哉
子規の評点は「〇」。やり過ぎ感がなくもないが、どちらかに大きく振れてもいい句のように思える。
いや、枯蓮に鴨の取り合わせがもはや月並みか。そういうものが実際にあれば格別にかわいらしとは思う。問題はその直截な読み方であろうか。
京や如何に里は雪積む峰もあり
この句にも解説は「京=都」とだけ。あのなあ、面倒臭いんか。命がけでやらんかい。ここは少し削ってもらえませんかというくらい、書いてこんと。
里は雪積む峰もありならば、京都はさぞかし底冷えがするんやろな……。都って京都?
東京?
[余談]
アマゾンのクレジットカード、普通郵便で送られてきたんだけど、なんかなー。そのままサインレスで使える店も多いし、あかんのんとちゃうかな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?