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にわかに現実味を増す選択的夫婦別姓

「夫の姓を選ぶ女性が96%」という数字は面白い数字です。逆に言えば、4%の男が妻の苗字を名乗ってきたということです。

既婚男性100人を集めたと想像してみてください。そのうち、4人は妻の苗字で社会生活を送っているのです。あなたの会社が中規模以上なら、既婚男性50人くらいはいるでしょう。そのうち2人は妻の苗字を名乗っているのです。

学校なら、仮に1クラス25人の児童・学生がいるとします。25人のパパのうち、1人は妻の苗字で暮らしているのです。結構多いですよね。4%から8%なら、共産党員や創価学会員、帰国子女とかと同じような比率では?

なぜ彼らは目立たないのでしょうか?それは、一回しか苗字を変えないからだと思います。(たまに離婚再婚で二度三度変える人もいるでしょうが)

転職をしてしまえば、よほどのことがない限り、奥さんの苗字を名乗ってるんですか?なんて人に尋ねられません。

あるいは、異動で所在の違う事業所に動けば、受け入れ側は新しい苗字を何も知らずに受け入れますから、訊かれることはまずありません。個人情報だと思うので、総務担当者は知っていても言いません。

本人の側の心理から考えてもみて下さい。改めて男性は「自分は妻の苗字にしたんだ」と誇らしげに言うでしょうか?苗字を変えた既婚男性の多くは「卑下することでもないが、誇ることでもないだろう」という気持ちだと思います。

そんな事情から、妻の苗字を名乗っている男性は、あたかもいないかのように世間では見られてきたのです。声を上げたのは、サイボウズの社長くらいなものです。


夫婦別姓において、もう一点指摘しておきたいのは、少子化です。昔は間引きもありましたし、また子供を沢山産んだので数打てば当たると男の子が生まれるまで産めばいい、とも考えていたはずです。でも、間引きの違法化、そして養育費用の上昇による少子化から、娘しかいない世帯が増加しました。

このように家「イエ」を存続させるために、夫婦別性が求められている背景もあるのです。この辺りは、「イエ」という前近代風な価値観と、「男女平等」というポストモダン風な価値観が一致している不思議な所です。生の政治の面白味というのは、こういう所にもある気がします。

さて今般の政治情勢を鑑みると、次の国会で夫婦別性が通る可能性は高いと私は見ています。結婚適齢期を過ぎた自分からみると、「今更か」と思いますが、遅くとも貴重な一歩だと思うので期待して見ています。

頂けるなら音楽ストリーミングサービスの費用に充てたいと思います。