見出し画像

定年後フランス語の勉強再開:31年ぶりにフランス語をまた習っています!

1. 1986年から1987年にかけて1年間、パリに留学:その時にフランス語を習う



私は1986年から1987年にかけて1年間、パリに留学していました。CNRSといって国立科学研究所の職員に1年間採用されて、液晶の研究をしていました。そのころヨーロッパにはポスドクの制度がなかったので、CNRS職員として雇用されて、物理と化学の研究でフランスでトップレベルのグランゼコールESPCI(エスピシと発音)で研究をしていました。このESPCIはピエール・キュリーとマリー・キュリーがラジウムを発見して夫婦でノーベル賞を取ったグランゼコールです。教員も学生も極めて優秀で、ESPCIの中は英語で充分でしたが、町に出ると、その頃のフランス人はほとんど英語を喋らないので、買い物などの日常生活に大変往生しました。そのため、サバイバルのため、夜、私のアパルトマン近くの個人教授にフランス語を習いに行きました。教科書Mauger Blue Iで7カ月間、必死で習ったら、何とか読んだり書いたりまがりなりにもできるようになり日常生活はなんとかなるようになりました。家賃を払う際の小切手に、フランス語で手紙を添えて大家さんに出せるようになっていました。もっとこの夜学続けられれば良かったのですが、本務である昼間の実験研究の成果を英語で論文にまとめるようになって、極めて忙しくなり時間と体力が持たなくなって、この夜学のフランス語は途中でやめました。しかし、とても残念でした。もう1年留学していたら、しゃべれるようにもなっていただろうと思いました。
 

2.あれから31年、使わないフランス語はすっかり忘れてしまう


 
 あらから31年もたち、上田の信州大学に勤めている間に、使わないフランス語はすっかり忘れてしまいました。自分の中に、フランス語が定着するまでに日本に帰国してしまったからでしょう。英語は毎日使っていて、論文もすべて英語で書いているので、忘れません。しかし、フランス語は、あんなに必死になって単語を2500語も覚えたり、動詞の活用形を暗唱したりしていたのに、全く使わない言葉は本当に忘れてしまうのです。それで印象的なことが最近ありました。博士課程の同級生だったM君が、40年ぶりに、信州上田を訪ねてきました。M君は博士課程修了後アメリカにポスドクに行き、そこでアメリカ人の女性と結婚して40年、シカゴに住んでいます。彼は、日本人ですが、日本語を全く使わないので、日本語をかなり忘れていて、その時は私とは英語でしゃべっていました。本当に使わない言語は、ネイティブでも忘れるんですね。たくさんの言語を、忘れずにしゃべれる、多言語話者は天才ですね。尊敬します。頭の構造が違うんですかね。
 

3.信州上田、信大繊維学部フランス語講座


 
さて、信州上田では30年前にはフランス語を教えてくれるところは、大学も含めて皆無でした。しかし、世の中は変わるもので、信州大学も、国際化が叫ばれ、最近は、海外の大学との留学生交換に熱心で、海外提携が非常に増えました。その中に、フランスの繊維科学技術系グランゼコールと信州大学繊維学部との提携が10年ほど前から始まりました。交換留学提携先のフランスENSAITから、フランス人学生がこちらには来るのですが、こちらからフランスに行く日本人学生が出てこないのです。なぜなら英語ができてもフランス語ができないので日本人希望者がいなかったのです。そこで、信大繊維学部は、フランス語の先生を呼んで来て、繊維学部でフランス語を教えるようになりました。そのS先生は、パリの国連機関などに13年間勤めておられた方で、そのS先生がフランス留学希望者に、フランス語を教えてくれるようになりました。このような大変立派な方が、退職後、上田の近くに、お住まいだったのは、繊維学部としても大変ラッキーでした。学部長も大変喜んでおられました。おかげで、それからは2年に一人は、繊維学部からフランスへ留学するようになりました。このフランス語講座のおかげです。
 

4.定年後フランス語の勉強再開


 
このS先生による繊維学部のフランス語講座は、本来の目的からして留学希望の学生用の講座でしたが、教員の私にも実に魅力的でした。31年前にもこのようなフランス語講座が信州大学繊維学部にあったらなあと思いました。教員の私も是非参加したかったのですが、今年(2018年)3月末の定年までの在職末期は、図書館長や就職委員長、教務委員長など多くの役職で多忙を極め、このフランス語講座には残念ながら参加できませんでした。今年3月、無事定年退職したので、フランス語の先生にお許しを頂いて、5月から末席に加えて頂けることになった次第です。
お陰様で、すっかり忘れていたフランス語ですが、勉強を再開したところ、フランス語だからでしょうか、フツフツと思い出しております(笑)。でも年取ってからだとなかなかですね。若いころにいっぱい勉強しておくべきですね(苦笑)。でも、今は楽しんでフランス語勉強しています。
 


*なお、冒頭の写真はマリー・キュリーの写真で、Wikipediaから引用させていただきました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC
最終更新 2023年1月19日 (木) 14:22
 
2018年6月13日 随筆
2023年2月19日 加筆

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?