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#56 HUMANisM

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お久しぶりです。毎日生きてます。
こういうのって時間が経ってから書くことじゃないんだけど、
思い出しながら書いてるとこうやって書くまで忘れてたことを思い出してくるから嫌いじゃないんですよね。
それにこの件に関しては忘れるのが難しいくらい貴重な経験だったな。

今回はそんなひと昔前のお話を事細かに。







HUMANisM ~超★地獄編~2022



大分で初めて行われたフェス。

主催は大分県別府発 ircle

拠点を東京に移して活動していた。


俺がircleを知ったのは高校生の時。
当時ドラムの先輩がircleが好きだったこともあり知った。
MVを見てライブに行った。
すごくかっこよくて、お金ないくせにCDもTシャツも買った。

これはまだ今のバンドを組む前の話。



そして、時は過ぎてMy Peaceが結成された。
2年間自分らなりに頑張った。そして、

2022年 2月。
初めての1st Albumを出した。

リリースした日のライブはありがたいことにSOLDもした。
CDもたくさん売れた。


ここで終わっていたら、ひょっとしたら今の自分たちはまだもう一段階下のステージにいたかもしれない。
そこからはircleが背中で教えてくれた。



とある情報が流れてきた。
某有名バンドが一気に8組も大分にやってくる。
しかもそのフェスのOAを決めるオーディションが開催されることとなった。
もちろんエントリーした。
誰がエントリーしたかもわからないまま当日を迎えた。

ライブ型式は持ち時間10分。

普段は30分ほどの演奏時間があるためすごく短い。
でも短い時間でどれだけ自分たちを出せるかが勝負だと思った。

セトリも入念に考えた。
10分あれば3曲頑張ってやれる。
できるだけいろんな顔を見せたいと思った。
短い曲もあるし、前日はそれで練習をしていた。
でもゲネを終え、みんな何か違うと思い考えた。

どうしても時間にとらわれて落ち着かない。
気持ちが悪い感じがした。


結果4人で何十分も考えて出した結論は2曲。
叶わなかった恋がモチーフの「ごめんね」という曲。
アルバムのリード曲でMVもある「ソラヲアルケ」の2曲。


この2曲を噛み締めるように大切に大切に届けよう。
それで時間が余ってもいい。
自分たちが一番自信を持てるのは曲の良さだ。
じゃあその自信のあるものを確実に届けよう。

そう話した。
これが当時の俺らの戦い方だった。


その思いを胸に当日を迎え会場に向かった。


エントリーしたのは当たり前に知ってる顔ばかりだった。
当日までに他のライブで会ってるはずなのに、みんな意識してるせいか、当日会うまでその話を口にしなかった。
案の定、楽屋は闘争心むき出しのピリピリ感MAXな一室だった。



オーディションは初めてだった。
ロクハイはもうなかったし、そもそもバンド人口が減り、コロナもあった後だった。

正解のない音楽で勝ち負けが決まるのはなんか少しむずがゆい気がしたが、
やることはいつもと変わらない。
大丈夫だ。
って何度も心に言い聞かせた。


でもいざ他のバンドを見ると少しビビった。
だっていつもより気合入ってる。
見てわかる。
ちょっと「あ、やばいかも」って思う瞬間だってあった。

でもライブによって気合いが変わるのもおかしな話。
今までも100%でやってきた。
今日も100%を出すだけ。


そして、ステージに立った。
正直緊張しすぎて、あまり覚えていないけど、
”手ごたえがある”感覚だけ覚えている。

ステージが終わった後、
「やり切った。これでだめならもう悔いはない」
ってぐらいにやり切った。


あとは結果発表。

BiitsHALLの後ろの方にメンバー4人で並んだ。
結果発表をする司会が紙を持っている。


「あそこに書いている」


みんながそう思ったと思う。


そして、司会が
「グランプリは…」

という。

もう発表されると思ったら、
しっかり間が空いて

「ドゥルルルルルルル」
とドラムロールが鳴り始めた。

もう心臓が持たないから早くしてくれと思った。







そして、もう一度司会が
「グランプリは…」
という。


次こそくる、


「…」



本当に
人生で胸が苦しくて息もできなかったのはこの一回だけ。


司会が読み上げたバンド名は僕らのバンド名だった。

あの有名バンドとやれる嬉しさと、たくさんの人に見てもらえる機会を得たこと、そしてなによりこれは綺麗事でもなんでもなくて本当に心から思ったのは、
2年間の中で、オールでスタジオに入って朝まで曲を作ったり、喧嘩したり、沢山ミーティングをして泣いたり言い合ったり、きついことが多い中で、やっと一つ。
ほんとに小さな一歩をアルバムに続き4人で踏み出せたことが一番嬉しかった。
認められた気がした。

そう思うと思わず涙が溢れ出した。


分かってはいる。
これがゴールではないし、自分たちがチャンスを与えられた雛鳥にしか過ぎないこともそうだし、エントリー条件を満たせずエントリーすらできなかったバンドもいる。運が良かっただけ。
グランプリが呼ばれた瞬間、喜ばず落ち込んだお客さんの姿まではっきり見た。
そりゃそうだ。みんな自分の推しバンドを応援しに来てる。

俺らが選ばれることに不満を持つ人間がエントリーした中にも外にもいることはわかってるけど、でも、結果がすべてのこの世の中で今俺たちは4人で小さな結果を出せたことに胸を張ろうと思った。


涙は止まらないけど、ステージに上がるよう言われ急いで向かった。
祝福されるものを勘違いでもいい。今の正解はこの空気を感じることだと思い、堂々とした。


時効だから言うけど、
うちの照明だけ曲にばっちりあっててずるいとかいう声もあったらしい。

いい加減にしてくれ。笑
俺たちは地元バンドの中で一番ライブ本数を多くやっているとライブハウス側から聞いている。
何本もやってるんだから照明さんも曲を完全に覚えてて当たり前だろ。
そこも自信もってやってんだ。
てか、照明じゃなくて音楽で勝負しろよ。

と思った笑
なので、言わせておけの精神だったためダメージはゼロだった。


こうして、ircleとの付き合いが始まった。

すごくいいライブだった。
本番も思いっきりやってくれたらいいよ。
よろしくね。


こんなに大きくて優しい背中は今までなかった。
俺たちは俺たちの戦い方で勝ってチャンスを得ることができた。




本番が余計に楽しみになった。






本番当日。

オーディションに出る前から、勝つつもりでいたためチケットはとっていなかった。
行きの車でそんな話をしているとQちゃんだけチケットを取っていることがわかった。
どうやら、オーディションが発表される前からとっていたらしい笑


電車で行くはずだったHUMANisMは機材車で行くことになった。




まずは搬入。


あらかじめもらっていたマップの通りに車を走らせ、俺は車から降り、おっきな鉄の門を開けた。
Qちゃん号が入っていく。


奥に搬出入用のどでかい入口があった。

スタッフが立っており、僕らが着くなり機材を全部運んでくれた。

もちろん俺たちも運んだけど、大きなバンドになればこういうのも手伝ってくれるのかと思った。


各スタッフに挨拶を済ませ、楽屋に荷物を置きに行こうとしたが、楽屋と本番直前のアーティストのみが使える前室は別。
俺たちはOAの為、最初から前室が使えた。

一度そこに荷物を置き、バンドマンの名刺となるCDをもって各方面に挨拶に行くことにした。

最初にircleに会った。


良くも悪くも期待はしてないしすごく楽しみだ。
思いっきりやってくれたらそれでいい。


って言ってもらったことをはっきり覚えている。


そして、他の演者はまだ到着していなかったがSIX LOUNGEは到着していたので挨拶できた。



ircleのリハーサルが始まった。

ステージを見に行くと、そこは夢のような場所だった。

今日ここで鳴らせんのか。と思うと身震いした。


大先輩のリハを色んなところで見た。
袖に行ったり、1階の席や2階の席に行ってみたり、ウロウロしていた。
少し緊張で落ち着かないのもあったと思う。


そしてほどなくして自分たちのセッティングの時間になった。
ライザーというドラムセットを乗せる台があり、これがあることによって組んだドラムセットをそのまま運ぶことができる。
そして、それは2つか3つかを使いまわす。
よって、そのライザーに今日使うバンド名が書かれていた。

俺の使うライザーには
Saucy DogとSUPER BEAVERの名前があった。

せとゆいかさんと藤原さんもこれ使うんだって考えただけでとんでもないところに来ている気がした。

セットを組み、リハーサルをする。

通常、外音(お客さんに向かっているスピーカー)と中音(演者が演奏するために必要な音を返してもらうスピーカー)の操作はPA一人に注文しているが、ここはキャパ数千人のビーコンプラザ。
外音専門のPAさんと、中音専門のPAさんがいた。

いつも違う規模に戸惑いもありながらリハーサルを行う。
ぶっちゃけ緊張もあっただろうけど、いつもと違いすぎてよくわかんなかった気がする。


リハーサルを終えたらもう前室に行って準備をした。
もうあと少しで始まる。


みんな
「え、もう??」
みたいな感じだった。
落ち着かない。
心臓がバックバク。


そこにボスがやってきた。
「いいかー、一矢報いてやろうなんて考えるなよー。いつも通りでいいし、いつも通りが今のお前らはかっこいいぞ。」

と言ってくれた。


少し落ち着きを取り戻した。

というか、一気に吹っ切れた。


スタッフに
「まもなくですのでスタンバイお願いします。」
と言われ、スティックを二本握りしめステージに向かった。



公開直前リハの始まり。

お客さんはジャンジャン入ってくる。


いつも通り少し曲をやって確認をした。


このあとOAで演ります。My Peaceです!
お願いします!

とかわたる言ってたっけ??

もう覚えてない。



舞台袖に行くとircleがいた。

「頼むぞ~。今日はお前らの音で始まるけんな~」

と言われ緊張が戻ってきた。

でも前室にいたときのとは違う。


良い緊張感。



いよいよ



ジングルが鳴る。




OAの俺らにもジングルがあることが嬉しかった。


河内さんの声で「My Peace」と聞こえた。

音圧のすごい拍手が聞こえた。

SEが鳴る。




俺はいつも一番最初に出る。




堂々と出た!


袖で聞いた拍手よりもっとすごい音圧を感じた。



いつもやる円陣を組んだ瞬間
また拍手が起こった。

この拍手でさらに気持ちが高まり、ぎゅっと締まった。



本番は気持ちよすぎて本当に一瞬だった。




初めて数千人の前で鳴らした。


一曲目は『プロローグ』。
まさたかのギターで始まる。
今までで一番かっこいい背中をしてたのを覚えてる。
『ごめんね』も『ティアグリーン』も『笑って』も気持ちを込めて演奏した。
『ソラヲアルケ』はいつも感覚が違った。
この大きなステージがより一層寛大なものにしてくれた気がする。
ブレイクダウンの部分はのびのびと間をとるのがとても気持ちよかった。


こんな感覚なんだと思った。

一人一人の表情はもちろん追えない。
でも最前の人の顔ならぎり見える。
みんないい顔して聴いてくれてた。

全体を見てもポツポツと自分らのタオルが見える。

みんな応援に来てくれてた。

嬉しかったし余計にアガる。

でも今日は初めて出会ってくれた人もたくさんいる。

そんな人にも全部届けたいと思った。



この景色を見せてくれたircleに既にお礼が言いたかった。


本番はやり切った。

気持ちいいくらいに。


袖にはけると、スタッフがみんな笑顔で拍手をくれた。

ircleも褒めてくれた。

みんなに大感謝の20分だった。



機材の片づけが終わり、楽屋に行った。

自分たちの楽屋はSIX LOUNGEと一緒だった。

ボスから
「良かったなお前ら、同じ部屋が良く知ってるSIX LOUNGEで。」

ほんとそうだ。
それすら恐れ多いが、まだ話せる。
他のバンドは挨拶に行くところから関係が始まる。

楽屋は緊張しない空間であると安心して、みんなで荷物をもって楽屋に入った。

が、
うちの楽屋にハルカミライやマイヘアが出入りしていた。

その瞬間みんな怖気づいてしまった。

ビビってちゃ失礼だし、CDを渡して、挨拶をした。


やっぱりビッグになる人はみんな優しい。
快く受け取ってくれた。


こうして、順番に楽屋挨拶に行った。


物販もたくさん売れた。
友達や昔の知り合いまで、沢山の人が見てくれていた。

そこから知ってくれた人もいるし、今でもきてくれてるもいる。

だれがいつどんな出逢い方をするかわからない。
多分ほとんどの人がMy Peaceを知らなかったと思う。

でも4人で作った音楽で、初めてのオーディションを勝ち抜き、チャンスを手にし、沢山の人に届けられた。

いつかこんなこと自分ら発信でやりたいと強く思ったよ。



ircleかっこいい背中見せてくれてありがとうございます。





打ち上げは言うまでもなく楽しかった。
綺麗に各パートごとのテーブルができてたため、ドラマー席にてたくさんの話を聞いた。
売れてるバンドはしっかり苦労を重ねてた。
話のステージが何個も違う話ばかりだったけど絶対あそこにいっていい音楽家になりたい。
どうか突然崩れませんように。
何があるかわからないからね。
大丈夫
今のとこ何もないよ。
わくわくいっぱいのスケジュールが2月まで埋まってるよ。


そんな昔話でした。

















その半年後のマイヘアホールツアー。
Qちゃんと見に行った。
ボスが打ち上げに呼んでくれたため2人であの日だけでは聞けなかった話がたくさん聞けた。
バヤさんは捻挫をしたため参加してなかった。
2件目ではショットを呑みながらマイヘアVSマイピースでダーツ対決をした。笑
バンドじゃまだまだ勝てないけど、ダーツでは勝った!!!
3件目はもうあんま覚えてないけど、行く途中で都の真ん中で椎木さんがマイヘアイズバッドでーす!って言っててひやひやしたことだけ覚えてる。

そして当時からもう二回目が計画されていたHUMANisM。
最後にヤマジュンさんが「またHUMANisMで会おうな」って言ってくれたのを覚えてる。
酔ってたし、もう絶対覚えてないだろうけど、お世辞を言ってる人の目には見えなかった。
肩を組んで目を見てそう言ってくれたからずっと覚えてる。



そして、2回目の出場は許されなかった。

悔しかったけど、出れなかった理由は自分たちが一番わかってた。
悔しくて悔しくてたまらなくて、運転に備え仮眠をとるために抜けた渋谷の打ち上げを後に、車で一人めちゃくちゃ泣いたら疲れて寝た。
初めてのクワトロはそんな苦い良い思い出もできた。

いっときしたらベロッベロのQちゃんが帰ってきて正気に戻った。

強くならなくちゃな!

そしてもっとバンドが一つになってかなきゃね

最後まであざした~

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