見出し画像

8月のことと、Music Mania vol.12

お世話になっております、Knockスタッフさしみです。

先週8/19(土)に、甲府Nakedで開催のイベント「Music Mania vol.12」に、夫婦ユニットNotTooHotとして出演させていただきました。
(伴ってお店にお休みをいただきまして、ありがとうございました)

共演者の皆さま、Nakedオーナー新田さん、主催のDJ TAICHIさん、そしてご来場くださった皆さま、改めまして、本当にありがとうございました。

Nakedは、甲府駅南口から延びる平和通りを南に進んだ先にある、ちょっと街はずれの素敵なお店。
広くまっすぐな道路沿いという立地、ライダーズカフェのようなアメリカンな内装、そしてステージ正面の窓から見える景色など、まさにロードサイドという風情です。

バーカンがおしゃれ

そんな素敵なお店に初訪問&出演ということで、大層緊張しておりましたが、心暖かい皆さまのおかげで、今回も何とかやり切ることが出来ました。
本当に、ありがとうございました。

主催のDJ TAICHさんによると、このMusic Maniaはvol.100を目指して続けていくそうです。ぜひ頑張っていただきたい。我々Knock一同、影ながら応援しております。

ーーー

反省も含めライブレポを。

今回のライブでは、新曲をひとつと、前から演奏していた「ロックンロール(あるひとつの)」という曲をよりポップで打ち込みを強く出してアレンジしたものを持って臨んだ。
全ての曲でギターソロを完全にミスりまくったことと、いまいち音作りをまとめきれなかったことがとっても、とっても心残りだが、気持ちの良い空間で歌いきることが出来た気がする。

NotTooHot バーカンの奥に広がるライブスペースにて

共演のみなさんも素晴らしかった。

イベント主催のDJ TAICHIさんはCDからヴァイナル、果てはカセットテープまで使って、グッドミュージックを放ち続けていた。分け隔てのない音楽への愛がこちらまで伝わってくるような、良いDJタイムだった。
アジャテという、ワケはわからんがめちゃくちゃ踊れるバンドを流していて、シビれた。

半透明のヴァイナル、マジでカッコいい。


バンド1番手のぐっどないとさんは、最近結成されたバンドだったそう。大人になってから4人でバンドを組む、めちゃくちゃ素敵だなーと思ったし、めちゃくちゃ羨ましかった。ボーカルの女の子は可愛いし歌も上手いし、ギターの男の子は俺よりよっぽどリードプレイがうまくて悔しかった。
今回はカバー曲がメインだったけど、これからオリジナルも増やしていくとのこと。またご一緒出来たらうれしい。


ピアノ弾き語りの内藤重人さんは、ポエトリーのように畳みかけられる言葉と、感情の乗ったピアノの絡みが美しくて、素晴らしかった。ビールを片手に拝見していたはずなのに、自然と立ちあがって一心に見つめてしまった。すべての歌に、街から街へライブを続ける彼のドラマがあり、彼が積み上げてきた時間の重みのようなものが、ひしひしと伝わってきた。素晴らしいプレイヤーだ、と素直に感じた。
アンニュイな男前で、言葉を選びながら話す、物静かな方だったが、その静かさの中に確かな熱量があった。
ライブ後にいろいろとお話をさせて頂いた中で「今度お店に顔を出すよ」と言ってくださったことがうれしかった。お店はもちろん、またどこかのステージでお目にかかりたい。

そしてトリはLFBより中楯純さん。
うちのお店にもちょくちょく顔を出してくださる純さんは、ちょっと怖い風貌ながらも基本はニコニコしたお兄さんで、でも音への感性とこだわり、芸術全般における造詣の深さは随一で、山梨のシーンの中で数少ない、尊敬できるプレイヤーの一人だ。
…なのだが、なにぶんアート志向でオルタナティブな立ち位置を貫いて来た人なので、こじゃれたライブバーで演奏するのはかえって場違いなように感じていたらしく、現場入りしてから自分の出順が来るまでは所在なさげにソファに座り、ソフトドリンクを飲んでいた。この人は今日これから、どんなライブをするんだろう?とちょっと勝手に不安になった。
だが、やはりJun Nakadate、ステージに上がって早々「照明をすべて消してください」と言い放つと、迷いもなく、無機質と耽美をたゆたうような、最高のノイズ・ミュージックをカマしてくれた。
ステージの大きな窓の外には夜の平和通りが延び、行き交う車のライトがステージを照らす。ロードムービーのワンシーンのような瞬間が、いくつもあった。最後の音が止んだ時に、その日のライブの全てが一つにまとまったとさえ思った。
どんな場所でも、迷いなく自分の音を鳴らしきる彼の強さに、より一層のリスペクトを抱いた。

ふりかえると、バンドの出順と、それに伴う音楽性の変遷も、上手く繋がっていたように思う。
なんか、不思議なシナジーが生まれていたような。良いイベントだった、出演させてもらえてよかったな、と思った。

すこし話を変えて。
お盆休みの中で、長野は松本に、妻と旅行に出かけた。

染色家・柚木沙弥郎氏の作品を訪ねて、松本城下をぶらぶらする、気軽な旅行だった。
ずっと行ってみたかったちきりや工芸展で、柚木氏の作品を拝見し、店のおばあちゃんと沢山お話しし、かわいいぐい飲みを買った。
Marking Recordsでは店主のお姉さんのご厚意でいろいろとレコードを聴かせて頂き、コーヒーも頂き、心地よい時間を過ごした。同年代の方がこんなに素敵なお店をされている、ということにも、良い刺激をもらった。
そのあとはレコ屋を回ったり、蕎麦を食べたり、結婚前に一緒に行ったゴールデン酒場で酒を飲んだり。
翌日に「実家のお土産に」と立ち寄った開運堂のお菓子は、柚木氏の手掛けたアートワークが使われていたり。
帰り道に立ち寄った岡谷では太鼓祭りがおこなわれていたり。
ほんの気軽な、一泊二日の旅行だったが、松本の街に息づく文化を味わった。

「民藝」という概念がある。
人々が、日々の営みの中で生み出したものに宿る芸術性は、素朴で身近でのびのびとしていて、何だかかえって真に迫るようにさえ思える。
多くの人から賞賛を浴びるような芸術作品と比べると、つたなくて地味で、頼りなくもあるけれど、だからこそ作者のありのままの姿のようで、つい心が惹かれてしまう。

「僕の音楽は民芸だ」と言えたらいいな、と最近は思う。

民芸なんだ、と思いながら僕は、8月19日の夜に、ステージに立っていた。

それがちゃんと歌に宿っていたか、伝わっていたかは、わからない。でも、僕は僕のやり方で歌い切ったと思うし、だからこそあの夜は楽しかったのだと思う。

きっとあの夜は、僕がこの店を続けていたからこそたどり着いた夜だった。それは決して誇らしく見せびらかすようなものではないかもしれないけど、きっと数年後に「あの日は楽しかったな」と思い出すような、素敵な夜だったはずだ。
そこには僕は少しだけ、自信を持っておく。

ーーー

というわけで、8月もたくさんお休みを頂いてしまいましたが、我々Knockはゆるりと営業を続けていきます。
素敵な夜が生まれますようにと、願いつつ。

来月は、ロジェックがいじるデジタルミキサーの上でフリーにジャムする「ロジェックのMy New Gear…」が開催予定です。楽器をお持ちの方、お気軽に遊びに来てくれると嬉しい!

9月のKnockも、どうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?