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やがて君になる今更読破&友人達との感想戦を通して感じたこと

 結論から言うと『やがて君になる』はすごい百合です。個人的に感じたすごいポイントは登場人物が持つテーマが相互に関係しあってぶつかったり、すれ違ったりしながら最後にはその縺れがほぐされて、それぞれのテーマが解決される見事なストーリーです。表情や仕草が丁寧に書き込まれていて感情の変化を客観的に写生しているのでそれぞれのキャラクターが行き着く先にも説得力があります。

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 例えば、一巻の2/3ほどの地点のこちらのページでは燈子先輩(画像→)が後輩の侑(画像←)の口をつけたボトルをいったん見て、エイヤッと口をつけている感じです。まだこの時は好きという気持ちに振り回されている感じがすごく伝わってきます。侑の方には全く恋愛感情はないのでシラーッとしてます。元運動部なのでそういうのは気にしないという感じです。

 生徒会劇というお話の山場があるのですが、そこは緊張の連続です。知らずこぶしを握りながら読んでいました。1番お気に入りのところでもあります。最終巻は大満足でした。グッジョブ。

友人達との感想戦

 本作は人を好きになるとは何なのかという悩みを抱えたキャラクター達がそれぞれの思う好きを実現しようと行動し、悩み、答えを模索します。他の人と本作の感想を共有するなら読者も好きとは何か? という問いから逃れる事ができません。曖昧な問いは曖昧な答えしか結局得られないものですが、『やがて君になる』という共通言語があれば別です。

 『やが君』を参考文献に話をして気がついたことは、同じ好きという単語の話をしているのに人によってどういった観点、評価軸で考えているかという事も違いますし、逆に評価軸が違っても結論だけは同じになる事もある。という具体的になってもなお混沌としている事です。自分ひとりでは絶対に辿り着けない観点がそこにはあり大変刺激になるもので楽しかったです。決まった答えもあるわけでは無いので様々な観点から考える機会そのものに価値を感じますし有意義でした。

 他の作品でもこういう事をしたいなあ。

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