【映画感想】ワイルドスピード/スーパコンボ

週刊少年ジャンプに連載中の、「出番だダブルハゲ!!」がハリウッド映画になりました!!
…という嘘をつきたくなるくらい、荒唐無稽なバカアクション映画でした。いやー超面白かった。

原題、"Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw"は日本では「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」という邦題になっていました。シリーズ第1作目の"The Fast & The Furious"がすでに「ワイルド・スピード」という邦題でしたので、以降の作品もこれに、「トーキョー・ドリフト」とか「メガマックス」とかつくかたちで邦題になっていましたが、そのほとんどは原題とは関係ない、なんとなく作品から感じる印象でつけられている気がします。
そして今回も「スーパーコンボ」という、響きだけならなんだか凄そうなタイトルがつきました。シリーズを追うに連れ、「そんなこと車で出来るかよ!!」という映像を追求するようになっていった映画なので、上記に挙げたポスターをネットではじめて見たときは、「おっ、今度のロゴはなんだかスターウォーズっぽいから、さては車で宇宙に行くな」と思ったのですが、観てみたら流石にそんなこたありませんでした (ただし今後有りうるかもしれないので油断は禁物です)。
この作品を見るきっかけになったのは、アマゾンでなんか買うときに間違ってプライム配送 (お試し1ヶ月) で頼んじゃって、お試し期間終わったときにキャンセルするの忘れちゃって、「まあ月500円くらいならしばらく試してみるか」と思ったついでに覗いたアマゾンプライムビデオのメニューに出てきたからで、積極的に映画が見たかったわけではなく、かなり低いテンションでの選択でした。
で、「スーパーコンボ」ってタイトルだったから、こりゃなんだかマクドナルドのハンバーガーセットみたいなの食いながら観たい単語だなって思って、まぁそこはケンタッキーフライドチキンでもバーガーキングでも良かったんですが、家から一番近くにあったのがマクドナルドだったんで行って、チーズバーガー2個とチキンナゲットを買い、帰る足でコンビニに寄ってストロングゼロ2缶ほど買いました。原題に"fast"ってあるから、「ファストフード」という単語へのサブリミナル効果もあったのかもしれません。
ナゲットをつまみ、チーズバーガーを頬張り、ストロングゼロをごくごくと呑みました。酔ったおかげで映画の内容はほとんど忘れてしまったんですが、最高のひとときでした!!
なんせ何も頭の中に残ってない、得る教訓とか、自分の内面を見直すとか一切ない、でも次の日起きて、「そういや昨日映画みたな、覚えてないけどあれ超面白かったなー!!」くらい面白かった。二度と観なくてもいいくらいどうでもいいストーリーだったけど、観てる間は凄く楽しかった。
あ、ひとつだけ言えば、「観ていて "かっこいい!!"って思えたら辻褄とか現実とかどうでもいい!! 思いついたもんは全部入れよう!!」っていわんばかりの映像の潔さね、それだけは観ていて凄く感じました、どこがどんなだったかは忘れたんですけどね。
それでもnoteに感想書いとこうくらいの気持ちにはなったので、どんな話だったっけなと思い出しながら書いているんですよ。
はっきりいって、新しいことなんかいっこもない、手垢のついたバディ・ムービーですよ。ストーリーは御都合主義、出て来る設定は荒唐無稽、ありえない映像はほぼCGIという、何百本あんだよこんな映画と声をあげたくなる中の一本。それが面白かったのはひとえにドゥエイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサム演じるそれぞれのキャラクターから滲み出る愛嬌につきません。
原題に"Fast & Furious Presents:"とあるように、本作はスピンオフ作品です。なので主軸は車を使った大掛かりな強盗とか、極秘ミッションにどうしても車が必要、とかいう話でもない。もちろん目配せ的にスーパーカーだのヴィンテージカーだの整備工場だのは出てきますが、それは「本家の看板借りてるんで入れときます」程度のもの。本家に登場するキャラクターは二人以外にほとんど出てこない。有名な俳優としては途中でライアン・レイノルズやケヴィン・ハートが出て来るけど、そのあとクライマックスとかで合流するわけでもない (ケヴィンも、「ジュマンジ」観た人ならニヤってするかな、程度の扱い)。ヒロイン兼マグガフィンとなるヴァネッサ・カービーも、このあとのシリーズに出てこなくても問題ないかなってくらい存在は薄い。
それらを差っ引いて何が残るかというと、この二人の丁々発止のぶつかり合い、それが良かったんだなぁ。
特にジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウは、ワイルドシリーズに登場した時は人殺し、完全な悪役での登場となっていたので、今回ドゥエイン・ジョンソン演じるルーク・ホブスといがみあったり減らず口を叩かせたりして、位置づけ的には前作となる、「ワイルドスピード ICE BREAK」以上にキャラクターへさらなる人間味を持たせている。ジェイソン自身「寡黙でクールな殺し屋」みたいな役が多いので、本作では普段見せない三枚目的な演技を見ることができるのも面白い。
映画に求められるものって、当たり前だが生の人間の演技なんだな。
そんなことを思ってしまったのは、中盤相手側の研究所に乗り込んで戦闘、建物ごと爆破しつつそこから脱出する、というシーンを見ていた時のことです。
現実に起こっているような建物の崩壊や爆発は、もう今ではほとんどの観客が、「どうせこれCGでしょ」という感覚で観るのが当たり前になってしまった。驚くのはその映像で表現されたスケール感や描写で、「なんて命がけの撮影をしているんだ」とか「こんな映像をどうやって撮影したんだ」という気持ちで見る人は稀なんじゃないかな。
プレイステーションなどのゲームでも、映画に比べたら引けは取るものの、アクションシーンでは同様に建物が凄い規模で爆発したり主人公たちが間一髪でピンチを乗り切ったりしている映像というのはごまんとある。つまり、「それまで巨額の予算を投入しなければ見れなかった映像」というのは今ではそこかしこで観れるわけで、それらがどれだけ凄くても見るのが面倒だからと、「スキップ (ゲーム中のいわゆる「ムービーシーン」を飛ばす)」したりする人もいるわけなんですよ。
でもゲームのムービーシーンにおいては、スキップしたくなる気持ちもわかる。モーションキャプチャーで人間らしい動作を与えられ、吹き替えによってその口で何かを喋ることはあっても、我々は心のどこかで、「所詮はポリゴンで作られたCG」という気持ちを持って見ている。どこまでいっても操り人形にしか見えないものを、「ストーリーを理解する、話の中にゲームを解く手がかりがあるかもしれないから飛ばせない」以上の意味で観ることは、だんだんと辛くなって来る。
大風呂敷な映像だけならゲームでも済むこの時代に、「人間」である二人が、あるときはその禿げ頭に汗を光らせ、またあるときはお約束で片眉を上げ、「自分自身が商品」であることをわかり、映画の中のキャラクターとして観客の記憶に残る演技をすることで、「ああやっぱり生身の演技にはまだCGでは表現できない何かがあるのだな」という気持ちになり、次の日に全体がどんなだか忘れてしまっていても面白かった、という感想が残っていたんですね。
本筋に関してはいまだにぼんやりとしか思い出せない。でもハンバーガーをつまみに酒呑んで酔っ払いながら観るには100点満点!! といえる作品だったなぁ。みんなもジャンクフードとアルコールを買って、酔っ払いながら観よう!! そして次の日には全部忘れよう!! そんな映画でした、お薦め。
p.s.
ワイルドスピードシリーズには毎回「家族の物語」というテーマも脇に添えつつ進行するお約束もあるのですが、本作でも主人公それぞれに取ってつけたような家族エピソードが入ってました。でもラストのヘレン・ミレンの演技が素晴らしすぎてですね、その視線の先にあるジェイソン・ステイサムとヴァネッサ・カービーの顔からはすっかり険がとれていて、酔いもあってかその2つのカット見ただけでなんだか涙出ちゃったんですよ。「家族っていいなぁ…お前ら全員人殺しだけど…」と感動しましたね。
あとニトロ!! ニトロな!! ニトロもワイルドスピードでは家族の一員や!!


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