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新生活と魔もの


充実感に飢えていた頃には想像もしなかった慌ただしい春

いつのまにか外は暗く、季節は進んでいた


故郷に似た景色を探してしまうのは人の性なのか

部屋に響くラジオも懐かしくなってしまった

冷蔵庫の中を思い出しながら歩く
そんな帰り道にも慣れてきた


楽しくなったきた時こそ魔ものは現れて、深い闇の底を直視させられる

そうして大切なことが見えなくなっていた自分に向き合わざるをえなくなる

反省と後悔と不安と


すべてのつながりが途切れてしまって
ここでもひとり取り残されてしまったみたい

それでも1日は24時間で、時は待ってくれない


どうか大丈夫だと思えるように祈るしかなかった

変われない自分がより責められているみたいで
すがるように祈っても何も変わらないと思っていたのに



失敗してもいい

あの人の声で再生される


心が乱されなくないなんて身勝手な理由で
ちゃんと向き合おうとしていなかった

どれだけ遠くに離れていても
言葉と声はいつまでも覚えていたい


今も、目に見えない魔ものは怖い

不安を掻き立てる情報の多さに苦しくなっては
日々、小さな幸せで満たされてうれしくなって
単純だけど
1日の終わりに浮かぶ感情だけが変わらない


責任感は必要だけど
必要以上に負いすぎず

先を見通すことはいいことだけど
考えすぎでしんどくならないように

そんな、魔ものが怖い春の夜

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