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『Bug Fables(バグ・フェイブルズ)』ムシたちの童話

※ストーリーのネタバレ有

■作品概要:ペーパーマリオライクなRPG
■公式サイト:見つけられず
■クリア時間:40時間くらい

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 他人のゲームの感想を知りたくて掲示板やら個人ブログに手を伸ばし始めていたころ、”バグフェ”なるものが面白いという話を聞きました。
 曰く、『殆どペーパーマリオ』『任天堂よく許したな』と中々な物であり、スーパーファミコン・ゲームキューブ時代のペーパーマリオは実況でしか知らない身としては興味深い物でした。

 この記事は、冬休みの前にクリアした『Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木~』の感想を備忘録がてら綴るものとなります。
 ……といっても、この作品を形容するのはそこまで多く言葉はいらないのですが。

『Bug Fables』とは

小さな英雄たちの大冒険!

『Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木~』は、ムシだらけの大陸「バグアリア」をめぐるアドベンチャーRPG! リーフ、カブ、ヴィーという勇気ある冒険者たちが、不老不死の力をもたらす幻のお宝「えいえんの若木」を求めて冒険に挑む! それぞれのキャラクターが持つ固有のスキルを駆使してカラフルなステージを攻略し、広大な大陸の隅々まで探索をしよう。

……ペーパーマリオの、新作ですか?

 旧作を知っている人であれば、そう思った人たちが殆どでしょう。
 今作はSFC・GG時代のペーパーマリオシリーズにインスパイアされ、その作品を今一度現代に蘇らせようとしたかのような程類似しています。

画像2UIすら酷似している

 奥行きのあるサイドビューに存在する2次元的キャラクター、全体的に低すぎるステータス群、アクションコマンドを用いた「おもちゃ」的な戦闘システム、レベルアップとして選択できるのが”HP””TP””メダル”など。

 面白さの核の部分の殆どはペーパーマリオシリーズで既に確立した部分であり、今作はそれをブラッシュアップすることに注力したような作品だからです。

続編と見間違う程の正統進化

 今作における「ペーパーマリオ」シリーズに対する踏襲度合は驚異的レベルであるにもかかわらず、単なるパクリとして扱われないのはここにあるでしょう。
 単なる後追いに留まらないゲーム体験。それは正に続編にも見紛うものです。

画像2他キャラに自身の行動権利を譲渡する「ターンをゆずる」
画像2隊列によって防御力と攻撃力が変化する

 とくに進化が顕著なのは、3キャラの得意な攻撃によって生じた、「ターンをゆずる」「隊列」の概念でしょう
 RPG的な相性の中に生じた、「連続行動が出来るが火力が落ちる選択」「リスクとリターンをトレードオフできる選択」が戦闘において今までにない面白さを生み出しているのは間違いありません。

童話のようなストーリーとスケール

 ペーパーマリオシリーズと大きく異なる点として、独特な物語が挙げられます。
 「えいえんの若木」を求める虫たちの物語は、一種童話に近い朗らかさと無常さが想起されることもあるでしょう。

画像2絵本風の色合いで時折描かれるショッキングなシーン

 織り込まれるギャグやナンセンス、ブラックジョークは言葉の巧みさを感じ、芯の部分は意外とシンプルなのも相まって絶妙な調和を生み出しています。

画像2エリアごとに-ボタンでキャラ達の会話が見られる

 随所に溢れる言葉の巧みさは素朴ながら素晴らしく、バグフェのストーリー評価として見られる「王道」の下にある土台の確かさを感じました。

 又、その世界感の独自性も魅力です。

画像2冷蔵庫がステージになっている

 キャラクターが虫であることから、ステージのギミックの至る所に本やメダル、トマト缶がおかれており、感覚的には『不思議の国のアリス』のに迷い込んだ感覚を味わえました。

嫌味のない芯のあるキャラクター

 今作のキャラクターは魅力的です。
 堅物のカブ、金にがめついヴィー、皮肉屋のリーフ。ネガティブに言ってしまえばそんな感じではあるのですが、ただそれだけではありません。

 カブの堅物は誰かを守る知識であり、ヴィーがめつさは自由を手に入れる手段であり、リーフの皮肉は天然です、そこの枠を離れることはなく、分水嶺を決して超えはしません

画像2かわいいを言うリーフ、かわいい

 特にヴィーのがめつさの匙加減は完璧で、彼女は何かの「対価」としてでしか金銭をせびる描写はありません。労働の、功績の、ぬいぐるみの、その価値として金を求め、それだけの結果を出したのだという自信も感じられるのが良い部分でした。
 後リーフも好きです、自身の価値基準に揺るぎが無く純粋に「かわいい」といえたり、健啖家であるのが自信だったり。

画像2個人的推し、ウルティマクス将軍

 自分にある、強い芯が揺らがないのが素敵です。

総評

 在りし日のペーパーマリオに郷愁を抱いているなら、とても素晴らしいものに見えるでしょう。
 そうでなくとも、絵本のような雰囲気や虫たちの小気味の良い掛け合いに惹かれたなら、その期待をかなえてくれる筈です。

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 Bug Fablesは童話的な魅力に満ちています。
 

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