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日本の天皇誕生日とオランダのクイーンズ・デイ

(はじめに)


 
日本では、再来年の平成31年(2018年)4月30日に今上陛下が生前退位され、5月1日に現在の皇太子が天皇に即位されることが、最近(平成29年(2017年))決まりました。それで、昔留学したオランダの、クイーンズ・デイ(女王陛下誕生日)のことを思い出し、日本の天皇誕生日のことを、以下の様に考えました。この拙文を皆さんにご一読頂き、一緒に天皇誕生日について考える事が出来れば、大変嬉しいです
 

1.    オランダのクイーンズ・デイ(女王陛下誕生日)


 
 私は、平成7年(1995年)の年末から平成8年(1996年)にかけて半年、オランダのデルフト工科大学にvisiting scientistとして留学していました。年を越し、平成8年(1996年)の春になって、オランダの友人が、クイーンズ・デイ(女王陛下誕生日)とその日に行われるフリーマーケットのことを教えてくれました。当時、オランダの前ユリアナ女王の誕生日が4月30日だったので、この日をクイーンズ・デイとして、国民の休日とし、学校もお休みになっていました。この日は、フリーマーケットの日となり、普段は許可がないと国民は勝手に商売はできないのですが、この日は、どんな人も、大人も子供も、家にある中古品などを街の道端に並べて、売ることができます。子供は、売るものがなければ街角でバイオリンを弾いて、お小遣いを稼いでもよい日でした。ですから、オランダ人は、この日は街に出たら何でも売っているよと言っていました。昭和天皇の天皇誕生日も4月29日でしたから、オランダのクイーンズ・デイも日本の天皇誕生日も、同じように春のいい季節に祝うのが、よく似ているなあと感心しました。
 私もデルフトの運河沿いの道端で、フェルメールの「青いターバンの少女」(別名「真珠の耳飾りの少女」)の絵が描かれたデルフト焼のお皿を買いました。今も日本の自宅の壁にかけて楽しんでいます。
 
 それから再び平成16年(2004年)にオランダのデルフトを訪ねたところ、ちょうど、前ユリアナ女王が高齢になって崩御され、デルフトの教会で国葬が行われていました。国葬が終わり喪中の間、教会では一般人も参拝可能でした。それで私も昔住んでいた所がその教会のすぐ近くで、よく知った教会でしたので、その教会を訪ねてユリアナ女王の棺にお参りしました。
 

2.    オランダ、次のクイーンズ・デイをいつにするかの問題を検討


 
 オランダではこの前ユリアナ女王崩御で、クイーンズ・デイをいつにするかが問題となりました。オランダの友人が、クイーンズ・デイを移動させないで、前女王の誕生日の4月30日のままにすることになったと教えてくれました。オランダでは今のベアトリックス女王の誕生日が1月31日なので、今までの慣習からするとクイーンズ・デイを1月31日に移動することになります。しかし、真冬で寒すぎてフリーマーケットには向きません。子供も、街角でバイオリンを弾くには寒すぎて風邪をひいてしまいます。また寒すぎて誰も聞く人がいないでしょうから、お小遣いも稼げないです。道端に商品を並べるのも道が凍っていて不可能です。それで、今のベアトリックス女王は、クイーンズ・デイを引き続き4月30日のままにすることを決められたとのことでした(注1)。
 

3、日本の天皇誕生日をどうするかという問題について


 
 私は、日本もオランダの例を参考に出来ないかと思っています。なぜなら、明治天皇の誕生日11月3日は「文化の日」として存続、昭和天皇の誕生日4月29日は「昭和の日」として存続、平成天皇の誕生日の12月23日だけは、一時的に国民の休日として存続されましたが、今は平日になっています。また、現在の令和天皇の誕生日2月23日は、現在の天皇誕生日となって国民の休日になっています。これをよく考えてみると、大正天皇陛下と平成天皇陛下の誕生日は、国民の休日となっておらず、なんだか不公平な気にもなります。日本では、天皇誕生日に関する方針が一定していないようです。しかし、これらも国民の休日とすると、このままでは日本は将来、天皇誕生日で休日が一杯増えてしまうという問題が残ります。
 

(おわりに:提言)


 
 オランダの例を見習って、「天皇誕生日」を、昔流ですが、天皇陛下の長寿を願う「天長節」と名称変更し、実際の天皇誕生日とは異なるが、季節の良い、4月末から5月初めの連休中の1日に固定することはできないかと私は思います。たとえば、実際の天皇誕生日とはリンクせずに、季節の良い春の4月29日「昭和の日」を「天長節」と名称変更して固定してはどうでしょうか。あまり話題にされませんが、皆さんはどう考えるでしょうか(注2)。
 
 
 
 
(注1)2013年から、オランダでは国王の誕生日を祝う祝日「クイーンズ・デイ」は「キングス・デイ」に名称が変わり、4月30日から、現国王ウィレム=アレクサンダー陛下の誕生日である4月27日に変更となっています。春のいい時期でフリーマーケットには都合がよいからでしょう。
 
(注2)先日(2023年11月)、明治天皇の玄孫、竹田恒泰さんのYouTubeを見ていましたら、「11月3日を『文化の日』などとしているのは、国民が、明治天皇の誕生日だというのが、わからなくなってしまっている。昔の『明治節』に戻せないか。」と、主張しておられました。なるほど、それなら、国民にもわかり易いですよね。しかし、明治節、大正節、昭和節、平成節など名称はいいけど、全部休日にするというのはどうでしょうか。そのうち休みが増えすぎてしまう問題は残りますよね。したがって、実際の天皇誕生日とはリンクせずに、季節の良い1日を「天長節」という名称で固定してはどうかと、私は考えます。
 
 
 
平成29年(2017年)12月2-3日 随筆
令和5年(2023年)11月5日 加筆
 

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