走馬灯

「泣き虫毛虫はさんで捨てろ」
泣いている私
気持ちに合う言葉が無い
初めて、世界が 私とあなたに分離された瞬間

じいちゃんが、ボルトの入った重い足で、アスファルトをべったり蹴りながら走る、追いかける、車の来ない道
平たく固まった指先で南京豆をむいてくれる

ねこのガラス細工を割ってしまって、あんまり悲しくて申し訳なくて、わざと、自分のじゃなくて良かったって言った
私はいつも伝えられない
怒られた事じゃなくて、それが悲しくて泣いた

学校に居場所が無くなった日、手作りのアップルパイが待っていた
何も話さなかった
私はこんなに暖かい場所にいます、嘘みたいに
ただみんなの声が遠く夢みたいに聞こえてくる

バラバラの制服の4人、陸橋を立ち漕ぎでかけ登る、23時前
夏だった

睡眠薬で身体が重くなってくる
手が上がらないので髪も乾かせない
フローリングが目の前に来る

早朝の太陽はもうじりじりと暑くて、焼かれながら河川敷に寝転んだ
何も出来ないからせめて、歩くことだけを自分に課して、歩くだけ
治らない

放課後のテスト勉強は、目が見えなくなってくる、蛍光灯の冷たい白さが、闇として降りてくる疲労
考えてるふり
一瞬、顔を見合せて、吹き出す

ああ、ほんとうに幸せだ




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