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人間B 短歌/詩/小説/評論/短文

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マガジン

  • しがない短歌集

    浅い短歌に深く深くと 心だけが期待する その浅さたるや

最近の記事

夜を惜しむ

なりたいものになれない可能性を数えていたら、現実が流星になって夜の帳を切り裂いた。 皆が「流星の爆音がした」と言っているけれど、俺には聞こえなかった。 現実がにじり寄ってくる足音だけが、ただ鮮明に聞こえてしまった。 この夜を惜しむ間もなく、朝が現実を更新してくる。 このにじり寄る現実に。

    • 【短歌】コロナを飲む

      ① 予防用の布に阻まれるは、     菌と、別れと告白の言葉。 ② キミに別れの悲しみを遮られて     ホッとしている、なあコロナ。 ③ 桜は見れなかったけど、夏が来るなぁって。     太陽がうるさい。 ④ 傘に刺さる雨のリズムが僕だけのものになればと     傘越しの恋 ⑤ 梅雨が桜を散らして夏を求めて、     太陽は梅雨に気に入られる

      • 【短歌】平等・平和症候群

        ① 平等にある時間を浪費して    平等を希求します。     人類です。 ② 差別です、と叫ぶその声に    新たな差別がいる SNS上 ③ スーパーで肉を見て思う    不平等をもっと愛そう     今日はすき焼き ④ お母さん、動物園に行こう    良いわね、に含まれる人の優越 ⑤ 道徳の授業を始めます    なんで教科書をまだ買っていないんだい ⑥ 真っ新な青空に    タバコの煙と、鬱憤を吐いて     カネを描く ⑦ 進路志望書なら出しておきましたよ

        • 短歌

          全人類に近寄らないようにしてください 菌、触れたてなので

        夜を惜しむ

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        • しがない短歌集
          6本

        記事

          短歌

          この風が運ぶものは ウイルスと それ以上に人の醜さ

          短歌

          微熱です あなたにうかされて私はいつまでも 薬にすがって

          短歌

          勇ましい汽笛の声に背を押され 揺れ動くわたし つゆのあとさき

          必死について

          なぜ皆そんなにも必死なのか。 必死を一種の美徳として賞賛するような文化があるというのは間違いなく理由の一つではあるのだろうが、それを”強制しようとする“のはいかなる了見なのだろうか。 たしかに必死な人が複数いる集団で、さらにその集団がある一つの目的に向かって走っており、しかしそこには団結が必要で負けられない場合は、必死でない異分子を煙たく思うだろう。 それは間違いない。 運動会や文化祭。合唱コンクール。 なんでも良いが、学生時代はそれが顕著だ。 しかし、社会人となるとそ

          必死について