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たられば

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完結済みです。「死とは?」これは「何でも屋」と「高嶺の花」の物語。フィクション小説です。
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#フィクション

たられば<3話>

プレゼント 「ごめーん!!!待った?」  2019年12月。その日も、アヤのキャリアウーマンぶりは健在であった。  1時間の遅刻でアヤは到着する。聖なる夜を祝うために、シュンとアヤは、2人が出会った駅前で待ち合わせしていた。  駅前は幻想的な光に包まれ、辺りは幸せそうな男女で溢れている。  「いや全然!!」  シュンはここでも自分を殺す。殺すというより、これが彼の持ち味であり本心なのかもしれない。実に優しい男性だ。    そして予約した高級レストランへ光の道を歩

たられば<2話>

全ての始まり 2019年5月、東京。  先月28歳になったばかりのシュンは、今日も満員電車という戦場へ足を踏み入れた。彼の身長は165cm。いつも通り高価でも安価でもないスーツを着用。ブサイクではないが、イケメンとはほど遠い顔立ち。  彼の仕事は営業である。仕事成績はチームで平均的な順位。さほど高くないし、さほど低くない。部署では、頼まれたことは何でも引き受ける「何でも屋」としての地位を確立していた。  ビジネス的な実力はまだ身につけられていなかったが、同僚からは優しい

たられば<1話>

準備 2026年、4月1日。  携帯のスヌーズ、テレビのおはようタイマーで嫌々目を覚ます。渋々カーテンを開けると、途轍もない勢いで光を浴びた。どうやら人間たちの功績を太陽が称えているようである。過去5年間を振り返れば、それもそのはずだ。  猫背で腰パンという、何とも覇気のない態度で洗面所へ向かう。  ほうれい線の深さ、でこの広さ、頬シミの多さ、鏡を見て自分が中年男へと着実に向かっていることを悟る。次に来るのは体臭のきつさだろう。未来に希望なんて、これぽっちもなかった。