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『Caligula2』名筆を敢えて使わずに狭間の人間を描く

無聊

※ストーリーのネタバレ有

作品概要:過去の後悔から解き放たれた理想の世界から、現実への帰宅を目指す学園ジュブナイルRPG。販売はフリュー、開発はヒストリア

公式サイトhttps://www.cs.furyu.jp/caligula2/
クリア時間:60時間くらい

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 アニメで『Caligula -カリギュラ-』という作品を知ってから、偶然続編が発売したことを目にし、今作をプレイしました。
 前作とその完全版であるオーバードーズは未プレイですが、大変面白かったので備忘録がてら書いていきたいと思います。

『Caligula2-カリギュラ2』ってどんなゲーム?

見てはいけないものほど見たくなる、してはいけないものほどしたくなる
「カリギュラ効果」をタイトルの由来とし、
「偶像殺し」がキーワードの刺激的なシナリオと、
「現代病理」を抱えたキャラクターたちを2大テーマに、
独自のバトルシステムとボカロPによる楽曲が特徴の異色の学園ジュブナイルRPG

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 今作のキャッチコピーは『理想(おまえ)に現実(じごく)を見せてやる』 
 前作は『理想(きみ)を壊して現実(じごく)に帰る』

『偶像殺し』の為のストーリー

 今作の主軸の一つはストーリーです。
 しかし、私の説明力では十分な説明が出来る気がしないのでPVを見て欲しい。

 偶像に見せられ、理想世界に囚われた主人公たちが自身の現代病理に悩まされながら理想を否定する物語は非常に良くできています。
 正に偶像を殺すストーリーは圧巻でした。

独自のバトルシステム『イマジナリチェイン』

 『Caligula2-カリギュラ2』独自のバトルシステム”イマジナリチェイン”は、他に類を見ないものではありますが、その特異性に反して完成度はすさまじいです。
 一度行動を選択すると、その行動が成功した未来を確認するバトルシステムは、戦闘の選択肢の幅を飛躍的に伸ばしているのです。

例えば敵の攻撃に対して、
 カウンター・リスクブレイク・高攻撃レベルによる攻撃(ドレットノート等)に代表される能動的攻撃回避方法
 ダッシュ、防御、アクロバティックな攻撃モーションなどによる、受動的な攻撃回避方法、と多くの手段がが存在しており、メリットとデメリットのバランスがかなり良くできています。

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▲気の迷いで作った一覧表、他の手段も利害のバランスが良くできている

 この、相手の行動を封じ、一方的に攻撃を当てることが出来るバトルシステムはパスルを組み合わせるような面白さを感じます。
 それぞれのキャラのバランスも良くできており、使えないキャラがいないのもとてもいい。
 バトル終了時にHPとSPが全回復するのもストレスがなく快適でした。

外さない演出

 今作の演出は良くできています。
 アイドルが主軸になっていることもあるでしょうが、音楽と映像の融合は良くできていますし、戦闘画面のライブ感は秀逸です。

▲予測内の映像、実戦闘、囲われているPV等、見ていて楽しい
▲開発のヒストリアさんのブログ、「楽曲の中で戦うような体験」を重視している事など、様々な事が書かれている。

個人的に一番大好きなのはゲームの最初に出てくる「主人公の夢」です

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▲ゲームとは思えない映像、Caligulaの世界感に一気に引っ張られた

個人的所感:狭間の人間を描くということ

 人格には誰にでも当てはまる要点がある。というのはご存じでしょうか。

他人から好かれたいと思いながら自己を批判してしまう。
規律正しく自制的だが、内心ではくよくよしたり不安になる。
情熱的に振る舞いながらも、どこか冷めた一面がある。

 自身の事を言っているように感じるこれらの文は、事前に情報を収集せずに相手の気持ちを言い当てるテクニック(コールドリーディング)に用いられます。

『人格というのも社会同様、複雑な要素が相互に絡み合って出来ています。
相反する要素を対置しながら、それらしい演出と共に語って見せれば、2極の狭間に漂う人格をズバリ当てられたような気がしてくるものです。』

 2極の狭間に漂う人格を描くのは難しくありません、熱血主人公にある冷徹な部分、知的な主人公にある激情的な一面を僅かに見せるだけで『人間らしさ』を感じる人は格段に多くなります。
 まあ、これを全員分作るとなるとシナリオ上にガバが生じるのでそこもまた難しい部分ではありますが、複雑な人の心を安易に描きだすこの手法は、その複雑さを塗りつぶす極太のマッキーでもあるわけです。
 しかし、今作は意図的に弘法の筆ともいえるこの手法を使わないことに徹底しています。

 セクシャルに悩み男女の狭間で揺れる能登吟は、性差ではなく己の『空気の読んでしまう性格』にこそ縛られていました。
 周囲にアイドルである期待と自由になりたい本心の板挟みになっていた切子はおせっかいな気質によって自分自身の首を絞めていました。
  好かれる妹と不出来な自分を比べ姉妹の間に揺れていた二胡は、自身への承認されないことに苦痛を感じていました。

「生っぽさ」というのは常々言っています。たとえば、現実にはあんまり起こらないような会話を作らなかったりですね。
 僕はよく例として出すんですけど「あれは嘘をついている目じゃない!」ってセリフが嫌いなんですよ。嘘をついている目ってどれ!?って思いませんか

 今作は『人間らしさ』を描くことを徹底しています。
 それは、一見特殊な境遇に見える彼らに普遍的な悩みに悩まされていることにも言えることです。

 そういうところがカリギュラの魅力であるとも思います。

ついでに不満点

 独自性と同時に満点以上のクオリティであるストーリーや音楽・戦闘に、十分満足のいく操作性やUI等、良作以上のクオリティを持つ本作ですが歯がゆさがない訳ではないのでまとめます。
 ただ、あくまで個人の意見です

●出来そうでできない操作
 基本操作において、大体望んだとおりにゲームが動くのですが稀にできない操作があります。
 個人的な筆頭は攻撃選択欄において一番上の項目から最下の項目に移動することが出来ないことです。

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 序盤は気にすることは無かったのですが、終盤に近づき強力なスキルを手に入れるにつれ下の項目に移動するのが煩雑になるというのは微妙に困ります。
 他にもない訳ではありませんが、戦闘が長引きやすい本作において特に気になるポイントの一つでした。

●時々融通の利かないカメラワーク
 シンボルエンカウント性のゲームについて、総じて言える事ではありますがカメラワークに不都合を感じる瞬間があります。
 特にその不都合を感じたのは件が待ち構える、AMOREにて発生する逃走フェーズです。

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PlayStation.Blogさんに載っていた迫力がありすぎるAMORE逃走フェーズ

 この逃走フェーズでは、AMORE内マップ特定の位置にて発生するイベントで、複数のデジヘッドに追いかけられ道先にある特定のポイントに移動するのを目指すのですが、その際カメラが上の写真のように切り替わっていしまいます
 カメラ切り替えが不要だとは思いませんが、逃走フェーズにおける猶予はそこまでなく、操作がおぼつかないまま捕まることが多々ありました。
 いっそここだけカメラを固定して欲しいと思うほどでした。
 私はswitch版でプレイしましたが、スティック押し込み(又は先が見えない視界を諦める)+ダッシュ+オブジェクトにアクション、を行うの難しくないですか?違いますか、そうですか。

●まだ伸びしろを感じるバトルバランス
 今作のイマジナリチェインという本作独自の戦闘システムは面白いのと同時に一回当たりの戦闘が長引いてしまうという欠点を持っています。
 イマジナリチェイン→行動変更→イマジナリチェイン→行動変更→繰り返し→決定……と、このようなことをキャラ一人毎に行うので時間がかかってしまうわけです。

 それでも面白いのは間違いないのですが、より快適にできたほうがありがたいのも事実です。(いくら曲や戦闘画面がよくても長時間戦闘に全然飽きを感じないのはマジですごいと思います)
 オート戦闘はその点を踏まえた上での解決策であることはわかるのですが、さらにもうひと押し欲しい所です。

 また、二週目要素として“敵のレベル操作”が出来るのもありがたかったです。しかし敵のレベル操作よりも仲間のレベルを操作したかった

 敵のレベル操作が出来るだけでも十分ではあります。これのおかげで2周目も歯ごたえのあるバトルを楽しめましたし、インフレ数値の住民みて楽しめました。

 しかし、敵のレベル操作の魅力が『難易度の調整』であるのに対し。味方のレベル操作は『難易度の調整』に加え『味方のレベル均等化』を行えることがが魅力だと思っています。
 レギュラーとスタメンに10~15のレベル差があるとパーティーがなんとなく固定されてしまいます。もったいないと思う部分の一つです。

 そして、必殺技が強力すぎることも思う所の一つです。
 オーバードーズスキルはその極端さが分かりやすく、ボスにパーティー全員の必殺技を加えると倒れてしまいます。
 レベルとしては格上の相手にこのバランスは、強力すぎると思ってしまいます。
 またキィの使うオーバークロックも強力すぎる要素です。
 序盤においては、窮地を脱し場を立て直し、一転攻勢になれる要素の一つですが、ポイントを用い能力を強化するとボスであっても歌い終わるまでに敵を倒してしまいます。
 魅力であるのは間違いないのですが、もう少し弱体化してもいいのではないかと思っていしまいました。

とりあえず良作だと言いたい

 個人的にはカリギュラ2は良作でした。
 当てこすりのような部分しか欠点がなく、遊んでいて楽しい作品でした。
 否定から入らないと褒められない自身の性質と語彙力の欠損によりうまく話せないのが口惜しいです。

 PVを見て心に響いたら、買ってください。それだけの価値はあります。

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