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肩関節周囲炎って誰がどれくらいなる?~なりやすい人の特徴や遺伝要素~

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⚠現在、販売を停止しておりますので、購入はお控えください⚠
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みなさんこんにちは。志水です(@echohuku)


今回は
前回の記事からの続きになります。
◎前回の記事はこちら→《AnserReport6:肩関節周囲炎のキソ《由来》や《定義》って大切ですよね。

基礎はとても重要です。対象者に説明するときに説得力が増しますし、なにより安心感を提供できます。しっかりと学んでいきましょう(^^))

今回の記事では肩関節周囲炎の
"疫学"「Epidemiology」についての
内容になります。

《疫学》って聞くと
多くの人が【難しそう】と思うかもしれません

気持ちはよくわかります。

なので"疫学"ということは深く考えなくて良いので…
以下のことについて解説していくと思ってください。

今回の記事で触れるのは…

"肩関節周囲炎って"
🔻人口のどれくらいの人がかかるのか?
🔻どんな人がなりやすいのか?(どんな疾患に罹患していると肩関節周囲炎になりやすいか)
🔻デスクワークとの関係性
🔻両側になる人はどれくらいいる?
🔻そもそも遺伝するものなのか?


こういった内容に対して
"論文をベース"にしながらも"僕なりの解釈"と"臨床でどのように使っているのか"をお伝えできればと思います。

きっとこの記事を読み終えた頃には

患者さんを安心させることができる

だけではなく

自分自身が安心して患者さん・クライエントと向き合える


知識を得ていることは間違いないと思います。

と、偉そうなことをいっていますが、

以前の僕は
病態がわかってれば、説明なんかできるでしょ
と思っていました…(あの頃は若すぎてちょっと勉強しただけでわかったつもりで、知識を患者さんにあてはめていましたね💦)


しかし
いろいろと経験し、学んでいくと


"病態説明だけ"
では患者さんは"安心できない"ことを多く経験します。

と、いうのも

「痛みが強くてじっとしてても痛い時期が終わったら動きがあまり(全然)変わらない時期となります。ただ、その後は徐々に動きもよくなってくるので大丈夫ですよ」

なんていう経過の話を聞かされても患者さんはあんまり納得できないですよね?(実際に「で、なんで私は五十肩になった?」「これって両側なるの?」とか問い詰められたこと経験があります💦)


ということで、
今回の記事を読むことをオススメする方は…

🔻肩関節周囲炎患者さんの対応が苦手な人
🔻いつもなんとなくでしか質問に対して答えれない人
🔻患者さんを少しでも安心させたいと思う人
🔻患者さんに問い詰められて泣きそうになったことがある人←僕ですw

こんな方々かと思います。

読者さまの声↓




患者さんが医療機関を受診のひとつに
「安心」があると思います。
診断を下すのは医師の仕事ですが、我々セラピストは、しっかりとコミュニケーションをとり、「安心を提供する」といった気持ちのケアも重要な仕事であり能力になると考えます。

ですので
徒手療法や運動療法」といった技術以外も習得しましょうね。



ということで本題に入っていきますが
今回もこちらの論文を参考に、さらに深堀りしていきたいと思っています。(この論文はオープンアクセスなので、一度読むだけでも大まかな部分は理解できると思います。)

村木 孝行, 肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン, 理学療法学, 2016, 43 巻, 1 号, p. 67-72, 公開日 2016/02/20, Online ISSN 2189-602X, Print ISSN 0289-3770, https://doi.org/10.15063/rigaku.43-1kikaku_Muraki_Takayuki, https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/43/1/43_43-1kikaku_Muraki_Takayuki/_article/-char/ja

また、さらにはこの論文で引用している論文を深堀りし、詳細の内容を紹介していきます!

みなさんも頑張っていきましょう!

※この記事は肩関節周囲炎の「疫学」に関して詰め込んだ長編作になります。公開後も追記していき、追記ごとに価格が若干高くなりますので、早めの購入がお得かもしれません(^^)
🔻本記事の歴史🔻
◯7月24日:記事の公開
◯7月31日:周囲炎の有病率について修正・"約2000字"追記(価格据え置き)
◯8月23日:周囲炎のリスクファクターについて修正・"約2000字"追記(価格据え置き)


先日のツイート

では最初に
先日したツイートから見ていきましょう

画像1


このTweetではあくまでも
患者さんに質問される一例ですけど…

他にもこのような質問をされたことありませんか?

🔻五十肩ってみんななるものなの?
🔻運動不足だったから五十肩になったの?デスクワークだったから?
🔻右側がなったから、左もなるのかな?
🔻私の母親も五十肩になってたけど、遺伝するの?



ここからはみなさんが
一つずつ説明できるようになるための情報をお伝えします。


肩関節周囲炎の有病率:どれくらいの人が肩関節周囲炎になる?

画像2


みなさんは人口のどれくらいが肩関節周囲炎に罹患するかわかりますか?

多くの海外論文にて肩関節周囲炎(Frozen shoulder or adhesive capsulitis)の「有病率は2-5%」というように報告されています。1-3)


この人口の2~5%をどのように調査したか?
といったお話をする前にまずは…
"肩"に症状を有する人が人口のどれくらいるのか?
ということを報告した興味深い研究をご紹介します

4)Urwin, M., Symmons, D., Allison, T., Brammah, T., Busby, H., Roxby, M., Simmons, A., & Williams, G. (1998). Estimating the burden of musculoskeletal disorders in the community: the comparative prevalence of symptoms at different anatomical sites, and the relation to social deprivation. Annals of the Rheumatic Diseases, 57(11), 649 LP – 655. https://doi.org/10.1136/ard.57.11.649

これは1998年にイギリスで行われた大規模な研究で
6000人を対象に大規模な"アンケート"をし、体のどの部位に不調を訴えているかを調査したものです。(248名はアンケートの返送がなく、リタイアしています)

その結果↓

・背部痛→23%
・膝痛 →19%
・肩痛 →16%

となったと報告しています。

ちなみにですが、
アンケートで答えた症状の部位は"一箇所ではなく"、複数部位に症状を呈していた対象者が多く、年齢が増加するにつれ有病率も増加したそうです。


この研究は、症状を肩だけではなく、背部や膝、頚部・肘などに区分し、「どの部位」に「どれくらいの人」が症状を有しているのか調べたものになるので、有病率をおおまかに把握するのに有益だと思います。


と、いうことで本題となる、
"肩関節周囲炎"に対する有病率についてのお話をしていきます↓

1)Bridgman, J. F. (1972). Periarthritis of the shoulder and diabetes mellitus. Annals of the Rheumatic Diseases, 31(1), 69–71. Bridgman, J. F. (1972). Periarthritis of the shoulder and diabetes mellitus. Annals of the Rheumatic Diseases, 31(1), 69–71.https://doi.org/10.1136/ard.31.1.69

こちらは1972年にイギリス(ロンドン)で行われた研究になるのですが、病院を受診した1400名を対象としたものになります。


糖尿病罹患患者800名非糖尿病患者600名の2群に分け、「肩関節周囲炎」を有している割合を調査しました。

"志水メモ①"
ここで糖尿病患者を選定している理由としては↓
「糖尿病罹患患者は肩関節周囲炎のリスクファクターとしてよく挙げられるためであり、また、罹患患者も多いから対象として選びやすい」
と思います。

結果として、肩関節周囲炎と診断されたのは

糖尿病患者 →800名中86名(86/800:10.8%)
非糖尿病患者→600名中14名(14/600:2.3%)

となり、
「糖尿病患者は非糖尿病患者と比べて肩関節周囲炎の罹患リスクが高い」と述べられています。

しかし、ここで論じたいのは糖尿病患者との関係性でなく、人口における有病率です。


そこで
国内における肩関節関節周囲炎の人口を調べるためにおこなったさらに大規模な研究をご紹介します

5)小松原良雄. (1983). Painful shoulder の疫学的研究. 整形外科MOOK, 28, 17–21. https://ci.nii.ac.jp/naid/10025334713/

小松原らは、大阪府八尾市の3地区の地域住民40歳以上"3356名"について整形外科医による直接検診を行い、2.1~3.2%がpainful shouder(肩に症状を訴えていた)と報告し、その大部分が肩関節周囲炎であったと報告しています。


この地域の住民が何名いるかは定かではありませんが、有病率を語るにはそれなりのサンプルサイズ(n数)であると思います。


といったようにここまでの情報から患者さんへはこのように説明します。

【人口の16%程度が肩になにかしら症状が出ると言われていますが、2-5%の人が五十肩(肩関節周囲炎)になるようです】(研究の内容もかいつまんで話せるとより説得力は増します。)


肩関節周囲炎のリスクファクター:どんな人が肩関節周囲炎になりやすい?

画像3

「どんな人が肩関節周囲炎になりやすいか?」

多くの論文の報告では「糖尿病:DM」がよく挙げられています。

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