はじまりのうたー麻珠(卒業メンバー)編ー
「じゃあ、また明日―。」私は友達に手を振る。
「また明日―。」友達も手を振り、地下鉄の出入り口に入る。
その様子を見送った後、私は夜一人で都会を歩く。
今日も何だか遅くなっちゃったな・・・。早く帰らないとお母さんに怒られる。
私は少し早足で自宅へ向かう。
早足で自宅へ向かいながら、夜の都会をぼんやりと見る。
真っ暗な景色の中で、明るく照らす光。
光を照らしているのは、主に飲食店だ。
そこから出てくるのは、スーツ姿の男ばかり。
ネクタイを頭に巻いて、千鳥足になっている人。一見普通に見えても、路上で嘔吐する人。
などと、いろんな人を見る。
そうだ。いつもの公園で本を読もう。
いつもの公園が見えていたので、そこで本を読もうと考える。
公園にあるベンチに近づき、鞄をベンチに置く。
鞄の中から一冊の本を取り出す。
『はじまりのうた』。
そう書かれている本を取り出す。これが今の私のお気に入りだ。
ベンチに座り、本を開く。
公園の街灯が私を照らす中、黙々と本を読む。
すると、どこからか音楽が聞こえる。
どこから聞こえるのだろう。
そう思い、今読んでいるところを栞で挟む。
周りを見渡す。
だけど、音楽を聴いている人はおろか、誰もいなかった。
気のせいかな。鞄に本を閉まってベンチから立つ。
その時も、音楽が鳴り止まなかった。
この音楽、私を導いている気がする。
そう思って、私は音楽が鳴る方へ走る。
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