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2022年秋映画

土埃を上げて突進する雄牛
母神に捧げる渾身の踊り
サンダル履きの大立ち回り
木陰で悪巧みする若い衆
あるいは唐辛子入りの雑穀パン
まあ聴け
この曲を
この歌を

ナートゥ それは英雄の歌
ナートゥ それは故郷のダンス
ナートゥ 刺激強めのインドのダンス
ナートゥ 切れ味鋭い野生のダンス

「RRR」ナートゥダンス

2022年の秋映画をまとめる。

アムステルダム

キャストが豪華の極み(現代映画のオールスターといった顔ぶれ)だが、前振りが長すぎた。「衝撃の事実」が明かされるが、そこに至るまでの展開が唐突さの連続でうまく飲み込めない。下敷きになった歴史もかなりマイナーな部分だと思うので、予習が必要だったかもしれない(予習しても感想は変わらないと思うが)。クリスチャン・ベールが義眼をはめているのはマネーショート以来でしょうか。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

まさに「オレ達から貴方への鎮魂曲です」な、喪失感がずっと裏側で鳴っているような作品だった。だがそれだけではなく、復讐の連鎖を断ち切ること、そして伝統を守りつつ新たなアプローチを試みることについて言及したポジティブな作品でもある(シュリが王座を継がない、というのがわかりやすい描写だろう)。海を眺めながら声を出さずに涙を流す最後のショットは映画史に残るのではないか。

RRR

単純にビームとラーマのブロマンス的(「ロミジュリってる」)な描写がまず魅力的なのだが(中盤までは「忍者と極道」を想起させる)、アクションとしてもあまり見たことのない構図とアイディアで魅せてくれるし、「これくらいなら許容できるな」を徐々にインフレさせて最後の大暴れに持っていく手法が見事だった。あらゆるシーンに意味がある、テクニカルでエモーショナルな一本だった。まあ見ろ、この映画を……。

ブラックアダム

思ったより評判がよかったので見に行ったが、(クライマックスの前にツイストはあるものの)今時珍しいくらい非常にシンプルで楽しい映画だった。確かにロック様が主人公なのだが、JSAの面々も魅力的で彼らの物語をもう少し見たいとも思えた。真の主人公はドクター・フェイトかもしれない。最後に彼が出てきたのにもう見られないのは残念だ。

ナイブズ・アウト: グラスオニオン

仕掛けは大きいが、ミステリーとしても社会批判としても1作目に遠く及ばないという印象だ。”現実”を作品に組み込んだのはやや驚いたが、そのことがあまり作品に活きていないのも残念だ。実在のハリウッドスターが変な商品を作って売っている描写には笑った(あと、「セリーナのフィットネス」も)。

Coming Soon…

「SHE SAID」はアカデミー賞を獲りそうだ(身内の恥をネタにして評価されるのはマッチポンプなんじゃないか?という気もしなくは無い)。また、「アントマン&ワスプ:クアントマニア」も普通に楽しみではある(次は彼が何かを失うかもしれないと考えると悲しいが)。



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