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3人のレンガ職人[イソップ童話]

基本好きで、ときどき説教くさってなって、けどやっぱり好きな話です。(検索するとビジネス関連の話にばかり引用されてて、んんーとなる)

昔々、中世ヨーロッパのとある町はずれの道を旅人が歩いていると、一人の男がぶすくれた顔で(※ちょくちょくオリジナルな表現入れてますが、大筋は同じです)、レンガを積んでいました。旅人が男に向かって、「何をしているんですか?」と聞くと、男は

「見ればわかるだろう。レンガを積んでいるんだ。俺は朝から晩まで一日中こき使われてレンガを積まなきゃならないんだ。こんな仕事辞めちまいたいが、仕方ないからやってるのさ」

とぶっきらぼうに答えた。旅人は「そうですか。大変ですね」といって先へと進んだ。

旅人が少し歩くと、別の男がせっせとレンガを積んでいた。旅人が、男に向かって「何をしてるんですか?」と尋ねると、その男は

「私はここで大きな壁を作っているんです。それが私の仕事なんです」

旅人が、大変ですね、といたわると、

「いえいえ、なんてことはないですよ。私は一生懸命働いて家族を養っていかなくてはいけませんからね。いまはどこも不景気で、こんな重労働でも働けるだけありがたいってもんです」

とその男は答えると、またせっせとレンガを積み始めた。旅人はまた先へと歩を進めた。

さらに先へと歩いていくと、別の男がいきいきとした表情を浮かべて、一心不乱にレンガを積んでいた。旅人はその男に「何をしてるんですか?」と尋ねると、その男は目を輝かせながらこう言った。

「ぼくは、歴史に残る大聖堂を創っているんです」

旅人が「それは大変ですね」と声をかけると、男は少年のような笑みを浮かべてこちらを振り返り、こう言った。

「とんでもない!ぼくが創っているこの大聖堂では、毎日たくさんの人が祈りを捧げ、罪を改めるんです。完成するまで100年はかかるでしょう。そんな仕事に携われて、ぼくはとても幸せなんです

旅人は男と握手を交わすと、再び歩みを進めはじめた。


というお話です。とても好きな話なんですよね。この話には続きがある(オリジナルかどうかは不明)そうなんですが、ぼくはここまででいいです。

この話をいつ知ったのかは忘れましたが、大学の部活動でしんどいなーってときにはいつもこの話を思い浮かべていました。毎日毎日時間割いてなんか意味あるのかなー、他にしたいこといっぱいあるのになー、てときの支えにしてた話です。

「先立つものに心を砕け」という好きな言葉があって、この話と通じるところがあるなと思います。

将来のことが漠然と不安な時はとにかく目の前のことに集中。

目の前のことがしんどい時は遠い未来に先立つものを思い浮かべる。

常に大聖堂を思い浮かべるのはしんどいです。時には一人め二人めの男の時間があってもいいと思います。あるいは創っているものが定期的にころころ変わってもいいと思います。

自分の中にも”先立つもの”が4つくらいあって、そのときどきによって入れ替わります。この先増えるかもしれないし、減るかもしれない。どっちでもいいですが、とりあえず今は4つです。

ではでは。

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