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私の羽根コレクション3選

自然界の住人たちの
美しき落とし物


 衛生上あまりよろしくないとわかりつつも、落ちている鳥の羽根を拾って集めていた時期がありました。柄や色合い、質感。その全部が愛おしく感じられるのと、たった1枚の羽根でも、その持ち主である鳥が近くで生きているのだと感じられて、それだけでも野鳥という存在が身近に思えてうれしくなるので、ついつい集めていました。

 今回はその羽根コレクションの一部と合わせ、その羽根の持ち主である野鳥のことを簡単に紹介しようと思います。ただ、羽根の同定については全部私が自分自身で調べた結果ですので、もしかすると間違いがあるかもしれません。もし、間違いがありましたら、コメントで教えていただけると幸いです。

◯キジバト(Streptopelia orientalis)

キジバトの羽根

 公園でよくみかける灰色のドバトとはちがって、翼が赤茶色に縁取られたきれいな体色をしているハトの羽根です。英名は「赤みがかったハト」という意味の「Rufous Turtle Dove」。茶色とオレンジのグラデーションが美しい、お気に入りの1枚です。

◯アオゲラ(Picus awokera)

アオゲラの羽根

 キツツキの一種であるアオゲラは、名前に「アオ」と付きますが緑色の翼をしています。英名も「Japanese Grenn Woodpecker」で「日本の緑色のキツツキ」という意味です。実際に日本だけに分布する鳥で、とくに本州中部以南の常緑広葉樹林によくみられるそうです。私の実家の庭でもみかけたことがある野鳥なので、個人的に身近に感じています。

◯カケス(Garrulus glandarius)

カケスの羽根

 印象的な青い羽根ですが、この羽根の持ち主はカケスというカラス科の鳥です。あの真っ黒な鳥の仲間なのに、カケスは胸や背中は茶色く、頭はごま塩みたいな白黒で、「雨覆(あまおおい)」と呼ばれる翼の一部だけ、この羽根のように鮮明な青色をしています。実際にこの鳥をみたことがあるのですが、体色だけでなくくちばしも一般的なカラスほど立派ではなく、どこか上品な印象がありました。

1枚の羽根から野鳥の姿を
想像する愉しさをぜひ

 私は幼少の頃から鳥が好きで、くわしい人から話を聞いていたり、図鑑を買ってもらって毎日眺めて読んだりしていたので、鳥に興味のない人よりも多少は知識があると思っています。もちろん、知らないことはまだまだたくさんありますが、落ちている羽根をみつければ「この辺ならあの鳥の羽根かな」とか「これはあの鳥の羽根だな」となんとなく推測できます。

 ですが、じつは鳥にくわしくない人のほうが、こうした推測をもっと愉しめるのではないかな、とたびたび思います。私たちよりも想像の余地が広い分、1枚の羽根から、とても美しい鳥を想像してみたり、その姿を探してみたりして、私たちにはできないドキドキした体験ができる気がしています。

 もし、この記事を読んでいるあなたが鳥に興味がない人でしたら、ぜひ野外に出て鳥の羽根を探してみてください。もしかすると、あなたの想像以上の鳥が、すぐ近くに潜んでいるかもしれません。

参考文献
・杉坂学(監修)『色と大きさでわかる 野鳥観察図鑑』成美堂出版 2003年
・公益財団法人 日本野鳥の会『壁掛け羽根図鑑』2023年
・群馬県立自然史博物館「鳥の羽毛を探そう!」みんなでしらべるシリーズ
https://www.gmnh.pref.gunma.jp/educations/research/


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