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ブーケと合奏の話

私事ですが、数年前からお花を習っています。主にブーケを作っています。通っている教室のレッスンのやり方は、一応テーマはありますが先生のお手本はありません。花材の組み合わせを自分で選び、自分で考えて組んでいくスタイルです。なので仕上がりはみんなそれぞれ。普段使わない頭の領域をフル回転させて、難しいけど楽しいレッスンです。

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制作過程の写真があったので。例えばこれは「リリメリアブーケ」と呼ばれる花びらを分解して大きな一輪の花を作るブーケの作成途中。出来上がるとこんな感じになります。

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始めてから2年くらいした頃に、先生から「すごく上達したね!」と言われたことがありました。自分でも、なんとなくコツというかその日のブーケのポイントがわかるようになって来た頃でした。ちょうどその頃考えていたのは、ブーケ作りと合奏はよく似ている、ということでした。

ブーケと合奏は似ている

まず、ブーケ(花束)はたくさんの花の集合体です。合奏も、たくさんの奏者が集まってひとつの曲を演奏します。
ブーケは多くの場合、いろいろな種類の花を束ねて作ります。バラだけで作るようなこともありますが。合奏も、いろいろな種類の楽器、それぞれ個性の違う奏者が集まって演奏します。
一曲の音楽の中に見せ場があるように、ブーケにもやはり見せ場があります。先生はよく「花と目があうように」と言いますが、ぐっと目を惹きつける一輪は、その曲を印象付ける大事なフレーズ。

では主役のユリやバラが決まればそれでいいのか。そんなことはない。脇で横顔を見せている副花材。隣り合う花と花のコントラスト。余計な葉を見極めて削る。何を出して何を下げるか。最後に息を止めて、ここぞという場所にそっと挿し込む勿忘草。本当に仕上がりを決めているのは、そんな小さな演出だったりします。無造作を演出するって、全部作り込んでるんやで。

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仕上げの段になると、あれこれ笑い(ボケとツッコミ)が飛んでいた部屋が静かになる時間があります。集中して自分の花に向き合っている瞬間です。どの花を出すべきか。どの葉を取り除くべきか。花と花の繋がりはどうか。揃える場所、あえて外す場所。片手に収まる花の束の世界は、本当に小さな手直しでガラッと空気が変わることがあるから不思議です。花の組み合わせは同じなのに。

この時間は、演奏会直前の合奏練習の雰囲気と同じです。小さなきっかけで全体が整って行く、一番キツいけど一番楽しい時間です。こうやって「何か」が出来上がっていく瞬間が、どうやらとても好きらしい。

土台をしっかり作ること

そして、先生は必ず言います。「土台をしっかり作ること」
入れたい場所に花を挿すには、まずはしっかりとした土台を作る。土台が出来ていないと、どこかで無理が生じて崩れたり挿せなかったりする。安定した土台の上でこそ、思い通りの花を作ることができるんだよ、と。
合奏も同じ。基礎がしっかり出来てこそ、自由に、表現したい音を乗せることができる。ということに気づいてから、やっぱり先生についてよかったと思ったし、低音やってる以上自分が一番自分を疎かにしてはいけないなと、思ったのでした。

最後の写真は、2019年最後のレッスン。お正月のアレンジメントです。
2020年が飛躍の年となりますように。

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