立憲民主党党大会を開催。- その2。

党大会の感想その2です。枝野さんのスピーチを読み進めました。

twitterを見ていると、党大会に対するネガティブな報道や意見する側を批判する支持者がやっぱ多いな~、という印象です。それは個々の意見なので、僕はそれは別にいいと思っています。だけど、ネガティブな意見がある事に対して、「それは違う」と言うのはどうなんでしょうか。

党大会の模様を見て、「いやいや、これじゃ期待できないよな」という声って、すごく貴重ではないですか?SNSで情報過多になるこんな時代だからこそ、いろんな人が情報を遮断しようとします。心がもたないからです。だけど、政治家はそれを糧に変える事が出来る唯一の職業じゃないでしょうか。

先に申し上げると、総論で枝野さんは善い事を言っていたと思います。もしこれが、09年に政権交代を果たしていない政党がこのタイミングで政権を狙ってスピーチしたとしたら、国民の期待はグッと上がっていると思います。総論ではプラスなスピーチだったと思うんです。だけど立憲の今おかれている現状は、「あれだけ期待をしたのに裏切ってきた人たちが、再び気勢を上げている」事を前提として見られているのです。

それを踏まえて、今回の党大会および枝野さんのスピーチを読み進めなければいけません。なぜ、諸手を上げて「いいスピーチだったよ、枝野代表!」と私が言わないのか。それは、戦略的政権交代を果たすためですよ。それも前提を置いて頂き、以下をお読みいただければと思います。

自助を強調してきた自公政権では、この歴史的変化に対応できないのは既に明白。
この危機にあって支えあいの政治を抱え、命と暮らしを守る政治への転換を図る。

 これがまあ、枝野さんの一番言いたかったテーマになりますね。言い方悪くするとコロナ危機を利用しているように見えますが、言い方をよくすると、結局は安倍政権から続く自民党政権のやり方が、危機において限界に達した。だから自公政権はダメなんだよ。ようやくその証明が出来たので今が転換を図るべき時だ。といったような感じでしょうか。総論では僕は大賛成。この転換を図って欲しいとあらゆる人が思っています。でも、多くの国民は「それをして欲しいのは立憲じゃない」「自民党の誰かかな」「新しいNEW LEADER出てこないかな」といった感じじゃないでしょうか。立憲はお呼びではない、という事なんだろうと思います。さらに進めます。

感染苦境にあう国民の声を真正面から受け止めるために昨年9月新しい立憲として結集を図った。
幅広く多様な仲間が集まったことは財産。
政権の選択肢として認めてもらう事は簡単ではない。奇をてらう・人気取りの大衆迎合に走っても見透かされる。
ゼロコロナのビジョンを実現し、目の前の国民の命をまもるために多様な力をまとめる。
一人ひとりがこの状況の中で常に自分に問いかけ何が出来るか。
議員、総支部長、支持者、自分たちに出来る仕事をやりぬきましょう。そうする事で政権の選択肢として認めて頂けます。

 枝野さんらしい部分がここに強調されていますよね。「人気取りに走らない」「風頼みをしない」といった部分。それぞれが力を果たす事こそが大切で、それを多様なメンバーが達成できたときに政権の選択肢として認めてもらえる。という内容です。この方針というか考え方は枝野さんがずっと前から貫かれている事のように思います。であれば、なぜ17年~19年の間にこれが為されなかったのでしょうか。

単純に、19年参院選で比例票を500万票も失くしてしまったのは何故でしょう。時間を掛けて信頼を積み上げていく、ひとりひとりが実践していく事で結集された力の結果が、あのマイナス500万票だったとしたら、活動すればするほど、自分たちの票が減っていくという事に他なりません。つまりは、総論は正しいが、やっている内容が問題で、やればやるほど支持を失っている。その現状を真正面から受け止められず、「奇をてらわない。人気取りに走らない」という弁明で逃げているだけではないのか。と僕は思うわけです。ここが枝野さんの弱点で、立憲が支持を拡げられない最大の理由です。

新しい社会の姿は既に共有が出来ている。
競争と自己責任ばかりの時代遅れの政治を転換する。
医療や介護、子育てや教育 ベーシックサービスの充実。
希望すれば正社員になれる、安定して働ける雇用を取り戻す。
将来不安を小さくすることで国内需要を喚起し、経済の安定的な成長を実現する。
分散型の自然エネルギー立国を推進し、地域経済を活性化するとともに世界に貢献する。
これらを実現できる機能できる、危機の時にこそ暮らしを支える機能を持つ政府を作る。
誰一人取り残される事のない包摂的な社会を必ずや実現する。

 この部分が政策のミソの部分ですね。立憲が政権を獲れば、こういう政策を実行し、社会を作り上げていくという部分。結構駆け足でお話になられたので文字起こしが大変ですが、おおよそこういった感じの内容です。僕が一見した感じだと、この内容はいずれもすぐにパッと出来るような課題ばかりじゃなくて、ひとつひとつがまさに転換。今ある仕組みや制度を結構変えないと実現できないものばかりかな、と思うわけです。いわば価値観をも。

現社会の流れとしては、競争はある程度必要で、競い合う事で無駄が削られ、切磋琢磨が経済の成長を生むようなルートがトレンドになってきていますし、ベーシックサービスの充実は、旧民主党政権がやっていた「バラマキ」とどう違ったビジョンとして提示していくのかが気になります。働き方の多様性が求められている中で、立憲がこだわる正社員基本への回帰は有権者からどう受け止められるのか、自然エネルギー立国は既得権と本当に戦えるのか、危機の時に動ける政権をあの東日本大震災の際にわちゃわちゃした民主党が再びかじ取りが出来るのか。そして頑固な枝野さんが包摂的な社会を果たして作れるのか。

一個一個見ていくと、総論は賛同できるものの、「本当にあんたらに出来るの?民主党政権で失敗したあなた方にこんな転換が出来ると思ってるの?」と言わざるを得ない内容になっています。

誰一人取り残される事のない包摂的な社会を必ずや実現する。
歴史的な使命を果たすため、総選挙において多くの国民の皆さんと共に立憲を中心とする政権を作る。
政権構想を作り、賛同いただける多くの皆さんと連携し、幅広い有権者の皆さんに訴えていく。
最大野党として存在している歴史的使命の責任をともに引き受けていきましょう。
行動指針→自己責任から支えあいへ。ゼロコロナの社会へ。あなたのための政治へ。政権の選択肢へ。
国民と共にこの危機を克服する。

 そして枝野さんのスピーチは、最後にこうやって締められました。最初に僕が書いた通り、これが09年政権交代を果たし失敗した政党じゃなかったら、総論は正しいのである程度の期待は高まったと思います。でも、あの失敗をしてしまった政党がこれを言うのですよ。「本当に出来るのかよ。また出来なくて裏切るに決まってるよ。信用できない」と言われるにきまってると思いませんか?

ここでコアコアな支持者の登場です。「そうやって野党がダメだ、立憲がダメだと言ってきて育てないから、自民党独裁が続いているんだ」と言われるわけですよ。それは有権者の責任ですか?国民の責任ですか?違うでしょう、最初に裏切った民主党の責任でしょう?結局は10年近くもその払拭が出来ていない政治側の責任なんですよ。だから、スピーチには絶対的に具体性がいるわけです。時間がかかる事は時間がかかると言う。明確な金額は出せなくても規模感は出す。誰がどのような手法で取り組んでいくかのイメージを視覚化する。まともに聞いてもらえるためにも出来る事はたくさんあります。

ですが、この党大会をもってしても、枝野さんは「政権構想を作り~」と言って、まだ作っていない事を明らかにしました。はっきり言います。僕はこの党大会でしっかり目の政権構想を出してくると思っていたからガッカリしましたよ。自民党にパクられる?いいじゃないですか。一番注目を集める党大会で政権構想が出てこなかったのは極めて残念でした。せめて概要くらいは出してもらう必要はあったと思います。

付け加えると、明確な党員サポーター・パートナーズの区分や役割、在り方も出てきませんでしたね。中途半端な図だけは出ていますが、これでどうやって政治参加させていくつもりでしょうか。。。

形にして明確化できなかった今回の党大会、枝野さんのスピーチは100点満点中30点というところでしょうか。総論は正しい。じゃあ、あなたはどうやって実現するの?本当にあなたに実現できるの?ここの疑問は一切晴れないままです。「あなたと共に実現するんだ」はただの言い逃れです。そんなコアコア支持者に向けた言葉など要りません。多くの有権者は投票する事だけで精一杯です。それを分からないと始まりません。

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