木星にまつわる哀歌

木星人の音楽は
ひかりです
色です
プリズムは一種のトランペットです
あるいは、プリズムの瞳をもちます
光は とおくとおくへ届きます
隔てるものはありません

地球人の光楽は
おとです
波です
筒状の体を震わせます
時に体を拡張し、それは楽器です
音にはパースペクティブがあります
“秘密”が存在します

音と光は翻訳可能です
地球には｢音色｣という“言葉”があります

木星人の祈りは光り、
地球人の祈りは響きます
そして月には……

月の人は、祈りの身体をもちます
色になります
音になります
コード化される前のそれ自体としてあります
“誤解”はありません
“秘密”もありません

しばしば、地球人は木星人に恋をします
自在に色を放つその瞳が美しすぎるのです
地球は水と岩石の星ですから
恋心はついに、伝えられることはありません
月の絵や、音楽が悲しい響きをもつのはそのためです

あなたの感ずる世界はどんなに美しいでしょう
地球は綺麗に見えていますか
あなたの瞳にわたしを映してください
木星の言葉で、わたしの話をしてください