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大企業にこそお勧めしたいインパクト測定・マネジメント(IMM)


はじめに

近年、企業がESG経営やパーパス経営、SDGsへの貢献などの社会課題解決に取り組むことの重要性が謳われるようになってきています。岸田政権の「新しい資本主義」の中では、「資本主義におけるもう一つの評価尺度」としてインパクトの測定をする必要があるとも言われています。
 
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2023.pdf
(民間企業が)従来の「リスク」、「リターン」に加えて「インパクト」を測定し、「課題 解決」を資本主義におけるもう一つの評価尺度としていく必要がある。
 
こうした動きに対応し、収益や財務諸表以外の観点から企業活動の成果・価値を整理し、発信するための様々な試みを始める企業が現れています。
 
今回は、こうした文脈において、特に大企業からよくお聞きする課題や悩みを共有しつつ、特に大企業がIMMに取り組むことをお勧めしたい理由について書いてみたいと思います。

大企業からよく伺う悩み・チャレンジ


これまでにお話ししてきた大企業の方々が抱えていらっしゃる様々な課題やお悩みには、下記の3つが多く寄せられる傾向があります。

  1. ESG・サステナビリティに関する取り組みを統合報告書等の形でステークホルダーに向けて発信する中で、より明確な形で活動の成果(インパクト)を打ち出す必要が出てきている。「インパクト」という視点に関心を持つ投資家や関係者が徐々に増えていると感じている。

  2. サステナビリティを事業の中に採り入れる形で実践する上で、収益や顧客満足度など、営業・事業部が大切にしたいこととどのように両立させられるのかが見えにくい。

  3. 社会課題の解決を図るための自治体・コンソーシアム等の他者との協働・共創による事業・活動において、連携を進めるのが難しい。

 IMMに取り組むことをお勧めする理由

では、IMMを使うことによって、上述の課題・悩みをどのように解決することができるのか、ひとつずつ見ていきましょう。

1.ステークホルダーに向けた発信の中で、より明確に活動の成果・インパクトを打ち出す必要が出てきている


大企業は多くの事業・活動を抱えているがゆえに、それぞれが全体としてどのようなポジティブな変化を生み出しているのか、外からは見えにくいこともしばしばあります。
 
IMMは、既存の事業や活動について、企業のビジョン・ミッションにどう寄与するのか、どのような社会的インパクトを生んでいるのか、という観点から整理・測定するための有効なツールです。そうすることで、より明確に事業・活動がもたらす変化(収益以外の事業・活動の成果)をステークホルダーに向けて発信することが可能になります。

2.サステナビリティを事業の中に採り入れる形で実践する上で、収益や顧客満足度など、営業・事業部が大切にしたいこととどのように両立させられるのかが見えにくい


まずは、事業部が重視する収益向上・既存顧客の満足度等の視点と、サステナビリティ・社会課題解決の視点とを敢えて分けて考え、サステナビリティ・社会課題解決の視点から、事業を通じてどのような変化を生み出したいのかを可視化することで、事業が顧客に対して提供できる価値や、事業部が会社全体のミッションやパーパスにどのように貢献できるのかを明確にすることができます。
 
そうすることで、事業(活動)が生み出す社会的インパクトの増大と、収益や顧客満足度向上との接点を見出し、「サステナビリティ・社会課題解決を事業に採り入れる」ことがより容易になります。

3.社会課題の解決を図るための自治体・コンソーシアム等の他者との協働・共創による事業・活動において、連携を進めるのが難しい


同じ社会課題の解決を目指して集まった企業・団体の中でも、焦点を当てたい部分、時間軸、進め方等についての考えは一致しているとは限りません。むしろ、連携して事業(活動)の計画・実施を進めていくうちに、そのギャップが浮き彫りになってくることもあります。
 
こうした事態を避けるためには、計画段階において、事業(活動)が目指すこと、そこに至る道筋やタイムライン、活動内容などを可視化して合意しておくことが欠かせません。IMMはそのために非常に有効なツールです。
 
また、既に実施中の事業において他者と連携する場合、事業の全体像や、これまでの事業による成果を可視化し、共有することで、連携先の共感・協力が得やすくなります。

おわりに

昨今、大企業においてよく見られる課題・悩みの解決という視点から、IMMの活用をお勧めする理由をご理解いただけたようでしたら、幸いです。企業に求められる役割が転換期を迎えている時代にこそ、会社が向く方向を可視化・整理し、実際に事業の成果(インパクト)を出して、さらにそれを発信していくためのツールとして、ぜひIMMを活用していただきたいと思います。

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皆様の事業の成功を祈って。


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