ビョーク「ホモジェニック」(1997)
インディ・ロックバンド、シュガーキューブスのボーカルとしてデビュー。当時から前衛的なミュージシャンとのコラボレーションに積極的だったビョーク。
電子音楽のミュージシャンを引き連れてソロアーティストとしての一枚目「デビュー」とその後の名盤「ポスト」。本作は3枚目のアルバム。ブリープ・ハウスというジャンルを生んだと言っても過言ではない、LFOの天才マーク・ベルを相棒に作り上げた。
DTMプログラミングだけではなく、オーガニックかつダイナミックなオーケストレーションも加わっている。前作に続き、プッシーフットのハウィー・Bも参加。
ヨガ(Joga)では、ゴージャスなオーケストレーションとエレクトロニックだがビートレスに近いサウンド、大胆に導入されたスクラッチ音をバックにビョーク独特の歌声が響く。
こんな変態曲(超名曲ですが)をファースト・シングルに持ってくる肚の据わり方がすごい。
5 years の前衛性も見事。
典型的なマーク・ベル・スタイルのプルートー
シングルは、ベックやマトモス、ドラムンベースのDJクラスト(Krust)らによってリミックスされた。マトモスは、ビョークによってフックアップされた代表的なアーティストだろう。
ちなみにジャケット写真は、アラーキー。ジャケットも東洋の架空の国の姫様って感じで、少しサイバーパンクな印象も。アコーディオンで日本人のcobaさんも参加している。
プロモーション・ビデオは2000年代の映像を語る時に欠かすことのできない、ミッシェル・ゴンドリー。
ビョークの音楽的な最盛期を象徴する一枚。90年代のベスト5に入るアルバムではないでしょうか。
当時ミュージックマガジンの評論家レビュー(4名)で、3名くらいが「いまいち」と書いていて、テクノに詳しい友人が「ありえないよ」と絶句してました。
5年ほど前にテクノのDJジェフ・ミルズが東京フィルハーモニー交響楽団をバックに名曲ベルズを演奏しましたが、ビョークが97年にアルバムでやっていたのはそういうことです。ホモジェニックは、20年先を見ていたアルバムだと思います。
そして「評論家の意見は当てにならない」と私に教えてくれたアルバムでもあります。自分の耳で聴こう!!