見出し画像

サイバネットメガリスという試み

はじめに

 今期のNRスタンダードレギュレーションは、メガリス一強からヴェンデット一強の時代に変化しつつある。本稿ではメガリスがヴェンデットに勝つことは可能なのか、メガリスはヴェンデット一強の牙城を崩すデッキたりうるのか考察する。
 むろんこの記事だけで十分楽しむことができるよう作成してある。しかし、現代メガリスの基礎研究と、コアレヴナントとメガリスの戦いについて、併せて目を通しておくと理解しやすいだろう。
 なおこの記事はNR初心者が始めてメガリスを回すときのガイドとして作られたものではなく、ある程度環境を研究している上級者向けの記事になる。基礎研究が必要であれば、他の記事から学習することを勧める。

ヴェンデットvsメガリスの記事

メガリスの解説記事

著者紹介
Knox
 NRメガリスを専門に研究する人。
 メガリスを持ち込んだCSの勝率は95%以上であり、7回出場したCSのうち6回優勝している。
他のデッキでも多数の優勝実績がある古株のプレイヤー。

 さて今期の最強デッキと名高いヴェンデットと、今回の主役であるメガリスというデッキの概要について振り返ろう。

ヴェンデットってどんなデッキ?

 ヴェンデットは先行をとれば、戦闘効果で破壊されず、効果の対象にならないリヴェンデット・スレイヤーを召喚することを目指すデッキだ。さらにこのモンスターには、フリーチェーンで特殊召喚されたモンスターまたは魔法罠カード1枚を対象にとって除外するという妨害効果も持っている。
 たいていのデッキがスレイヤーを処理することができず、往復1ターンに2枚のカードを除外されてリソース差を広げられてしまう。電脳堺甲ー甲々など、対象に取らない除外効果持ちのモンスターも存在するが、スレイヤーのフリーチェーンの除外効果を受けるため、スレイヤーを処理することができない。
 ヴェンデットは原則1妨害しか構築できないテーマだが、スレイヤーを処理するカードが出るまで腕を組み、相手のスレイヤーに対する回答に妨害を当てれば、まず負けることのないデッキになる
 後攻をとった場合も、非常に強力なアーキタイプとなる。ヴェンデットは墓地効果の強いテーマになるため、除去による妨害が重くない。特に破壊への受け非常に強く、激流葬やベトールが重くないという特徴がある。またフリーチェーンで自分のモンスターをリリースしながら展開する、ヴェンデット・チャージの存在によって、対象をとる妨害への受けも強力だ。NRの妨害はほぼすべて対象をとる除去であるため、カードプールが追い風であるといえる。
 唯一の弱点は先攻時の初動の細さだが、ヴェンデット・バースをフル採用できるスタンダードレギュレーションでは、大きな問題にならないだろう。

メガリスってどんなデッキ?

 メガリスは非常に豊富な手数と強力な展開力から、大幅なアドバンテージを稼いで相手を圧殺するデッキになる。このデッキは先行盤面がそれほど強くないという弱点を持ちながらも、後攻時の手数と、柔軟な対応力、豊富な初動、そして何より致命的なカードが存在しないというメタ耐性から、安定して強い動きのできるテーマになる。
 先行をとった場合、フールベトールの1妨害がほぼ必ず成立する。さらにこれは聖杯や我が身を盾に、ライトニングボルテックス、壊獣などの後手用カードのすべてを貫通して成立するため、フールベトールをかわすことは不可能である。したがって相手の最も致命的なタイミングに、相手フィールドのカードをすべて破壊することができる。そして何より先行展開が通った後のメガリスは、莫大な後続とリソースを抱えることになる。そのため何とかベトールを越えることができても、メガリスの3ターン目の反撃を耐えることができないだろう。
 後攻をとった場合も柔軟な対応力と豊富な手数から、妨害を貫通して展開できる。後攻時もベトールの全体除去が強力で、盤面を解決しフールベトールの1妨害と後続を残してターンを返すことができる。手札次第だが、後攻でもベトールの効果を無効にすることは困難であり、妨害を無視してベトールの効果を通せるだろう。

ヴェンデットvsメガリスについて

 残念なことに、メガリスはヴェンデットの、戦闘効果で破壊されず効果の対象にならない1妨害持ちを処理する手段を持たない。したがってメガリスはヴェンデットの先行盤面を越えることができないテーマになる。メガリスはあらゆるランク帯のエクシーズモンスターをSSでき、あらゆる儀式モンスターをサーチ、SSできるテーマだが、NRにスレイヤーを処理できるエクシーズモンスターも儀式モンスターも存在しない。したがってメガリスの柔軟な対応力をもってしても、スレイヤーを処理することは難しいといえる。
 ではメガリスが先行をとった場合はどうだろうか?メガリスは相手フィールドを全体破壊できるテーマになる。しかしヴェンデットは破壊への受けが非常に良い。アンデット族モンスターを破壊しようとすると、素引きのマゼラが敗着となるため、除去を打つ対象がパズロミノくらいしか存在しない。しかしヴェンデットはその程度の妨害を簡単に超えることができる。メガリスの妨害がヴェンデットに刺さっておらずヴェンデットが大きく有利な対面になる

本題 サイバネットメガリスとは何ぞや?

 さて本題のサイバネット・メガリスについて解説しよう。これはサイバース儀式を取り込むことによってヴェンデットに勝とうとしたメガリスになる。
 メガリスはセンジュ、マンジュ、マンドラと儀式モンスターをサーチする手段に長けたテーマだ。そのため後攻用の儀式モンスターをピン刺しした場合、先行で素引きする確率を12.5%に抑えながら、後攻では84.53%の確率でアクセスできる。
 そこでピーキーな儀式モンスターを採用しやすいテーマといえる。採用が検討できるのはサイバースマジシャンと、ウォーターリヴァイアサン@イグニスターだ。

 サイバースマジシャンは他のモンスターに対象耐性を付与できるため、このモンスターを2体並べると切り込みロックが成立する。ただ要求値が高過ぎるため、正直なところ採用しにくい。

 ウォーターリヴァイアサンは、儀式モンスターで唯一の相手モンスターを対象に取らずにバウンスできるモンスターになる。したがってメガリスがスレイヤーを処理する唯一の手段だといえる。しかしリヴァイアサンが処理できるのは打点が2300以下のモンスターであり、スレイヤーの打点は2400である。したがってリヴァイアサンがスレイヤーを処理するには何らかの工夫が必要になる。その回答がアルヴェルドとアンフォームドの隠された効果だ。


構築

 メガリスはランク4をたてやすいテーマになるため、アルヴェルドを立てるのは容易なことだ。またメガリスはいずれにせよ手札に余分なアンフォームドを1枚残して展開するため、それを打点減少に用いることができる。

サイバネットメガリスの強み

 強みの一つは先ほど紹介した通りスレイヤーを処理しうることだ。そしてこのデッキにはもう一つ強みがある。それはオクの効果でリヴァイアサンを展開し、妨害をかさましできることだ。従来のメガリスでは、ロードオブザレッドやデミスによって追加の妨害を形成していたが、代わりにリヴァイアサンを構えるという択をとれる。
 後攻ヴェンデットがパズロミノの効果を適用した処理後に、リヴァイアサンを投げれば、相手フィールドのモンスターを全バウンスすることができる。ヴェンデットは墓地効果が強く、破壊耐性があるが、バウンスであればそれらの問題を解決しやすい

サイバネット・メガリスの弱点

 このデッキの弱点は何よりも手札消費が激しいことにある。手札をすべて消費してスレイヤーを処理したところで、次のターンにもう一度スレイヤーを展開されるだけだ。したがってサイバネットメガリスが、ヴェンデットを捲れるのか疑問であるといわざるを得ない。

終わりに

 メガリスの一強時代は終わりを迎えた。メガリスの研究者としては悲しいばかりだ。
 以前のNote記事では、メガリスはヴェンデットより、有象無象を処理しやすいという利点があると説明した。しかし、ヴェンデットもまた、環境外のテーマに負けることのないデッキだスレイヤーを処理できないのは、何もメガリスだけの問題ではない。たしかに、メガリスの後手の強さと、初動率の高さは魅力だが、ヴェンデットに勝てないのが大きな問題になる。今期のNRスタンダードレギュレーションでは、ヴェンデットを持ち込むのが最良の選択といえるだろう。

最後におまけとして、今期のTier表を掲載する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?