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宇宙

 私は小学生のころ学研の図鑑の「宇宙」が好きでよく読んでいた。科学的な興味というよりは日常とかけ離れたところに膨大な空間が広がることや何億光年という想像もつかない時間が魅力的だった。
 そして今、なんでも俯瞰して乗り越えよう、思い過そう、忘れようとする自分がいる。そんなときGoogle Earthを開くと美しい地球が宇宙に浮かんでいる。それを見れば自分の小さな悩みなど取るに足らないものだと客観的になれる。そうしているとほとんどのことが小さな悩みに見えてきてストレスを抱えることが少なくなった。仕事でうまくいかないことがあってもこれは悩むほどのことではないと思える。友達に気まずい思いをしてもそんなこともあると思える。とても楽に生きていられる。
 その反面、困ることも出てくる。命の尊さを力説できなくなっている。無論、粗末にしたいわけではないけれど、78億人の中の一人として地球に生きているから人ひとりとして一生懸命正しく生きたいという思いと、生きる意味はどこにあるのかという思いが交錯してくる。人は生まれて必ず死んでいくという原則が大きく目の前にある。それで思考が止まってしまう。感情も平坦になっていく。
 そういう悩みも宇宙の中では小さく、きっと先人も抱えてきた悩みだと感じながら。

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