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ルックスはおとなしめ、なのに超過激なバンド「ヴァンパイア・ウィークエンド」

グラミーも取っているし、音楽好きならきっと知ってると思います。あんまり聴いたことない、って人もいると思うので、私が改めて推すのも意味があるかなと思います。ちなみに似てますけど、ザ・ウィークエンドとは違います。

ファースト「Vampire Weekend」、セカンド「Contra」、サード「Modern Vampires of the City」。どれも素晴らしいです。どれから聴くのがいいかと訊かれたら、セカンドかサードですかね。

セカンドの"Horchata" 、"Giving Up The Gun"、"Diplomat's Son"、サードの"Obvious Bicycle"、"Unbelievers"、"Everlasting Arms"、"Worship You"辺りは、耳に残る名曲です。


音楽は、すっごい乱暴いえば、最近映画で話題になってるトーキング・ヘッズ/デヴィッド・バーンのアップグレード版です。

アフロ・カリビアンなリズムを借用してポップ/ロックアレンジを施した音楽。そういうと似たようなのがワンサカあるわけですが、「聴けば分かるさ、迷わず行けよ」(アントニオ猪木)。

コントラ聴いたときに、ナイジェリアのジュジュミュージック、キング・サニー・アデを連想しました。

大学の音楽サークル出たばかりみたいな若い連中が、「キングサニーアデみたいな音楽やろうぜ!」って集まって、実際やってのけちゃうのが凄いな、って思いましたね。やっぱアメリカ広いな。こういう印象はFoalsを聴いたときも感じましたが、ヴァンパイア・ウィークエンドは格が違った。

ヴォーカルのエズラ・コーニングは確か同性愛者で共産主義者なんですね。

そういうことで、キリスト教根本主義者(ファンダメンタリスト)とは対極にある人なんです。ファンダメンタリストは同性愛は否定、共産主義は不倶戴天の敵です。

共和党とかトランプとか支持する彼らからみたら、このバンドは悪魔の手先。自分達もそういう立ち位置分かってるんで、ヴァンパイア名乗ってます。週末に行ける教会なんかないぜ!俺たちに明日はないぜ!って気分感か。

実際に、歌詞にもそういう事情が反映されていて、"Unbelievers"とか"Giving Up The Gun"なんか聴くと、「そうなんか~」って感じ。ギビング・アップ・ザ・ガンは、銃規制を求めた曲です。

こういう立場でステージに立って歌うってのは、勇気がいりますよね。市民が自衛権として拳銃持てる国。同性愛をカミングアウトしたら脅迫されまくったエルトン・ジョンという前例もあります。

日本で共産主義者を公言してステージ立ってる人っていうと、加藤登紀子さんとか?(えっ?それが比較対象?って感じですけど笑) 若いミュージャンには寡聞にして知らないですね。

ということで、エズラ・コーニングは歩く爆弾みたいな奴なんですよ。なんなら「現代のジョン・レノン」とか言っちゃう?くらいなハードコア。FBIからマークされてても全然おかしくないです。しまいには本当にアントニオ猪木みたいに北朝鮮で公演したりして。

そういう危険人物をサポートするバンドってのは本当の運命共同体だしカッコいいなぁ、と思います。まさに銃の代わりにギターを握った、って感じですよね。

自分が若い頃のダフト・パンクみたいな感じなのかなって思います。近年稀に見る素晴らしいバンドだと思うので、オススメです。

頂けるなら音楽ストリーミングサービスの費用に充てたいと思います。