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モーリス・ラヴェル「ボレロ」(1927)

フランスのクラシック作曲家ラヴェル(1875-1937)が書いた曲。クラシックは分からないので、ウィキの編集を中心にご紹介。

フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルが1928年に作曲したバレエ曲である。同一のリズムが保たれている中で、2種類の旋律が繰り返されるという特徴的な構成を有しており、現代でもバレエの世界に留まらず、広く愛される音楽の一つ。
ハ長調で、一般的な演奏では、この曲の長さは15分程度。次のような特徴を持つ。
・最初から最後まで同じリズムが繰り返される。
・最初から最後まで1つのクレッシェンド(徐々に音量を大きくする指示)のみ
・メロディもA、B、2つのパターンのみ

「現代音楽のミニマル・ミュージックにも通じる展開の曲」とも言われている。初演を聴いたバレエ・ダンサーが、「この曲は狂ってる」と叫んだことを知ったラヴェルは、「この人だけはよくわかってる」と同意したそう。偏執性こそダンスミュージックの核心。

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ジャンルとしてのボレロは、スペイン起源のダンス音楽、もしくは大衆音楽ではキューバ起源の音楽。(英語のウィキペディアではキューバ発祥とされている)
3拍子で、元来は歌にカスタネットやギターでリズムをつけ、1人またはペアで踊るダンスだった。

ボレロは当初スタイル的には、フラメンコにかなり近いものだったかもしれない。しかしラヴェルのボレロではトライアングルやカスタネットといったプリミティブな楽器が外され、管弦楽器が多数加わりゴージャスなアレンジが施されている。

ラヴェルのボレロは「基本のリズムをスネアドラムが、最初から最後まで同じテンポで演奏する。後に段々とリズムを刻む楽器が増えていく。」
2小節を15分繰り返すこのリズムは、マーチというか軍楽に近く単純でひたすらリフレインする。

世界一長いクレッシェンドの曲とも言われ、終盤に向けてヴォリュームが大きくなっていく所も、「アゲアゲで行こう!」という意図が見え、紛れもないダンスミュージック。

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実は、ラヴェルは1928年に初めてアメリカに渡り、4か月に及ぶ演奏旅行を行なった。ボレロの作曲は同じ年の7月から10月頃。アメリカへの演奏旅行から帰ってきて間もない時期に書かれた。

ニューヨークでは満員の聴衆のスタンディングオベーションを受ける一方、黒人霊歌やジャズ、摩天楼の立ち並ぶ町並みに大きな感銘を受けたという。

しかも1920年代ジャズは既に欧州に紹介されており、そのこともあって渡米前のラヴェルにはマンネリで新鮮味がないと聴衆に映っていたようだ。

渡米したラヴェルが本場のジャズを中心とするブラック・ミュージック、ダンス・ミュージックに感化を受け、それを自分の作曲に還元していったことは想像に難くない。

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また、ラヴェルの作曲には次のような特徴もあった。

ラヴェルはオーケストレーションの天才、管弦楽の魔術師と言われる卓越した管弦楽法と「スイスの時計職人」とストラビンスキーに評された精緻な書法が特徴。

「インプロヴィゼーションとかアドリブ(即興)とか余計なことしないでくれ」というタイプで、根っからの作曲家資質。現代に生れていたら、多分DTMで宅録の音楽作ってるタイプ。

実際、父親はスイスの発明家兼実業家だったらしく、緻密精密なオルゴールでも作るような気分で作曲していたのかもしれない。

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昨日紹介したマシュー・ハーバートの曲が、結構ボレロっぽいと思っていたので、続けて紹介してみました。


この記事では、高校の音楽の先生による解説動画も参考にさせて頂きました。この曲の魅力が分かりやすく説明されていました。ありがとうございます。

頂けるなら音楽ストリーミングサービスの費用に充てたいと思います。