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めんつゆでよいと至るまで

さあ今日はね、ただ単純に卵をただ焼いて食べてもらおうと思ってるんですよ

大泉洋による土井善晴のものまね

先日「めんつゆひとり飯」と「一汁一菜でよいと至るまで」を読んだ。

「めんつゆひとり飯」はご存じの方も多いと思うが、独身平社員の面堂露と既婚秘書の十越いりこの料理についての対比(対立、ではない)を主軸に日常を描く漫画である。僕は一人暮らしを始めてからずっとめんつゆを愛用してきたので、少し肯定された気がする(僕の基準では、面堂の料理は十分「手がかかっている」が)。登場人物は「面倒」な人間が大半だが、面堂の影響によって少しずつ改善されていく(デチューンともいえる)。人に合わせない、見栄を張らない、(サムネの彼が油と糖質を愛するように)素直に愛する、という、時代の要請によって生まれた作品かもしれない。

「一汁一菜でよいと至るまで」は土井善晴氏の自伝だ。サラブレッドとして生まれ、その道を継いで料理に懸けた人生が語られている。土井(勝/善晴)先生は料理番組を通じて日本の家庭料理の質を上げることに貢献したが、そのことが家庭料理を作る上でのハードルを上げることにもなり、結果として「料理をするのが辛い」「何を作れば良いのかわからない」といった人たちが増えてしまった(めんつゆに出会う前の面堂もそうだったかもしれない)。「提案」とともに、家庭料理を家庭に取り戻すための土井先生による贖罪のようにも読める。僕も豚汁を作り置きすることで一汁一菜を実践中だ(厳密には「一菜」はないのだが)。

料理は一生続くものなので、こういった本を読んで適当に(ダブルミーニング)こなしていきたい。めんつゆ以外の調味料も試していきたい(たまにトマト缶を使うが、あれは便利だ)。


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