見出し画像

英語で読む『赤毛のアン』1-7

赤毛のアンの原文を少しずつ、週一ペースで読んでいます。
今回は7回目。

【前回までのおさらい】

マシューの不審な外出の理由を探るため、グリーンゲイブルズに向かうレイチェル夫人。
「こんな町はずれに住むなんてホント、変わった兄妹だわ!」

ということで、今回はチャプター1の10段落目部分です。

【本文】

Mrs. Rachel rapped* smartly at the kitchen door and stepped in when bidden* to do so. The kitchen at Green Gables was a cheerful apartment*—or would have been cheerful if it had not been so painfully clean as to give it something of the appearance of an unused parlor*. Its windows looked east and west; through the west one, looking out on the back yard, came a flood of mellow* June sunlight; but the east one, whence* you got a glimpse* of the bloom white cherry-trees in the left orchard and nodding, slender birches* down in the hollow by the brook, was greened over by a tangle of vines*. Here sat Marilla Cuthbert**, when she sat at all, always slightly distrustful* of sunshine, which seemed to her too dancing and irresponsible* a thing for a world which was meant to be taken seriously**; and here she sat now, knitting, and the table behind her was laid for supper*.

【語彙】

rap(ped): コツンと叩く、ノックする
bid(den): 勧める
apartment: 一室
parlor: 客間
mellow: まろやかな
whence: そこから
glimpse: 垣間見える
birch(es): 白樺
a tangle of vines: 絡み合った蔦(つた)
distrustful: 不信を抱く
irresponsible: 無責任な
was laid for supper: 夕食が準備されていた

Here sat Marilla Cuthbert: 
また出た!倒置法ですね。
これをフツウの文に戻すと
Marilla Cuthbert sat here.

この前の文で西と東の窓の外の様子が描かれています。
西側からは6月の柔らかな日差しが差し込み、東側は蔦で覆われています。からのHereなので、マリラは東側の、日が差し込んでない方の窓際に座っているということになります。
倒置法の強調がうまい具合に効いてます。

when she sat at all, always slightly distrustful of sunshine, which seemed to her too dancing and irresponsible a thing for a world which was meant to be taken seriously:
ここが今回の難しいところです!
まずat allって普通否定形にくっつきますもんね。「全く~ない」みたいな。
いろいろな捉え方があるんでしょうけど、とりあえず私は
when she sat at all, always slightly distrustful of sunshineの部分を
「彼女が座るときはまったく、いつもちょっと日の光に対して不信を抱くのだった」
みたいな感じで捉えました。
ん、どういうこと?
続きます。

which seemed to her too dancing and irresponsibleは、
「彼女にとっては(日の光が)チラチラし過ぎで無責任に見えるのだ」
益々どういうこと?ですよね。

a thing for a world which was meant to be taken seriously
「この世界にあるものはきちっとあるべきなのに」
て感じでどうでしょうか。

マ、マ、マ、マリラったら。。
日の光に対してもきちっとしなさい!って言ってる。。
どんだけ完璧主義なの。笑
という、カナダの6月、柔らかな春の日差しに対するマリラの性格に、思わずツッコミを入れたくなる一文ですね。

ここの部分はそのまま翻訳するのも難しく、村岡花子さんの訳ではかなりすっ飛ばしてます。
他の方の翻訳はどうなってるんだろう。
原文だからこそ分かるマリラのユニークさがここにあります。

【こばち的要約】

レイチェル夫人が台所の戸口から入ると、夫人がどん引くくらい清潔なグリーンゲイブルズのキッチンがありました。
西の窓からは柔らかな春の日が差し込みますが、チラつく日の光にすらイラついているマリラは東の窓際を陣取って編み物をしています。
マリラの後ろには夕食の準備がしてあるダイニングテーブルが見えます。

【あとがき】

お喋りで世話焼きな近所のレイチェル夫人といい、超絶人見知りの引きこもりマシューといい、痛々しいくらいの潔癖マリラといい。。
この地獄のバミューダトライアングルみたいなところに、え、なになに、主人公まだ出てきてませんけど!っていう。
主人公のアンが出てくる前にもうアンがかわいそうになって来るような人員配置です。

読んでいて思うんですが、モンゴメリさん、これ書いてて楽しかっただろうなぁ。


幼い頃読んだ本をもう一度読んでみると新たな発見があったりしますが、私は読書はそれで良いのだと思っています。

1度の読書で完璧に理解しなくて良い。
だから、英語の本もそれで良い。
全部分からなくて良い。

だから私はここで全部翻訳はしません。

皆さんの理解で、イメージで、今の立ち位置で、『赤毛のアン』を楽しめれば良いのだと思います。

若い時に読んでいればアンと同じ目線で読むでしょう。
大人になれば、マリラの目線になるのかもしれません。
今こうやって読んでいる私は、どうやらモンゴメリさんの目線に立っていることが多いような気がします。

そうやって、いろんな理解が、味わいが、一冊の本から得られるんですから、読書ってすごい。(語彙力。。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?