貨物鉄道の問題点メモ

物流2024年問題で脚光を浴びる鉄道貨物ですが、鉄道へのモーダルシフトは難しい理由を考えます。

貨物列車はメリットを見出しにくい

長距離大量輸送→船舶
Co2排出量→バラ積、コンテナ船
多頻度配送→トラック
荷役効率→トラック、RO-RO船
高速性(リードタイム)→飛行機、トラック

鉄道は船舶以下の大量輸送かつ、トラック以下のリードタイム。
良くも悪くも中途半端。

拡張性が低い

貨物列車は大量の電力を消費し、一度に走る列車と編成に上限がある
貨物駅のサイズは26両、宇都宮以北は20両まで
旅客列車を考慮したダイヤ設定

人気列車を増発、増結できない

既存の貨物駅では新規に海上コンテナを取り扱うスペースがない
通運業者、リフトの処理能力に限りがある
電源確保の問題があるため冷蔵、冷凍品は苦手
猛暑化では常温品も苦手。

荷役の問題

鉄道コンテナの非効率性

31フィートコンテナは大型トラックと同様の荷役が行える
しかしコンテナの分かなり容積が小さく、積載量も低い
       大型車   JRコンテナ
T11パレット 16枚  → 16枚
T12パレット  18枚  → 14枚
最大積載量   13.9t  → 8.0t~10t
最大容積    61.7㎥ → 51.3m³

単純に考えると5回の荷役が6回に増える

通運業者の非効率性

貨物列車の予約には指定席と専用トラックの手配が必要。
通運トラック+貨物列車+通運トラック
めんどくさい…

12フィートコンテナは5トン積。しかし集配車は大型トラック並み。
4トン車が入れる道でも、鉄道コンテナは入れない可能性

鉄道コンテナの狭さが原因か、手積み、手降ろしが多い
独特の揺れ方をするために荷造りが難しい?

海上コンテナ輸送はコスト面で不利

JR貨物所有の鉄道コンテナと違い、空コンテナの回送が必要
帰り分の荷物が積めない→運賃があがり競争力がなくなる

長距離大量輸送はトレーラー+RO-RO船が強い

31フィート鉄道コンテナの2倍位積める。切り離せるので荷役、海上輸送にドライバーが不要
Co2排出量も少なく、電源確保で冷蔵・冷凍車に強い船も。

近年はRO-RO船並みに荷役効率の良い国内コンテナ航路もあるらしい

Co2排出量の優位性低下

鉄道貨物はRO-RO船の1/2程度
ただしバラ積み船などは鉄道の1/4程度とされ環境負荷が低い
水素燃料普及で鉄道の優位性は低下する可能性

高コスト

JR貨物はアボイダブルコストルール(貨物列車通過に際して最低限の使用料のみ支払う)で黒字を確保。
JR旅客会社に大きな負担になっている他、第三セクター区間も貨物列車用に過大な設備を維持。(税金によって補填→貨物調整金)

函館線が貨物専用線になった場合維持できないと明言

通運で低賃金重労働が続けば、人手不足の影響をモロに受ける?

鉄道の優位性

内陸工業地域への大量輸送
ニッチな速達性
船便だと時間がかかりすぎる長距離への高速大量輸送
(札幌~福岡や韓国への一貫輸送)
需要が一定のものを大量かつ定期的に運ぶ幹線輸送

JR貨物の解決策

使いにくい通運業者を排除できる、積み替えステーションや貨物駅隣接の物流倉庫(レールゲート)の建設
小口貨物の幅広い需要取り込み。

レールゲートを利用し、ピークタイムを避けたダイヤで増発。

貨物新幹線の開発で新規需要開拓。

これについて思う事

荷役の回数が多ければ効率的ではない。
鉄道コンテナ積み替え時の梱包、養生の作業コストは解消されない。
荷役の全自動化が前提になっている?低コストで実現できる?

貨物新幹線の需要が謎。JR東日本のはこびゅんと競合→JR東日本が協力しない?
新幹線の線路使用料→JR東、西がアボイダブルコスト見直しに言及、安く使うことは難しい?
貨物飛行機の方が路線設定が柔軟
積載量をあげると速度が出なくなるのでは?
在来線よりエコで劣る

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