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(昔の記事)”こわい”映画『凶悪』の感想。評価・レビュー。

今回は映画「凶悪」についての感想を書いていきたいと思います。

この映画は2013年に公開されたもので、Netflixで見られるようになっています。ずっと見たいと思っていたのですが、恐い映画だということを知っていたので、なかなか見れていませんでした。

私はそれほど恐い映画を普段から多く見ているわけではないので、こういう映画を見るときは覚悟して見てるんです(笑)今は精神が落ち着いている!ということでついに見てしまいました。

結論から言うと、映像的な恐さや犯罪者たちのバイオレンス的な恐さは、思っていたよりはありませんでした。しかし、この映画の本質である、”誰が凶悪なのでしょう”というメッセージに恐さを感じました。本記事では、そこをメインに掘り下げていきたいと思います。

この映画のメインキャストを務めるのは、山田孝之、ピエール滝、リリーフランキー。なんと豪華で個性的なキャストでしょう(笑)。映画好きならたまらないキャストですよね。私もこの3人が出演している映画は好きなものが多いので、今回は3人の演技にも楽しませていただきました。

そんな映画凶悪について、今回は”恐い”をテーマに感想を書きたいと思います。

目次

①リリーフランキー演じる先生の”恐さ”

凶悪2

この映画を見た誰もが思うのは、先生が恐すぎるというところだと思います。

暴力的でエグいことを散々している須藤(ピエール滝)が霞んで見えてしまいますよね。須藤は、なんというかいわゆる映画で出てくる悪役という感じで、まだ心があったような気がします。須藤のどこかにはまだ人間ぽいところがあって、情に厚い人ということが伝わってきました。須藤も残虐な殺人を繰り返している”凶悪”な人なんですけどね。

一方で、先生は本当に根っこからのサイコパスで、須藤の人間らしさみたいなのが全くありませんでした。火を放つときやスタンガンを使うシーンでも、本当に小さい子が興味本位で俺もやりたい!と言う感じで、”私にやらせてよ。やってみたかったんだよね~”と言います。本当に恐い人は、いつも喋るトーンでこういうことを言うんだなと思いました。

②映像的に最も”恐い”シーン ~おじいちゃんに無理やり酒を飲ませる~

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怖いシーンは、たくさんありましたけれど私的に最も恐かったシーンは、おじいちゃんに酒を無理やり飲ませ続けるシーンです。なんか一番エグかったです。

映画などでは見慣れているナイフを使う殺人とかの方がまだ残酷性は薄かったと思います。よぼよぼのおじいちゃんに、無理やり口を開けさせ、ただひたすら酒を飲ませるというなんとも恐いシーン。

このシーンを見ている時は、これ以上映像に入り込むと本当に恐くなってしまうという防衛本能なのか、これは映画と言い聞かせ客観的に見ていました(笑)

ただ、さらに恐いところがこの映画は実話をもとに作られているというところなんですけどね。

③この映画の本当の”恐い”ところ ~この映画を見たあなたも凶悪かも~

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これが映画の主題で一番深く語りたいところです。

正直、私的には単純な恐さは意外となかったです。単純な恐さというのは、グロテスクなシーンや暴力的なシーンなどの映像的な恐さです。もちろんグロテスクなシーンはたくさんありますが。

この映画では単純な恐さより誰しもが凶悪なのかもしれないというメッセージの恐さを感じました。

酒を飲まされ続けるおじいちゃんもおばあちゃん達家族が先生に借金返済のために殺してくれとお願いします。そして、主人公の藤井(山田孝之)の妻も、認知症の姑にストレスを溜め暴力を振るっていると自白します。そして妻は、早く姑が亡くなれば良いと思っているとも言います。妻は、殺人を犯していないだけであって、おじいちゃんを殺すようにお願いしたおばあちゃんたち家族と気持ちは同じです。

そして、ライターである藤井も事件のことを夢中になって追いかけ、犯罪者(人)を一番殺したいと思っている”凶悪”な人物でもあるのです。

なにが言いたいかっていうと、藤井、藤井の妻、おじいちゃんの妻であるおばあちゃんとその家族、罪を犯していない人々も”凶悪”な一面を持っているのです。

最後のシーンぞっとしましたよね。刑務所で、ガラス越しから先生と藤井が話しているシーンです。最後、先生が帰っていき、カメラが離れると刑務所外からガラスに対面してこっちを見ているような形で映っていた藤井が、ガラス(刑務所)の中にいるのです。

誰もが、実は”凶悪”で”恐い”一面を持っていたのかもしれません。そして、それは視聴者も同じなのかもしれません。

④まとめ

単純に恐いのはもちろんですが、そのメッセージ性がさらに恐かった映画でした。そして今回は深く触れませんでしたが、キャストの演技はすさまじかったです。私の好きな、池脇千鶴さんも相変わらず素晴らしかったです。

そういう部分も含めて映画”凶悪”ぜひご覧ください。

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