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プレゼント 「ごめーん!!!待った?」 2019年12月。その日も、アヤのキャリアウーマンぶりは健在であった。 1時間の遅刻でアヤは到着する。聖なる夜を祝うために、シュンとアヤは、2人が出会った駅前で待ち合わせしていた。 駅前は幻想的な光に包まれ、辺りは幸せそうな男女で溢れている。 「いや全然!!」 シュンはここでも自分を殺す。殺すというより、これが彼の持ち味であり本心なのかもしれない。実に優しい男性だ。 そして予約した高級レストランへ光の道を歩
準備 2026年、4月1日。 携帯のスヌーズ、テレビのおはようタイマーで嫌々目を覚ます。渋々カーテンを開けると、途轍もない勢いで光を浴びた。どうやら人間たちの功績を太陽が称えているようである。過去5年間を振り返れば、それもそのはずだ。 猫背で腰パンという、何とも覇気のない態度で洗面所へ向かう。 ほうれい線の深さ、でこの広さ、頬シミの多さ、鏡を見て自分が中年男へと着実に向かっていることを悟る。次に来るのは体臭のきつさだろう。未来に希望なんて、これぽっちもなかった。