いのち
あれ・・・。なんだ、この感覚。
体を起こし、自分の手を見る。
半透明になっていた。
自分でも訳が分からなかった。
なぜ、半透明になっているのか。
周囲を見渡す。
そこには、降りたままの遮断機、何かに当たって変形した自転車があった。
一体、何が起こったのか。
頭が追いつけなかった。
本来の自分の体を見る。
あまり直視出来ないほどの怪我だった。
僕は何かに当たって怪我をして、それで死んだの・・・?
頭の中が真っ白になる。
そう思いながら、しばらく僕は目覚めた場所に立っていた。
その後、奇妙な光が僕を照らす。
温かった。まるで、太陽の光を浴びるかのように。
僕は光を辿っていくと、奥に何か見えた。
僕はその光がつくる道をゆっくりと歩く。
ゆっくりと歩いた先に、扉があった。
ハッとする。
僕はやはり、死んでいたのか。
目覚めて自分の体を見ていたときには、もう既に察していたが、もう一度そのような事実を示させると、悲しくなる。
もう、みんなに会えないのかと、悲しくなる。
だけど、これはもう仕方ないことなのかな。
死んでしまったら、生き返ることはない。
もし生き返ることが出来たとしても、さっきまでの自分になれるわけではない。
僕は不慮な死を遂げてしまったけど、周りのみんなが僕の分まで生きてくれるに違いない。
そう思い、正面のドアを開ける。
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